劇場公開日 2022年6月24日

  • 予告編を見る

「産んで捨てるより、産む前に殺す方が罪が軽いの?」ベイビー・ブローカー 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5産んで捨てるより、産む前に殺す方が罪が軽いの?

2022年7月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんウソンを売るブローカー、サンヒョンとドンス。赤ちゃんの母親ソヨンと、ドンスを慕うへジンも同道しての買い主探し旅。どこか陽気で、どこか親切心にあふれている。「善意」という言葉を鼻で笑っていたソヨンと、ブローカー二人の気持ちが通い出したのは、皆が皆、ウソンの幸せを願っていたからだ。
はじめ、この容疑者達を追う刑事は、逮捕することしか頭になかった。それが、彼らの行動を追い続けるに従い、感情に変化が現れる。その結果が、ラストのあれなのだろう。さすがに海辺のシーンから始まるモノローグには驚かされた。そして、サンヒョンの他利、自己犠牲の行動にも。
この映画の中に出てくる誰もが、ウソンを大事に想ってる。そしてお互いに対しても。だから「うまれてくれてありがとう」であり、「ソヨンも、うまれてくれてありがとう」なんだろうな。この映画には愛があふれていた。切ないほどに。ひとりの赤ん坊の幸せを守るために、何人もが身を捧げるように。

栗太郎