劇場公開日 2021年10月29日

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「監督の出世作にもなり得る、ミュージカル映画の大傑作」アイの歌声を聴かせて サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0監督の出世作にもなり得る、ミュージカル映画の大傑作

2021年11月1日
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これまでに
「イヴの時間」「サカサマのパテマ」を手掛けてきた
吉浦康裕監督の最新作。

内容はまさかの
近未来SF×ジュブナイル×ミュージカル。
吉浦監督作品なのでSFや成長ものまでは
想像できますが、
まさかそこにミュージカルを
ぶっこんでくるというのは想像出来ませんでした。
正直、軽い作品なのかという
少しばかりの懸念がありました。

しかしこの作品、
レビューや感想を見ればわかる通り、
映画館に足を運んで良かったと思わせてくれる、
間違いなく傑作です。
細田監督の「時をかける少女」、
片渕監督の「この世界の片隅に」などのように
人から人へ、口コミによって
アニメを知る人を通り越して一般の方々に、
ひいては世界中の人たちに知られる
出世作となる可能性を十分に秘めた
素晴らしい作品です。

ネタバレを避けるため、
そして他の方々がすでに大概書かれているために
内容以外で触れるとするなら
描かれている近未来的描写がとにかく細かいです。

宇宙で暮らしたり
ロボットに囲まれたりといったような
現代とは完全に別物の「未来」ではなく、
「近未来」は観てる人々が想像できる、
なおかつ違和感のない世界が形成されており、
とても見易い作品となっています。

最近の近未来アニメといえば細田監督の
「竜とそばかすの姫」が頭に浮かびますが
個人的にはこの作品の方が
近未来をキレイに描けていたかと感じました。
※竜そばも面白かったです。

歌うAIを演じる土屋太凰さんの
素晴らしい歌唱力にも脱帽です。
劇中歌が全て入っている
サントラを買いたいくらいです。

ストーリーは正直、
新しいものではありません。
観ていれば途中でどうゆう結末を迎えるか、
察しのつく人もいるかと思います。
しかし展開がわかっていても
映像の美しさ、音の美しさ、
演者さんの演技、監督の演出など
さまざまな面において
常に想像するものを越えてくるので
尽きない感動を与えてくれます。

あと個人的には
この作品の「力わざ」が面白くて好きです。
「それおかしくない?」といったような
展開や場面があったとしても、
特にミュージカル要素が多めにあるので
それこそ急に歌ったりもするのですが
歌の素晴らしさや作画の運び、
音響の良さや雰囲気で
「コレはこうゆう映画なんで!」と
観てる側を黙らせてきてるような
力わざを感じる場面があります。
私はまんまと
「あぁ、こうゆう映画なら仕方ないな」と
丸め込まれてしまいました。
もちろん誉めています。
力わざを成功させる要素が
いくつもあってこそできる芸当です。
並大抵の映画では
そんなパワープレイ通じません。
それもこの作品の魅力だといえます。

音響や映像の美しさを存分に味わえる、
映画館で観るべき映画です。

サイレンス