私たちの青春、台湾のレビュー・感想・評価
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民主主義の根本的な難しさに触れた作品
世界中で民主主義が困難に直面している。台湾は東アジアにおける民主主義の優等生と言われる。しかし、内情はそんなに単純なものではないとこの映画は明かしている。台湾独自の問題もたくさん描かれるが、それらを通して見えてくるのは民主主義が本質的に抱える難しさだ。
ひまわり運動で行政府を占拠した若者たちは、透明性のある政治を求めて行動を起こした。その当人たちが、占拠中にデモの方針を不透明な密室で決めてしまう。そのことを当人たちも矛盾していると感じている。
運動のリーダーだった青年は選挙に出馬するが、過去のスキャンダルが発覚して失脚。側近メンバーが思わず本音で「コネでもみ消せないかな」と漏らすのをカメラは捉えている。リベラルで多様な価値観を認めるはずの若者たちが、中国人留学生を国籍だけを理由に排斥する。
矛盾だらけの民主主義。でも、立ち止まらず反省し、かろうじて前を向く監督の誠実さは特筆に値する。誰かに期待を押し付けないこと、それがいかに残酷なことなのかに気が付くこと。民主主義の本質的な困難さを乗り越えるためには、本作で監督自身が発見したことを、多くの人が気づく必要がある。
泰山鳴動して鼠一匹とは!!
泰山鳴動して鼠一匹で、
鼠は何一つ反省しているようには見えない。
偏見を持つ事には異議は唱えるが、まさか、過去の犯罪に対して炳然と開き直る。
この映画で描かれている運動がどう言った運動かは理解できないし、日本人として内政干渉するつもりはないが、少なくとも今の両岸問題とは無関係と見た。
兎に角、性的な犯罪に哲学は不要だし、弁解を許すまじ。世の中を変える前に、自分を変えるべきじゃないか?勿論、同一障害者の様な件に付いては別と考えるべきだ。明らかにこの行為は両性の合意がないのだから、一歩的な暴力になる。従って、許される行為ではなく、同一性障害者とは違い、治療する必要がある。
この映画の演出家に言いたい。この映画を駄目にしたのは、あなたの責任ではない。別の意味で大変にスリリングに感じた。
背景を知っている人が見れば理解できると思うが・・
台中貿易協定に対する学生デモである「ひまわり運動」と、関わった台湾人達と中国人留学生のドキュメンタリー。徐々に親中へ傾斜をかけていく国民党や時代錯誤な台湾の大学運営と果敢に対峙した学生たちの苦悩と光について描写という意味ではいいと思う。
ただし、台湾人のバックグラウンドを詳しくは知らない外国の視聴者が視るには、いささか説明不足や紹介不足な面が否めない。台中貿易協定にどんな背景があって実際問題としてどういう問題が実際に存在しているのか、ひまわり運動を行うことにより国民党政権からどのような駆け引きや譲歩を引き出したのか(王金平行政院長が一方的に折衝してくれたというがそういう容易なことではなかっただろう)、時代力量という反中寄りの政党結成につながったが既存の民進党や民衆党、台聯との違いにしたいのは何かなど、全体的に主張や現実が伝わりにくいのではないか、と思えるストーリー仕立てだった。また、2時間の上映時間のほぼ全てをドキュメンタリー1本に振って「寄り道」をあまり設けなかったことも、視聴者が上映時間の間興味と関心を維持し続けるのを難しくする要素をつくってしまったのではないかと思う。
台湾人のみの問題としたのではなく、中国人留学生(詳しい背景が分かりかねるが)や香港の民主派という視点を設けて、内省人との不和や差別という問題を含めて訴えてくれたのはいい視点と思う。真の両岸関係を樹立するには、そして世界が中国という現状独裁国家に向き合うには、台湾人と香港人だけでなく世界中の華僑の力、華僑以外の諸分野の理解者達の力も必要と思うからだ。今後とも、世界になかなか理解されにくい台湾の魅力や社会問題、思想などを取り上げてくれる優秀な映画が出続けてくれることを切に願う。
民主主義の難しさ
台湾で2014年3月に中国との貿易に関する立法について、過程の透明性を求めたひまわり学生運動が起き、学生達が立法院を占拠した事件の前から、その後を描いたドキュメンタリー作品。
この運動でリーダーをしていた男子学生のウェイティンと中国からの留学生で台湾の様子をブログ発信していた女子学生のボーイーに興味を持ち、彼らなら何かを変えてくれるんでは、と期待したフー・ユー監督が2012年頃から2人を追っかけてきた。
結果として、監督の思うような展開にはならなかったけど、中国大陸、台湾に香港も含めた難しい問題に踏み込んでいるのは素晴らしい。
2017年までだったが、その後香港はもっと中国の弾圧が厳しくなっており、台湾の危機感はこの作品以降もっともっと高まっているものと想像する。
民主主義に向け中国の圧力という危険はあると思うが、続きが観たいと思う作品だった。
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