ウィッカーマン final cutのレビュー・感想・評価
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洗脳させられるようなカルトホラー映画
炎を取り込め
大きく燃えろ、燃えろ
炎がタネをまき、滋養を与え
赤ん坊が泣く──
────作中で行われる、謎の儀式より
【感想】
『ミッドサマー』観たことないのに、なぜかこっちを先に観ようと思った者です。
とにかく不気味で、でも不思議と惹き込まれていく奇妙な映画でした。
作中、島の宗教儀式がとんでもなかったです。病気を治すためにカエルを口に含んだり、少女たちに全裸で踊らせたり、人を生贄にして焼いたり。もうぶっ飛びすぎていて、逆に平然と観れてしまっていました。これ現代人の感覚からするともーホントにヘンテコになります。
主人公は最後、「どれだけ言葉で着飾っても、やってることは殺人と同じだ!」とかまともなこと言っていたのに、いきなり意味不明な歌を歌い出して、神にすがるという。
いくらガッチリしたハウイーのような警察官でも、こんな儀式にさらされたらそりゃ狂いますよね。
で、見どころはやはりクリストファー・リーの気迫迫る演技。これゃ怪奇映画スターって言われるだけあります。ラストシーンのポーズなんとなく好きですね。
これを機に、『ミッドサマー』も近頃観てみようかなぁと思います。
(胸糞だろうし、数日引き摺るだろうけど……でも見たい。いやー人間の心理って恐ろしいですね)
(軽々しく言うなよ……)
夏がやってくる
声高く歌うのはカッコー
タネは育ち、はちみつ酒は熟す
樹木には新芽が吹き出る
子羊を追い母さん羊が鳴く──
────〈夏はきたりぬ〉
イングランド本土の警察あてにスコットランドの離島サマーアイル島から...
イングランド本土の警察あてにスコットランドの離島サマーアイル島から、行方不明の少女を探してほしい旨の手紙が届く。
本土から乗り込んだハウイー巡査部長(エドワード・ウッドワード)は件の少女の写真を見せながら調査を進めるが、島民のいずれも、そんな少女は知らないの一点張り。
その上、サマーアイル島は領主(クリストファー・リー)による私有島で、文化も本土とまるきっり異なり、自由に男女の交合がなされている。
敬虔なクリスチャンであるハウイー巡査部長は、その島の文化に馴染めず、調査も行き詰まってしまう・・・
といったところから始まる物語で、キリスト教文化だけが文化じゃない、といういわゆる、観る者の常識に問いかける映画。
最終的には、被害者は探偵!という驚天動地のようなオチになるのだけれど、自己犠牲やなにやらとか、科学的には云々、という常識を、「それって口だけだよね? ははン?」って鼻であざ笑うようなところに着地する。
原題は「Anthony Shaffer's THE WICKER MAN」で、脚本化アンソニー・シェイファーの名前が冠されている。
『フレンジー』『探偵<スルース>』『ナイル殺人事件』『ジャック・サマースビー』などのひとなので、狙いは変格ミステリーだと思うのだけれど、もともとは舞台の戯曲も書くひとだから、もしかしたら、ミュージカルとして書いたのかもしれません。
とにかく、スコットランド民謡風のおおらかな楽曲に彩られており、ラストシーンなどは、一緒に踊りだしたくなるぐらいなのだから。
リメイク版に無いものが全てある
今頃この作品を見る物好きの皆さんは、話の筋はご存知かと思います。
このため、いかに怪しい雰囲気を見せるかが肝と考えます。
リメイク版は、よく訓練された俳優さんが、それらしい田舎で、田舎くさい衣装で、キレイに撮れています。すると、テレビの2時間ドラマのように見えてしまいます。あ、ニコラス・ケイジのいつもの感じねって。
クリストファー・リーが行ってしまっているのは当然として、島民が良い。特にお爺ちゃんたち。
服装も良い。普通にも見えるし、民族衣装の人もいるし。リメイクはそれらしく古臭くしているので、返ってわざとらしいです。
街並みも、田舎の家だけで無くて、適度に都市化しているのが良い。
フィルム撮影の粒子感があるのは当然として、絵がキレイです。特に色が良いです。
そして、最もよく効いているのは歌と踊りでは無いでしょうか。日本でも歌・踊り・祭りは最も、古い伝統が残っているものですよね。生活は基本的に普通に暮らしているが、文化がオカシイというバランスがいいですよ。それと、みんななぜか歌が上手いの。
このように、怪しさのバランスが素晴らしいので、満足でした。
アノ作品を劇場で観れて幸せです。
あと、主演のエドワード・ウッドワードの堅物警官の演技を、ホット・ファズのサイモン・ペッグが真似しているなと思ったら、本人がホット・ファズに出ているではありませんか。今度、見直してみます。
どんな酷い言葉を並べて讃えても足りないくらいの作品ですw
ポスタービジュアルにある巨大木製人形がどうにも気になってた作品で、夏に公開された「奇想天外映画祭」で上映されたのは知ってましたが、タイミングが合わず観られなかった。
で、今回、都内では新宿の「K’s cinema」のみで1日1回のみの上映。それも昼間だけと、観賞条件はあまりよろしくないのですが、そう言う条件の方が観賞意欲は掻き立てられると言う物w 前回の失敗を活かして鑑賞しました。
で、感想はと言うと…酷い映画だw
カルト。それもかなりのカルト映画。でもとても興味の唆られるカルト映画。
まさしく「ミッドサマー」の元になった様なストーリーはミッドサマーが好きな人には多分愛されるんではないだろうかw
独自の宗教観が根付く土地で多く普及されているキリスト教を異教徒とし排除するストーリーはカルト映画ならではですが、「スコットランドに古くから伝わる原始的宗教が生き残る島を描いたミステリアスなフォークミュージカル風恐怖ドラマ。」と言う作品説明が笑えるw
確かにそう言えばそうなんだけど、「ミステリアスなフォークミュージカル風恐怖ドラマ」ってどんなのか逆に想像がつかないw
もうカルト映画でいいじゃんと思うのにその説明が逆にややこしくしているが、ある意味鑑賞意欲を掻き立てるw
要するに怖いもの見たさ満載の作品で観て良かったか?と言えば観て良かったw
これはカルト好きの心をワサワサとくすぐる作品ですよ♪
ケルト神話に古代ガリアで信仰されていたドルイド教と言う宗教に「ガリア戦記」と言う言葉も出てくる宗教設定が調べれば調べる程にカルト頭に厨二病頭も刺激するワサワサ感が最高♪
これに古代ガリアの宗教儀式として使用された木製の編み細工で出来た巨大な人型の構造物の檻の中に供犠・人身御供として捧げる家畜や人間を閉じ込めたまま焼き殺す祭儀と言うのはカルト心をワサワサよりもザワザワさせますわw
ミッドサマーはスウェーデンが舞台だったけど、この作品はスコットランドの孤島が舞台。
いろんな宗教があって、それぞれの宗教観があるので、自分の価値観に合わない宗教がカルトや異教徒と考えるのはかなり危ない考え方と言うのは敢えて踏まえて言っても、“北欧ってどんだけカルト宗教が多いねん”と思いますわなw
5月に作品の中で行われた「五月祭」が行われて、6月の後半はミッドサマーの「夏至祭」が行われる北欧の初夏の訪れが恐ろしいw
1973年の作品なだけにザラつく画質もカルト映画っぽくて良い感じ。
また、カルトっぽく島全体が乱痴気騒ぎで性にも開放的と言うのもそれっぽい。
ちゃんとカルトの王道を踏まえてますw
サマーアイル卿を演じるクリストファー・リーは「吸血鬼ドラキュラ」のドラキュラ伯爵の他に古典ホラーにも多く出演している名俳優。
劇中のサマーアイル卿は最初観た時にはクリストファー・リーとは全然気か付かなかった。
クライマックスのシーンでの髪が爆発頭の様になってる姿は同じクリストファー繋がりで「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の時のドク役のクリストファー・ロイドを思い出しましたw
古い作品なので様々な設定を読むと更に観賞後も楽しめる♪
「五月祭で燃やされる生贄は少女ではなく、童貞で、賢くかつ愚かな者でなければならず、しかも王の代理として自由意思で来なければならない。」と言うのは凄いご都合設定だったとしても、生贄となるハウイーが童貞だったと言う設定は“ウソつけ!”と言いたくなるぐらいのツッコミどころ。
宿の女に一晩中誘惑されていてもその誘惑に負けずに意志を貫いた強い男で、断った理由が「婚約者がいる」と言っていたのに、それさえも怪しくなってきたw
仮に本当に婚約者が居たとしても童貞の男が婚約者って相手はどう思うのだろうか?
また、警官として国に正義を捧げ、国に誓いを立てる=女王に操を立てると誓っての童貞だったとしてもかなり痛い。女王もある意味いい迷惑だw
カルト宗教の話かと思いきや、生贄になった男の設定もカルトでしたって良く出来た話だw
木製の編み細工の人型の檻に閉じ込められたからって、力任せに突き破れば出来んじゃね?と思えるぐらいに檻としては弱そう。
でも全体を醸し出している空気が怪しく澱んでいる感じでそうは出来ない磁場の狂った世界観がタマランですw
またハウイーが閉じ込められた檻が焼け落ちてきて、人型の首が擡げた際に見えた夕陽のシーンは恐ろしくも美しい感じの屈指の名シーンではないだろうか?
この作品がカルトであっても、何処か危険で儚く脆く、怪しい魅力はラストに込められている様に感じます。
ニコラス・ケイジ主演で2006年にリメイクされたとの事だけど、なぜこの作品をニコラス・ケイジでリメイクしようとしたのかが謎。もちろんそれだけのカルト臭に魅せられたと思うけど、案の定「ゴールデンラズベリー賞」を受賞しているしw
日本ではごく僅かだけど過去に何度か劇場での上映もされていて、DVDも売られているし、配信でも鑑賞は出来るとの事なので、鑑賞困難と言う程ではないが、オリジナルを劇場で鑑賞するのはちょっと稀かな。
カルト映画って一定層には熱烈な支持があるし、個人的にもカルト作品は好きなんですが、実は今まで引っかからなかったのが悔やまれるw
でも、観賞するとカルト・オブ・カルトな作品です。
久しぶりの満足のいく変な映画を観ました♪
機会があればニコラス・ケイジ版も見ようかと思いますが…今はお腹一杯なので、当分はこの作品の余韻に浸っていようかなw
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