「山に響く美しい歌声」ブータン 山の教室 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
山に響く美しい歌声
ポスターの写真だけでも美しいブータン映画。首都ティンプーの普通の若者、他の国の都会の若者と同じような今どきの軽いノリの彼。一応教員なんだけどこらえ性なく教員やめてオーストラリアへのビザを毎晩遊んで待ってる。急に辺境の小さな山の村に赴任命じられ携帯電波もない山奥へ。最初は帰る!というんだけど目がキラキラの子供たちがかわいくて何もない教室工夫を凝らして授業を始める、ヤク飼いの女性にヤクを追いながら歌う歌を習う、貧しいが満ち足りて、足りないものを渇望して決して満足とはならない都会とは違う生き方暮らし方を知る。オーストラリアへのビザ無事取れて、冬がくる前に(冬の間は雪で学校閉鎖)任期は終わるのでそのまま子どもとも女性とも別れを告げてギター片手に歌手になろうとオーストラリアへ。バーで英語の歌(古くてださいの・・・)歌うがオージーたちは誰も聞かない、嫌気がさしてふとギターを置いてヤク飼いの歌を歌うってラストで、ネタバレしちゃいましたが、幸福度世界一というブータンで背中にそう書いてあるTシャツを主人公も着ているんだけど、年寄りが幸せ世界一の国って言われてるのにお前たちはなぜ外国へ行きたがるんだね幸福はここにはないのかってつぶやく。おそらくコロナワクチンもまだ届いてない、山奥の村で、確かに物はないけど手に入るもので充足している村、学校の先生を熱望し三顧の礼で迎える村長さんは「教師は未来に触れることができる職業」という。不便で寒いけどほぼ自給自足で捨てるものがほとんどなかった古き良きラダックの暮らしとか、ある意味幸福度高いこのようならブータン山村とかにある幸福、それに比べ、モノ金サービスが究極を超えてしまった都市部の生活その落差。今SDGsとかESGとか言ってるけどこれも法制化されて制度化されて資金化されてCO2削減できない小さな企業は淘汰される、設備投資できる大企業だけが生き残れる。子どもたちの未来将来のため教育を受けさせたい村長、教育を受けた子どもたちは都会に出てさらに勉強を続けるだろう、未来は都会や幸福の国の外を出ていくところにあるのからさらに未来に触れるべく山の教室にもどってくるのか。ヤク飼いの女性はいつでもここにいると言った。私たちが回帰するところはまだ常にあるのか、微かな希望を感じる。