劇場公開日 2021年8月6日

  • 予告編を見る

「良い悪い含めてそれぞれにいろんなことを考えるきっかけになればいい」映画 太陽の子 みいちさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0良い悪い含めてそれぞれにいろんなことを考えるきっかけになればいい

2021年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず、私自身、かの大戦時に日本も原子核爆弾の開発をしていたという事実を知らなかったので、それは学校などでもっと明確に教えるべきだと思いました。当時の若き科学者の話ですが、私は、さらに家族の話であり、大きな意味での愛の話でもあると感じました。
終盤、「科学は倫理を超える」と主人公・修の内なる声は言います。でも、「科学を学ぶ人間は倫理を有することができる」生物のはず。本当に、「できるはず」なのに、現代だって、SNSで簡単に他人を誹謗中傷したり、全然倫理なんか持てていないじゃん。戦時中の人々、映画の主人公たちが、常に絶望と隣り合わせにありながら、先行きの見えない中でも、平和で皆が幸せな未来を思い描いて生きてきた、その未来が今のこれでいいのかと、先人たちに申し訳なく、情けなくなりました。
最後、修が母親の愛情によって人間の心を取り戻してくれるので少しホッとするけれど、やっぱり倫理の根底にあるのは愛なんだと思う。本作品のレビューを見ても、賛否両論いろいろありますが、こうやってそれぞれが何かを感じたり、考えたりするきっかけになる。それだけで十分素晴らしい作品だと思います。
最後に、映画を観た方は、ぜひノベライズ本を読むことをおすすめします。より深く、物語をかみしめられます。そして何より、小説内で描かれる弟の裕之の姿は三浦春馬さんそのもので、本当に、作品と共に、彼をずっと大切に愛し続けたいと感じました。

コメントする
みいち