「テクノロジーが夢やぶれた若者を立ち上がらせる」AWAKE 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
テクノロジーが夢やぶれた若者を立ち上がらせる
2015年の電王戦を題材にした映画だが、人間関係などは基本的にフィクションだ。しかし、あの電王戦でもしかしたら我々が見落としたかもしれない人間ドラマを描いてるなと思った。
AIと人間のプロ棋士が対決するというコンセプトの電王戦は、多くの視聴者にとってプロ棋士側のドラマだった。日進月歩で進化するAIを相手に、人間代表のプロ棋士たちがどこまで戦えるのか、AIが人間の知能を超えるのではと言われはじめた時代に、人間の尊厳をかけた戦いとして多くの人が楽しんだと思う。
しかし、この映画はその反対側、AI開発側のドラマだ。モデルとなった2015年電王戦に出場したAWAKEの開発者は元奨励会の人だが、映画もその設定を引き継いでいる。一度夢に挫折した人間が、AIというテクノロジーに接して再び夢を得る、というドラマになっている。プロ棋士側も人間のプライドを背負って戦いに挑んでいた。しかし、AI開発側にも人間として託した望みがあったのだ。
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