「各シーンはハイクオリティ、でもトータルとしては妙にアンバランス」ベイビー・ブローカー シャム猫ダンスさんの映画レビュー(感想・評価)
各シーンはハイクオリティ、でもトータルとしては妙にアンバランス
うーん…万引き家族がインパクト大だったので、あの是枝監督が海外で撮った作品ということで色々と期待値が上がりすぎていたのか。。
なんというか、色々あったけど最後は小綺麗にまとめたなあ、という印象でした。まあ、タイトルからしてその印象はありましたが、登場人物に毒が無さすぎるというか…登場人物(脇役含む)の言動やバックグラウンドが用意されたもの感が強くて感情移入できずサラサラと鑑終えてしまった感じです。言葉を選ばずに言えば浅薄。
列車移動時のトンネルでの陰影の使い方、車の窓に張り付いた花びらを取る仕草、観覧車での目隠し会話やモーテルで電気を消して感謝を伝える場面など各所で見どころは多くあったのですが、なんというか全体で有機的に繋がっておらず、各シーンで良いカットを撮るためだけに用意された設定、演技、演出の感が強い。
もう少し俯瞰的に見ても、ブローカーという設定、序盤のビデオを消したりするところのやりとり(結構洗練された犯罪組織なのか?と思ったら全然そんなことなく、何の伏線などでも無くただのバイトやクリーニング屋さん)、警察の執拗さ(ここまで四六時中張り付くような事案なの?てか利用とか言ってるけど、殺人事件の犯人逮捕の方が圧倒的に優先事項では?)、疑似家族としてのやりとり(何だかんだ道中みんな仲良しで特に変化なし、ヒロインと警察との取引って必要だったの?)などなど、それぞれが妙にアンバランスで。韓国の人が見たら色々共感できるのかなあ。。
大きなお世話かもしれませんが、是枝監督が本当に表現したかった作品になっているのか疑問です。キャスト、スタッフと細部までしっかりコミュニケーション取れていたのかなあ…韓国側の関係者のスキルの高さは伺えましたが、うまく監督の表現したいテーマとそこが噛み合ってなかったような感想を持ってしまいました。