劇場公開日 2020年11月27日

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「【多くの”サヨナラ”を乗り越え、学び、生きるユダヤ人家族の姿。そして、聡明な夫婦の庇護の下、マックスとアンナが逞しく成長して行く姿を描いた作品。】」ヒトラーに盗られたうさぎ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【多くの”サヨナラ”を乗り越え、学び、生きるユダヤ人家族の姿。そして、聡明な夫婦の庇護の下、マックスとアンナが逞しく成長して行く姿を描いた作品。】

2021年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 1933年、ベルリンから物語は始まる。ナチスドイツが、国を支配し始めた時期である・・。-

■感想 <Caution! 内容に触れています。>

 1.今作では、ナチスの愚かしき行為は直接的には、描かれない。だが、ケンパー一家を始めとした、ドイツ在住のユダヤ人への怖ろしき足音が聞こえてくる・・。

 2.マックスとアンナの父で、著名な批評家でもあるアルトゥアが兄、マックスと可愛らしくも勝気な女の子アンナに告げる言葉。
  ”ヒトラーは、でたらめな事を言って、ユダヤ人を貶めている。だから、私たちは証明するのだ。誠実で、勤勉で、寛容なのがユダヤ人の長所であうことを・・”

 3.アルトゥアとピアノ奏者の妻ドロテアの深いお互いへの信頼と、聡明さが印象的である。
 彼らは、常に一歩先を読んで行動する。
 子供達にとっては辛いベルリンでの裕福な生活を捨ててでも。そして、スイス、フランス(ここは、少しハラハラする。だって、ナチス・ドイツは・・)を亡命先に選び、徐々に貧しい暮らしになって行く中、誇りを忘れず行動する。
 何より、アンナがスイスでも、フランスでも、言葉に苦労しながらも、現地の子供達に溶け込んで行く明るくお転婆な姿が、可愛らしい。
 スイスアルプスの美しさも、画に華を添えている。

 4.アルトゥア夫妻が、常にマックスとアンナの教育を重視している姿勢が、心を打つ。その結果がエンドロールで流れた、その後の二人が成し遂げた事に繋がっているのである。

 5.家族がお互いを思いやる姿
  ・ピアノが弾けない妻ドロテアに、クリスマスプレゼントでアルトゥアが渡したプレゼント。そして、夫が厳しく批評した演劇作家の家に招待されたドロテアと作家の妻の連弾シーン。
  ー アルトゥアは、聡明だけれど、頑固でプライドが高い所も、人間味を感じる。-

  ・パリで、空腹のため機嫌が悪いマックスをアルトゥアが連れ出し、カフェでエスカルゴを食べさせるシーン。
  - 異国の地の、美味しきモノを食べさせる。これも、教育であり、父親の愛情表現でもあろう・・。-

<引っ越しは辛い事だけれども、聡明な夫婦が子供達の命を考え、素早く行動した事。
 その際に、子供たちへの教育も忘れていなかった事。
 結果的に子供たちは、フランス語も、英語も話せるようになるんだよね。
 マックスとアンナが、辛い時代環境の中、逞しく成長して行く姿が、素晴らしい作品である。>

<2021年2月28日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU
ゆり。さんのコメント
2021年3月2日

リクエストを聞いてくれるなんて、素敵な映画館ですね。そういう映画館はコロナにもシネコンにも負けずに続いて欲しいです。”優しさ溢れる”だなんて、もったいないお言葉、額に入れて飾りたいくらいですが、自分は気が弱いくせにキレやすかったりする人間です。自覚しております。でも、よろしくお願いいたします。

ゆり。
ゆり。さんのコメント
2021年3月1日

時代背景としてはとても暗いはずなのに、可愛らしくて、ユーモアもあって、一家の前向きな姿勢が素晴らしかったですね。自分がレビューを書いて読み直した時、なんだか悲しい映画みたいになってるなと思い、書き直すか迷ったんですが、その時は悲しい部分に多く反応してしまった気持ちを尊重しようとそのまま投稿したのでした。NOBUさんのように書けば、内容が的確に伝えられますね。

ゆり。
talismanさんのコメント
2021年3月1日

レビュー・タイトル被るの光栄です!本当にそういうお話だから。

talisman