「神との対話」聖なる犯罪者 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
神との対話
司祭に憧れる主人公ダニエルが少年院を仮釈放され、ある村で司祭になりすまし、聖職者として村で起こる問題や傷を負った人々と向き合う物語。
前科者は司祭になれないと言われるが、ある偶然が重なり、司祭として活動することとなったダニエル。神学校を出ていない彼は最初は戸惑うも、持ち合わせた信仰心を頼りにミサや告解をどうにかやりきり、村人からの信頼を得ていく。
村では昨年、1人の中年男性と6人の若者の自動事故があり、悪者とされた中年男性の妻が村八分にされている。
犠牲者の妹、マルタの証言により、事故の真実を知ったダニエルは聖職者として村人たちの問題を解決しようと奮闘するが…。
ストーリーとしては、若者の遺族たちと、悪者とされた男性の妻の間の問題を解決しようとする姿と、偽った身分がバレてしまうかといった点を軸に物語が展開される。
司祭となっても酒やドラッグをやめないダニエルだが、教会にいるときや事故の遺族たちと関わるときだけは、立派な聖職者の顔に。
真実を知るかつての恩師。憤慨するも、村人たちからのダニエルへの想いを知ったとき、いったい何を思っただろうか。
ダニエルの行いは決して許されるものではない。
それでも、彼がこの村に残していったものは間違いなく大きい。
ダニエルの真実を知っても尚、去り際の彼にかけられた言葉…。
嘘と真実がテーマになっていると言っても良い作品だが、許されない嘘が大きな救いをもたらすこともあるということか。そして、ダニエル自身は赦されるのだろうか。
非常に深みのある作品だった。
一方で、ヒロインやその母親、村の有力者や遺族たち、少年院生達やそこの司祭…等々、多くの人物が登場するが、みんな要人と言える立ち位置だがあまり掘り下げられていない者も多く、ドラマとしてはもうひとつ響きが欲しい所。
ラストシーンも、自分にはちょっと理解できず。。あれはどういうことだろうか?
きっと見たままの画に意味はないのかな。もっと大きなメッセージが潜んでいそうです。
観るたびに色々な解釈が生まれそうな映画だった。