アイの歌声を聴かせてのレビュー・感想・評価
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完全さと不完全さ
AIの人型ロボットが転校してきて、主人公を幸せにしようとする。ロボットと人間の友情ものはよくある定番なのだが、その定番通りに、このAIもかなり突飛な行動ばかりとって、主人公を翻弄する。この突飛な行動を、ミュージカルの突然歌い出すことと結び付けているのが良い発想だ。ミュージカルを苦手とする人は、どうして突然歌い出すのかわからなくて困惑してしまうのだが、登場人物たちもそれと同じ感覚でいるので、観客もその突然さを受け止めて驚けばいいのである。
この映画は、そもそも「完璧」とはどういうことかを問いかける仕掛けになっている。一見、ポンコツでも実は深い計算のもとに成り立つ行動だったとしたら・・・。主人公を幸せにするという目標に向けて、高度な選択をしているのだとしたら・・・。
作中で、「弱いAI」と「強いAI」の比較が出てくる。簡単にいうと、「弱いAI」は単純な計算を命令通りにやるもので、強いAIはより自立して計算し、行動するものを指す。強いAIの方が当然高性能なのだが、その計算力は人間を超えるのだとしたら、人から見たらポンコツな行動ばかりしているように見えるかもしれない。
ロボットの完全さとは、人間の不完全なところまで再現してこそ、という考え方もある。不完全さをプログラムすることは、複雑な計算をこなすプログラムよりもはるかに難しい。完全と不完全のパラドックスを軸に絆を育むことを描いたこの作品は、今後、ロボットやAIに囲まれて暮らす私たちの生活のヒントがたくさんある。
嬉しくて、切なくて、いじらしくて、一生懸命で不器用な青春
久しぶりにアニメを観て泣いた。こんな体験をしたのは『Wolf Walkers』以来のことだ。
涙が溢れるというよりも、気がつくと鼻がじゅくじゅくしていた。押しては返す心の震えが乾いたはずの瞳を潤す。そんな感じが続いた後、ラスト20分は涙腺が決壊に追い込まれたのだった。
主人公の少女は、AI開発のトップ企業の実験都市で研究を続ける母と二人暮らし。お気に入りアニメソングが流れる目覚まし時計は、彼女が起きると「カーテンを開けますか」と声をかけ、室外の温度や湿度、母の帰宅時間も教えてくれる。『トータル・リコール』のような行きすぎた未来ではなく、AIが日常に溶け込んだ描写が素晴らしい。
少女の名は天野悟美(サトミ)。
クラスの中で「変わり者」扱いされている。その理由は上級生たちの喫煙をチクったからだというが、彼女自身は何も語らない。
ある日、サトミが通う学校に転校生がやって来る。実は母が開発中の人型AI。研究チームは5日間正体がバレなければ汎用性が示せると考えたのだ。
転校生の名は芦森詩音(シオン)。
自己紹介を求められた転校生は、教室でサトミを見つけると一目散に駆け寄り「今、幸せ?」と問いかけ、いきなりサトミが大好きなアニソンを歌い始める。凍り付きそうなその場の空気を和らげたのは、クラス1のハンサムボーイ後藤(ゴッちゃん)だった。
翌朝、母のPCを見たサトミはシオンの正体を知ってしまう。ちょっと変だけど可愛い転校生は瞬く間に校内の人気者になっていく。でも、良い事ばかりは続かない。シオンが予期せぬトラブルで行動停止、AIであることがバレてしまうのだ。
その場に居合わせたのはサトミと同級生4人。幼馴染みで機械マニアの素崎十真(トウマ)、ゴッちゃんと彼を慕う綾(アヤ)、AIを相手に組稽古する柔道部の杉山鉱一郎(サンダー)だ。
朝から深夜まで、ずっと研究を続けてきた母の姿を見て育ったサトミは、お願いだから秘密にしてと頼み込む。決して知られてはならないシオンの秘密を共有した5人は、互いに欠かせない存在として固く結ばれていく。
「今、幸せ?」
初めて会った日にシオンがサトミに投げかけた言葉の意味が明らかになる時、嬉しくて、切なくて、いじらしくて、一生懸命で不器用な青春が弾ける。
AIが果たす役割についての寓話。
映画を観ながら、ふとこの映画の感動の構図と似たものを思い出した。『天空の城のラピュタ』のロボット兵のくだりだ。初めて会うはずのシータを守るようにプログラムされ、ただその目的のために稼働し、そして破壊される。ただ人格のない機械が役割を果たしただけなのに、あの映画でも突出して感動的なシークエンスだった。
この映画のAIが(『フリーガイ』とも被りますが)果たす役割も、とにかくあらゆる手立てを尽くして主人公を幸せにすること。プログラムされたものに、擬人化、もしくは擬人化を超えた魂のようなものを感じるパターンは、ほかにも『人造人間キカイダー』『ターミネーター2』や『アイアン・ジャイアント』なんかがあって決して目新しいものではないが、一抹の切なさとともに否応無しに感動させられてしまう黄金のパターンだと思う。
じゃあ、その感動の先になにがあるのか? AIは人と同じになったか? いや、より高次元の存在になったのか? それとも、ひたすらに主人に尽くし続けるからこそ感動的なのか? それは人間の一方的な勝手ではないか? そもそも機械であるからより純粋な機能であるべきなのか? そんないろんなことが頭をよぎるのだが、作品としては、そこまでの答えを求めている印象ではない。思わず目頭が熱くなったけれど、ただ感動しているだけでいいのかと考えてしまう作品ではある。
しかしディズニーアニメを模しているのは明白なのに、ミュージカルシーンの絵の力が及んでいないように感じるのは、個人的なもったいないポイントのひとつでした。
幼い人とAIのガールミーツガール
何かの焼き直しじゃないAI表現
全く新しい見たことない!とかではないのに、それでもやっぱり色んなことが初めましてに見えた新鮮な映画
電脳世界と言えば無機質だったり油くさそうだったり、奇天烈で悪夢みたいなエキセントリックな色合いになりがちな表現になりがちな印象の中で、幼い女の子の感情を使命とした幼いAIの大暴走、人の入り込む隙のない世界は夢見るように晴れやかなキラキラのパレードみたいな明るさ!
想い出を残そうとする大切さを数日で学習するわけですが、それよりもずっと前、言葉も覚束ない頃からAIである彼女は主人公との記憶を大切にすることを知ってるのだなあ、良い映画を見ました
映画作品としては高得点だが、
アイの歌声を聴かせてもらった
NHKで地上波放送されるというネットの記事を見つけて録画したのが始まりだ。
ポンコツAIのシオンと、その開発者の娘の里実と2人を取り巻く人々が主体となった、少し先の未来の物語だ。
壮大な伏線回収が使われている作品だが、たまごっち(っぽい)ものとシオンが同一のAIだということが
分かった途端、より一層没入できたと思う。ものすごく面白かった。
あ、あとミュージカルというのを知らずに見たほうがいいなと思った。
今見ると違った感じ・・。
武漢ウイルス真っ最中に公開された本作・・。
もう少し早いか?もう少し遅いか?だと、だいぶん評価変わったのかな?と思ったり・・。
いや、素晴らしい。
土屋太鳳さんも福原遥さんも。
当時はウムムと思ってた工藤阿須加君も、今見ると、良い。
最初の四十分強、見るのシンドいかもだけど?大事な伏線だから・・
オープニング直ぐから、四十分迄むず痒いかもだけど、大事な伏線だから!
乙野四万字先生原作、素晴らしい名作!
是非に!皆んな見てくれ!
GEOレンタルでもUnext配信でも、見れるだろう!秀作だよ!
ちなみに・・
伯爵一世のレビューも有るので、是非に読んで!
DVD欲しい度】☆④
柔道したくなる度】☆④
最近のディズ◯ニーなんかより、余程デ◯ィズニーぽいよ!
心が叫んでいるんだ‼️❓
AIと人間の友情物語
ディズニーみたいに挿入歌があるけど、歌う=AIの暴走のように描かれていて少し残念。
AIによる支配と機械の限界を友情的に描けていて感動した。
ただ辻褄はもっと合わせて欲しかったかも。
幸せを願って少女アニメの歌を歌うまではわかる。なぜ勝手に歌い出すところまで行き着いてしまったのか、、。
AIデータ?を逃がせばいいならシオンを走らせる必要性もなかったんじゃ?
お母さんの職場や経歴についても不明瞭。どれだけすごい人なのか、どうゆう嫌がらせを受けてたのかよくわからなかった。
AIとの奇妙な友情を描いた作品と思って観ていたが終盤の展開が予想外...
AIとの奇妙な友情を描いた作品と思って観ていたが終盤の展開が予想外で胸打たれた。
映像も綺麗でキャラも親しみやすく懸念していた声も意外と良かった。
ラストも少し切なく上手くまとめられている。
作中のスマートAIだらけの生活便利そう。
AIが暴走するミーガンやターミネーターと違う平和な世界観。
肉付けが安直すぎ
牧歌的サイバーパンク
不気味の谷間を飛び越えて、
AI搭載アンドロイドが巻き起こす感動ありのドタバタコメディー。
ハイテクハイテクし過ぎていない地続きの世界観において
スタンドアローンのアンドロイドというサイバーパンク感。
研究所が大きく関与するも舞台は高校というラノベ感。
いずれもダークなところがなく、アンバランスのバランスが
これまでにありそうでなさそうと独特だった。
むしろ非常に牧歌的だからこそ
「人の幸せを願うAI」というコンセプトが浮かなかったのでは。
牧歌的という意味ではオオゲサな所もなく、ある意味地味目なリアル志向。
払拭すべく短い尺に色々なエピソードが詰め込まれており
しかしながら消化不良もなく結果、キャラが立ちよかった。
そんなこんなで生き生きしているキャラに、かなり素直に笑ってもいる。
「フリーガイ」を思い出すくだりもあり、
全体は洋画を思い起こさせる造りだと感じた。
○○アニメ、と呼ばれるブランドでないためか、
印象は逆に個性的でこうした作品がまた出てくることを期待したい。
きゃぴきゃぴしたシオンが急に武骨さを出す、アンドロイドとのギャップがいい。
もう少し丁寧に描いてほしい部分も…
AI少女の役割とミュージカルがマッチしていて、全体として爽やかな物語でした。
土屋太鳳ちゃんの歌声も可愛らしく、機械的な演技も素晴らしいと思います。
ただ、個人的にあっさりと流されて過ぎて、もう少し丁寧に描いてほしい設定もありました。(主人公家族の関係性やシオンが捕えられた経緯など)映画なので尺的に厳しかったのかもですが…。
土屋太鳳さんの「あざとさ」に合った役柄だった!!
無邪気な感じで男性のハートを次々に撃ち抜いていく、土屋太鳳さんに合った役柄だと感じました。前半、校内カメラのAIと連携する所で面白いと感じ始めました。中盤からのストーリーも良かったです。実写だと上手くいかなそうな気がするので、アニメならではの表現だと思います。
友達の幸せを願うAI
設定からして学園物で近未来SFであるらしい。
言わば青少年向けである。
《友達いないサトミの幸せ》それを願うように設定されているAI、
それがシオンだ。
サトミのお母さんは大企業のAI設計プロジェクトの課長である。
芦森詩音(シオン)と名付けられたAIは、サトミのクラスに転校
してくる。
《特徴》
可愛い見た目、
成績優秀、スポーツ万能、
そしてサトミの幸せを願っている。
そのことがクラスに波紋を呼ぶ、
更に、サトミたちがシオンを持ち出して
サトミの家でパーティーを開いたことから、
シオンは勝手にコンピューターの設定にアクセスして
プログラムを更新してしまったので、
大変なことになる。
結論から言うと面白かったです。
シオンが突然、
「歌い出す」
アイデアに煮詰まってくると、現実を飛び越えようとするように、
「歌い出す」みたいな感じ。
踊らない『不適切にも程がある』みたいな設定?
シオンの元々の始まりは、、サトミが子供の頃持っていた
タマゴ型の改造AIを幼なじみのトウマから貰ったこと。
トウマが更に手を加える。
それが回り回ってシオンに?
ラストはサスペンスタッチ!
情報漏洩を恐れたホシマ・エクトロニクスとの攻防になる。
内容も作画も歌もしっかりしている。
はじめは客足が伸びなかったが、次第にクチコミで
ロングセラーになった映画だそうです。
やはり私はには、
較べるのはおかしいのですが、
「ドラえもん」や、
「空気人形』や、
ドイツ映画の、
「アイム・ユア・マン恋人はアンドロイド」
の方が楽しめたのが本音である。
ストーリーがベタ
転校してきたAI美少女がみんなを幸せにしようとすれ違いまくるが……という話
思春期の生きづらさを抱えたキャラクターが登場し、それぞれがそうした生きづらさをAIのおかげで解消しつつつ、仲良くなっていき最後はみんなで頑張るぞーって感じの青春100%のアニメだった
ストーリーはさまざまな情報が小出しにされだんだん全体像が明らかになるといったミステリ形式だったが、なんとなく読める展開であまりよくなかった また、個人的に作画や演出があまり好きになれず楽しみきることができなかった
しかし、土屋太鳳さんの演技が上手く、AIの無垢な恐さが伝わってきて良かった あと、共感性羞恥を掻き立てるようにして記号接地問題がガッツリ描かれており、言葉を本当に記号としか認識していないと起こる問題が提起されていて面白かった
心優しきAIに癒される感動巨編
期待してなかったわけじゃないけど、正直舐めてました。こんなに心に刺さる名作だったとは。
涙で前が見えません。
アニメのミュージカルってあまり得意じゃなかったけど、この作品は別格に良かった。
AIのシオンの歌がストレートに刺さる刺さる。
彼女の心からの歌がキャラクターひとりひとりの人生を変えていくのと同じように、見ているこっちをも幸せにしてくれる。
吉浦康裕監督の過去作品、イヴの時間とサカサマのパテマから通底してるのは"優しさ"。
中でも本作は、とにかく見る人全てを優しく包んでくれる素晴らしい作品だ。
イヴの時間で描かれたAIとの共存の可能性を更に押し進めた本作は、社会やヒトがいかにしてAIを受け入れられるかが丁寧に描かれている。
それもSF的理屈じゃなく歌を通しての感情で描ききっているのが素晴らしい。
難しい話抜きに、スッと心に入ってくる。
青春×AIのSFなんて、どこか小っ恥ずかしい気がしていたけど、見てるうちに笑って泣いて感情移入しきってしまう。
特にシオン誕生の真相を前に誰もが泣き崩れ、気付いたらこの作品を好きになってしまうだろう。
それくらいストーリーも素晴らしかった。
素晴らしすぎた。
AIの歌に心動かされるこの感覚。
初めてボーカロイドに触れた時を思い出した。
そんなエモさもあいまって涙が止まらなかった。
AIと人がこんな形で向き合える未来の実現を願ってやまない。
全214件中、1~20件目を表示