「それぞれ、自らと仲間を見つめ直す時間が最高」ベイビー・ブローカー Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれ、自らと仲間を見つめ直す時間が最高
里親探しの旅に出かけた5人は赤ん坊のウソン含めて、全員が訳あり。旅の進行と共に皆の気分はだいぶ和らいできているが、殺人者もいる。
◉ゴンドラに揺られながら
遊園地で揃ってゴンドラに乗るシーン。メンバーが互いに思いを馳せ、顔を見合わせる。あー、今度はこんな家族を作って、ここでハッピーエンドにするんだと、私の頬は一瞬、緩んだ。浅はかにもだ。
監督はそこではまだ、ハッピーエンドは用意していなかった。ロードムービーの中でそれぞれの心構えに変化は兆したものの、二人の男はそもそもが人身売買目的の誘拐犯であり、迎えに来ると言いながら結局は里親を探す母がいて、子を買おうとする親がいて、そんな人間たちが刑に服したり、逃亡したりして、手間暇かけて、得られないかも知れぬハッピーエンドを探すと言う物語だった。
でも、人生はきっとそうした努力が素敵な結末を生むんだろうなと、温かな気持ちになれました。
◉答えをすぐに出さないのは優しさか?
街から街へ、結論は先延ばししながら、旅はサンヒョンの顔つきそのままに飄々と続いていった。殺人、子捨て、人身売買と言う濃い問題を抱えながら、それらと正面からは向き合わず、何となくはぐらかしていく。
でも、必死に向き合っていて、答えを出すまでの、間の切なさが胸に沁みました。
◉父はいつも独りだが
水をかけられたのに笑っている、ソン・ガンホは底抜けのお人好し。私もあんな人になりたい……とは断言しないけれど。
しかし、お父さんもう連絡して来ないでと断言したサンヒョンの実の娘は、犯罪的に冷淡過ぎます。これでは親父も、本気でグレてしまう。思いがけず生まれた家族の絆と、そこまで決定的には切れるとは思わなかった絆とが、強烈な対比で見せつけられる。
「タクシー運転手 約束は海を越えて」の時は、父ソン・ガンホの胸に娘の微笑みがあったはずと記憶しています。
汗まみれでブローカーを追い続けた、二人の女刑事にお疲れ様と言いたい。しかし、まさかウソンを引き取って養育するとは、びっくり、大きく拍手。
はじめまして 琥珀糖です。
フォローそして共感ありがとうございます。
映画館へ行かれたレビュー、イイですね。
3年程全く映画館へ行かない私は、映画.comでは
軒先を借りてる人・・・みたいですが、映画が大好きです。
よろしくお願いいたします。
Uさんコメントと共感ありがとうございます!
是枝監督のシナリオは共感できない部分が多々ありますが、しかし、この映画を観て、さすがだなと思ってしまいました。
オールスター揃えてしまいますし、そこが一番すごいですね。