映画 太陽の子のレビュー・感想・評価
全152件中、21~40件目を表示
柳楽ユウヤの
科学者とは
日本の原爆開発は、理研と京都帝国大学で行われていたが、これは京都の方の話である。
そもそもが戦争末期の時点で、ウラン分離に使う遠心分離器すら完成していない。
いったいどれだけ現実に原爆が完成すると思っていただろう。
常識的に考えて、この戦争に間に合うとはとうてい思っていないはずだ。
石村が突き動かされていたのは、単に科学的好奇心からである。
「日本の為に」なんて思うのは単なる言い訳であるだろう。
それが証拠に、彼は原爆の炎に焼きつくされる京都を比叡山から見物するという。
そこに数万の人間がいるなんて彼は考えていなかった。
ただ彼は最後に英語で問いかける。
答えるのは科学者の立場の彼自身だ。
「こんな結末を予想したか」
「もちろんだ。これまでもそうだったし、これからもそうだ」
科学者である自分に問いかける言葉だった。
科学者が夢を忘れたら終わり
若者3人の配役は光っていたが。。
太平洋戦争末期、原子爆弾の開発に身を捧げる京都の学生たちを描く。主人公の弟は軍人になったが特攻で戦死する。家を失った幼馴染の女性と、一つ屋根の下に母親と暮らしながら、実直に研究に明け暮れる。研究に勤しむ学生は兵役を免除されている。だが、アメリカはいち早く、原子爆弾を実用化しており、広島、長崎に落とされる。さらに、次は京都なのか?そんな状況を描く。
なにしろ、テーマが重すぎて、映画にするにはかなり大変なテーマ。若者3人のそれぞれの在り様は、配役はよかった。但し、柳楽優弥と三浦春馬はタイプが違いすぎて、兄弟にはみえなかったが、そこは映画。有村架純は戦時女性の質素なみなりも朴訥とした感じが似合っていた。丸顔だからか、庶民の感じに溶け込むし、健気な感じもよく出ていた。
映画全体はテーマに追いつけない印象を受けたが、キャスト若者3人の存在感は光っていた。特に柳楽優弥は抑えた感じの演技がよかった。
戦時中に日本も原子力爆弾の開発をしていた。
陰のテーマと陽の関西弁のマリアージュ
戦争は、破壊しかない、思い出も、夢も希望も、恋人も全て奪っていく、...
戦争は、破壊しかない、思い出も、夢も希望も、恋人も全て奪っていく、大事な子供までも、奪っていく、悲惨のたまもだ!日本も、アメリカより先に開発していればと、恐ろしい人の命、を、実験に使うのか!考えさせられた!
3人の演技が、秀逸だった!
アメリカだけでなく、日本も原爆の開発を行っていた。 もし日本が先に...
敗戦直前の日本・・・戦争秘話
2021年(日本・アメリカ合作)監督:脚本:黒崎博(大河:晴天を衝く、他)
プロデューサー:コウ・モリ。音楽:ニコ・マーリー(愛を読む人、などの)
太平洋戦争末期の日本(1944年から1945年)
原爆開発を背景に、時代に翻弄された若者たちの生き様を描いた映画です。
海軍からの依頼で京都帝国大学(現在の京都大学)で「原子核爆弾」の研究開発が行われていたのは史実に基づく事実です。
荒勝教授(國村隼)の指揮下、研究者の石村修(柳楽優弥)等は、
日本が起死回生の勝利を収めるための秘策はこれしかない・・・と、思い詰めていく。
荒勝文策は実在の高名な物理学者でイギリス留学時代には、アインシュタインの
薫陶を受けたそうだ。
映画で、アインシュタイン(声=ピーター・ストーメア)と対話するのは、若き日の
荒勝か他の物理学者だったのかもしれない。
アインシュタインの相対性理論が、原子爆弾に直接利用された訳ではないが、
結果として原子核分裂が核爆弾開発に応用されて、原子爆弾となりアメリカが実際に使用したことを彼は深く悔いて、日本人物理学者に直接そのことを手紙で伝えているとの事だ。
ラストでは当時の京都帝国大学の荒勝文索の写真。
遠心分離機や加速器など大掛かりな機器。
その上に登っている研究員の写真もあります。
そして20名ほどの研究員たちの記念撮影の写真。
明るく楽しげに見える研究員たち・・暗さは見られない。
(彼ら、特に学生は、この時、本当に原子爆弾の殺傷力を知っていたのだろうか?)
実際に、石村修たちが原子爆弾の威力を知ったのは
広島に原爆が投下された8日6日以降で、
8月10日に現地入りした荒勝たち事故調査員が、
「これは原子爆弾である」と結論づけ、はじめて「原子爆弾」と命名された。
その直後、修が「次の投下は京都」と世津(有村架純)と母・フミ(田中裕子)に
避難を勧めて、自分は比叡山で爆発の瞬間を観察する・・・と告げる。
フミは「なんと恐ろしいことを!・・・科学者は!」と、絶句し、
世津は、「ご近所の人はどうするの?」と困惑する。
実際に荒勝文策は「これは千載一遇のチャンス」と公言し、
比叡山に登って京都に投下される爆弾の、
原爆投下から爆発の瞬間の状況を徹底的に観測してやろうと述べたと言う。
この映画は日本で行われていた「原子核爆弾の研究開発」という、
ショックキングでセンシティブなテーマに果敢に挑戦した映画です。
(万一、世界に先駆けて日本で完成を遂げていたら?)
そう思うと空恐ろしくなりました。
しかし映画は青春群像劇の初々しい側面も多く見られ、
石村修(柳楽優弥)
弟の裕之(三浦春馬)
幼なじみの朝倉世津(有村架純)
3人の男女を超えた清々しい友情に溢れ、思わず戦時下の圧力を忘れるひと時でもあります。
柳楽、三浦、有村の好演。
美しすぎる海と空。
格調高く内省的にして場面にマッチングしたニコ・マーリーの音楽。
重く苦しいというより、未来への伝言を感じます。
日米合作のための利点も縛りもあったでしょう。
狂気に落ちる修を演じる柳楽優弥の確かな演技力。
戦争後に思いを馳せる強さを、美しく演じた有村架純。
石村兄弟の母親役の田中裕子という人間の底力。
そして何より、軍人として国の為に死んでゆく自分の遺書の中で、
「母上とお兄様のご多幸をお祈りします。さようなら」
まるで、私たちへの別れの挨拶のようです。
これが最後の出演作の上映となったこと。
三浦春馬さん、あなたがこの世からいなくなったこと、とても悲しいです。
過去鑑賞
科学者とはこういうものなのか。
この映画は、実話だという。日本も原爆を作ろうとしていたとは全く知らなかった。それができれば戦争が終わる、すごいエネルギーが手に入り、戦争も無くなるのだと言っている。研究者とは恐ろしい。
ひたむきに研究を続ける彼は、とても純粋ではある。
ただ、感覚はどうなのだろう。原爆が落ちるかもしれない様子を観察すると言って比叡山に登るなんて、普通の人間とは違う。原爆投下後の広島の町を見て、これを作ろうとしていたのかと呟いた時、自分のしてきたことの恐ろしさに気づくのかと思ったけれど、そうではなかった。
戦争は終わっても科学者は研究を続ける。
その結果はどんなものなのか。科学が全ての人と地球のためになればいいと思う。
この映画で良かったのは2人の息子の母である田中裕子の演技だった。科学者の息子を持つ母の覚悟、見事だった。
話の内容・キャストは完璧
正直この時代の話っていうのは思ったよりも全然知らなくて、何も知識のない状態で観てきました。
まず思ったのは観て本当によかったということです。
柳楽優弥さん、三浦春馬さん、有村架純さん3人を始め、キャスト皆さんの演技が素晴らしすぎて。
特に柳楽優弥さんの最後らへんのおにぎりを食べるだけのシーン、凄すぎました。
ただ、本当に残念なのがエンドロールの曲。。作品がよかっただけに最後の最後で興醒めしてしまう。。
感動がない脚本でした。こんな事が起こっていたよ。という映画だったよ...
人間はエネルギー資源を求めて戦争する
映画「映画 太陽の子」(黒崎博監督)から。
わざわざ、邦題に「映画・・」とつける違和感はあったが、
2020年8月にNHKで放送されたドラマ「太陽の子」とは違うよ、と
言いたかったんだろうな・・と理解した。
戦争兵器としてではなく、単なる科学として「核分裂」を追求、
そして、その目的は、戦争をなくすことだった。
この理論に、なるほど・・とメモをした。
「この戦争は何で始まったんやろ。エネルギーや。
土地も鉱物も人間はエネルギー資源を求めて戦争する。
先の戦争もそうやった。我々が核分裂をコントロールして、
そのエネルギーを自由に使うことができるようになったら、
人間のエネルギー問題は永久に解決するはずじゃ、
そしたら戦争はなくなる」
しかし、この理論の大きな間違いは、
「人間が核分裂をコントロールできなかった」ことにある。
逆に、自分達がコントロールできないものを野放しにしておくと、
大きな代償を払うことになることを私たちは、3.11で思い知った。
これから、ますますエネルギー資源を求めて、戦いが続く。
世界の人々が争わずにすむエネルギーは、やっぱり太陽光かな。
全152件中、21~40件目を表示