「”大好きなものたち”と”無邪気な子供時代”に「さようなら」」ヒトラーに盗られたうさぎ ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
”大好きなものたち”と”無邪気な子供時代”に「さようなら」
ジュディス・カーという絵本作家のことは知らず、本作の事は新聞の紹介記事で知り、観たいと思いました。とても美しい映画です。
1933年のベルリン、ユダヤ人の9歳のアンナの父は演劇評論家でヒトラー批判をしていた為、次の選挙でヒトラーが当選する前に一家は亡命を決めます。兄とアンナが許された持ち物は本2冊とおもちゃ1つだけ。アンナはいつも一緒にいてくれたボロボロのうさぎと新しい犬のぬいぐるみのどちらにするか真剣に悩みます。そして家や家具たちに「さようなら」を言います。可愛がってくれたお手伝いさんや小父さんにも別れを告げました。
一家は助け合って暮らしますが、生活は安定せず、数か国を転々とします。子供たちはその度に新しい習慣や言葉を一から覚えなければならず、お友達ともお別れです。父親は、「新しい事を覚えられる」と励まします。
伝え聞く祖国の状況は悪化の一途で、アンナはうさぎを置いてきた事を後悔します。兄は、「新しい犬だっていいじゃないか。古いうさぎは卒業しろ」と言います。ピンクのうさぎは、無邪気で幸福だった少女時代のアンナです。アンナは、うさぎと大好きな人たちを忘れませんでした。でも、新しい生活も怖くありません。だって、今はまだ知らなくても、私は覚えられるんだから。
最初は子供らしくわがままを言ったりしたアンナが事情を呑み込んでくると次第にわがままを言わなくなる姿は心が痛みますが、悲惨な映画ではありません。子供の感性と前向きな姿勢が素晴らしいです。
今晩は。
”リクエストを聞いてくれるなんて、素敵な映画館ですね。そういう映画館はコロナにもシネコンにも負けずに続いて欲しいです。”
⇒リクエスト・コーナーがあって、各自リクエストメモを張る形式です。けれど、あくまで決定権は当たり前ですが、映画館が決めます。
ここ最近は、名古屋に行けないので、セカンド上映ですが観れなかった映画を多数掛けてくれており、有難い限りです・・。
ちなみに、”刈谷日劇”は60年以上の歴史を誇る西三河の映画文化を支えて居るミニシアターです。(私の勤務先のすぐそばにあったのに、通い始めたのは2年前からです・・。”刈谷日劇”の営業マンみたい・・。)
”自分は気が弱いくせにキレやすかったりする人間です。”
⇒私は気性が荒く、会社ではパワハラ男と呼ばれていますが、滅多にキレません・・。但し、家族に対し誹謗中傷されると・・。先日、おバカなレビュアーに切れたばかりです・・。修行が足りないなあ・・。
では、又。
今晩は
今作は、都会では昨年11月公開だったのですね・・。
観たいなあ、と思って地元のミニシアターにリクエストしたら、掛けてくれました。(涙)
”でも、新しい生活も怖くありません。だって、今はまだ知らなくても、私は覚えられるんだから。”
ゆり。さんのレビューは、屡、拝読させていただいていますが、優しさ溢れるところが、私は好きです。(何だか、スイスの男の子のアンナへの告白みたい・・。、すいません・・。)
では、又。