「アスガルドというワードにニヤリ」MORTAL モータル Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
アスガルドというワードにニヤリ
「マイティ・ソー」でお馴染みの雷神トール。「アベンジャーズ」では主要なキャラクターとして、その圧倒的なパワーを発揮する正義の味方。本作は目に眼帯をした黒人に話しかけられることもなく、星条旗の盾を持つキャプテンとも関わることなく、雷神トールの力を授かってしまった青年に降りかかる恐怖を描く。ハリウッドスケールで神の力を手に入れた男が、世界征服を目論むヴィランと死闘を繰り広げるものでは全く無い。恐るべき神々の力にひれ伏すしかないその恐怖を描いているのである。ただ、中盤で北欧神話の物語を読むシーンで、「アスガルド」「ラグナロク」というMCUのファンであればニヤリとするセリフが登場する。ここ最近北欧神話にやたらと興味が湧くのだが本当に興味をそそられる内容であった。ノルウェーのフィヨルドの美しさに見とれつつ、意外にも優しい地元の軍関係者等を含め、周囲を取り巻く人間模様にも注目したい。異質なそのパワーを持つ主人公に対し、あれよあれよと協力し、目的の場所まで車で運んでくれたりもする。そして、彼の命を狙う米国関係者たち。全体的にスローテンポで、本当に命を狙っているのかと思う程何もしてこない米国側の描写には少々笑った。米国側は米国側で様々なしがらみや葛藤があり、それぞれの主要な人物にはしっかりとスポットライトが当たるように描かれていた。派手なアクション等は無いものの、世界規模なスケールになりそうな予感を含めて終わるラストは好感触。だが下手に続編を作らないほうが良さそうだが、この手の世界観の物語は今後も増えてほしい。
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