「マクベスってふりなの」レディ・マクベス bionさんの映画レビュー(感想・評価)
マクベスってふりなの
ピューイストの僕としては、2016年製作の作品が蔵出しされたことは、嬉しい限り。フローレンス・ピューの凄みのある演技力、圧倒的な存在感を堪能できた。
ピュー演じるキャサリンは、不貞のことを義父からなじられるが、眉一つ動かさずに堂々と夫の生殖能力のなさを暗に示して切り返す。ピューの迫力ある顔力にたじろぐ義父を見て、こりゃそうなるわなと、独りごちた。
もうここからは、ピューの独壇場。使用人アンナも愛人であるセバスチャンも女主人たるキャサリンの威圧感に気圧されて、道理に合わない命令も呑み込んでしまう。
この作品は、ほとんど音楽が流れない。劇場内は静寂を保っているので、ため息すらつくことができない緊張感がある。そしてラスト。思わず吐きそうになるくらいの衝撃があるのに、余韻に浸ることも許してくれない曲なしのエンドロールにギブアップ。
マクベスってもうふりでしかない。こんなにクラクラした作品は久しぶり。
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