「人が産むは神か死神か」映画 太陽の子 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
人が産むは神か死神か
BSの4K、8Kチャンネルのドラマで製作された
同名ドラマの映画化作品
それは未見でしたが興味あったので観賞
現在大河ドラマ「晴天を衝け」の監督を務める
黒崎博氏が広島で見つけた戦時中に原子力開発を
行っていた人々の日記を元にしているとのこと
劇場版としての公開の経緯は昨年上映された
黒沢清監督「スパイの妻」に似てるなと思いました
アメリカが日本に投下した2発の原子爆弾ですが
当時原子力開発自体はドイツやソ連
日本も行っていたのですが戦況の悪化から
開発環境に恵まれず開発競争と言う観点からは
見るも無残な状況と言わざるを得なかったようです
周囲の学生は出征してどんどん散っていく中
自分達はかないっこない原子力開発を続けていて
いいのかという葛藤が駆け巡りますが
主人公の石村修(しゅう)は感情を表に出さず
淡々と実験に打ち込む姿には感情移入しづらい
人も多かったと思いますが
自分は「風立ちぬ」の堀越二郎の描写に
似ている印象を受けました
ただ美しさに魅せられその先に人類を豊かにする
未来を信じつつ目の前の悲惨な状況に
目を背けているわけではないが
感情を出さずにいる有様は似ている気がしました
これは昨今もある事ですが
感情に任せて発言や行動を起こす人々がテレビで
喋っている場面をよく見ることがありますが
それは本当に世の中を動かしてきたのか?
と言えば違います
理論と理屈と解析と検証があって
やっと文明は先に進むものと思います
コロナも核兵器も感情任せの暴論ばかりで
議論がまともに行われない現状ではいたずらに
問題解決は先送りになっていくのでしょう
そんなきっかけをくれるテーマには
なっていると思います
俳優たちの演技は確かなものでした
改めて三浦春馬
惜しい俳優を亡くしたものです