「模範的プラスアルファのストーリー」アイの歌声を聴かせて t yさんの映画レビュー(感想・評価)
模範的プラスアルファのストーリー
自分は今敏監督がアニメ映画にハマったきっかけだが、その今敏監督の言葉で「アニメは意図しない物は描けない」というものがある
例えば実写なら雲の形は人が作る事が出来ないが(イメージしてる空や雲になるまで待つ事やCGで作る事はできるだろうが)、アニメは一から作っていく訳だから、描く物やその形、人や生き物、台詞、カメラワークなど全てのものはその瞬間の流れでは意味がなくても伏線やメタファーも含めて必ず描いている意図があるという事だ
その上でアイの歌声を聴かせては、これが後に意味を持ってくるんだなというのが個人的にはスッキリハマっていった
例えば主人公の母親の勤めている会社のビルが、名探偵コナン・天国へのカウントダウンかの様なツインタワービルなのだが、このビルの形すらも後に意味を持ってくるのがニクいなと感じた
それでいて、詩音のメモリーを見る場面では、大半の人が詩音が転校してきてからのものが描かれるかと思いきや違っていたり、ラストの展開も「文字通り」予想の遥か上を行くものだった
問題が解決したり、いい雰囲気になったら困難やアクシデントが起こる、それが解決したらまたいい雰囲気になる、みたいな展開は教科書通りだと思うけど(最近で言うと漫画だがカイジの24億脱出編が正にそれ)、上記2点はそれを超えていて、模範的でありつつもプラスアルファのストーリーに感じた
ただ強いて言えば、
・各キャラクターの、それぞれにとっての幸せとは何か?がもっと明確に描かれても良かった
・物語が途中から主要キャラクターや敵対する社員や警察?のみから描かれ過ぎてて、あれだけ花火とか光とか使われて同級生や町の人からどう見えるかって視点を一瞬でも作って欲しかった
この2点は思う