「ロードムービー+サスペンス」ベイビー・ブローカー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ロードムービー+サスペンス
“人身売買”という言葉を聞くとドキリとしてしまうが、彼らの願いは金目的ではなく赤ん坊に幸せになってもらうことだった。養父母探しというロードムービーに、一つの殺人事件が並行して描かれ、最後にはウルッとさせられました。「生まれてきてくれてありがとう」という言葉がこんなにも優しいなんてのも素晴らしい脚本。俺なんてどちらかというと、「生まれてきてごめんなさい」なんだけど・・・
韓国女優の中で「国民の妹」と呼ばれる女優IU(イ・ジヨン)。かつてはムン・グニョン、パク・ポヨン、キム・ヨナ(フィギュアスケート)たちがそう呼ばれてきたが、何となく理解できる。そういや、日本に「国民の妹」と呼ばれる人はいない!
殺人課ではない刑事(ペ・ドゥナとイ・ジュヨン)を配したのも画期的であり、殺人事件については無関心を装ってるところがいい。人身売買ともとれるブローカーを執拗に追うのが仕事だからだ。ここでは『空気人形』(2009)の時のアイドル的なドゥナちゃんとは全く違い、優しさの中に厳しさを匂わせる大人なドゥナが際だっていた。
『真実』(2019)では新たな挑戦と思われた是枝監督だったが、作品としては面白くなかった。しかし、日本と通ずる韓国の土壌がやはり是枝らしさを発揮させたのではなかろうか。親子関係、疑似家族といったテーマも一貫しているし、女性蔑視や同性婚などという問題も含ませていた。
「日本の宝」とは言うけど、「国民の宝」とは言いませんよね。日本の国は好きだけど、日本国民としてのプライドは声高に表明しない(できない)国民性、というのもあるかもしれません。
トラック野郎は、トラックに注目です。
『生まれてすみません』って、トラック野郎にありましたね。
もし大人に邪魔者扱いされて本当にそう思っている子供が居たら、「あなたは生きる権利があるんだよ」と言ってあげたいです。
kossyさん
子を持つ喜び、我が子の成長を見守る幸せ、親にとって、それこそが「 生まれてきてくれて有難う 」だと思いますよ。
この作品にも、是枝監督の温かい眼差しが溢れていましたね。
kossyさん、太宰治じゃないんだから。生まれてきてくれてありがとう。映画を愛して沢山見て楽しくあたたかいレビューを書いてくれる大人になった人、なんて素晴らしい!