恋に踊るのレビュー・感想・評価
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ドロシー・アーズナー監督の大傑作!
シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。
この映画、気になっていたので取り敢えず観てみたら、もんの凄く面白かった。
歌、踊り、女性どうしの争い…などなど、笑いながら観て、感動の涙も流せる素晴らしい映画だった。
100点満点だったら、10,000点ぐらい評点を付けたくなる大傑作!
なかなか、こうした映画に出会えるものではなく、何度でもリピート鑑賞したい映画だが、残念ながら未DVD化作品。
物語は、オハイオ州アクロンというタイヤの町が舞台として始まる。その町のキャバレー「パレ・ロイヤル」で踊っている女性たち。その中に、正統派の踊りを見せるジュディ・オブライエン(モーリン・オハラ)と、やたら色っぽい金髪女性バブルス(ルシル・ポール)がいる。
ある大金持ちが妻と離婚しようとしている時、ジュディはその男から「ブルーアイズ(青目)は嫌いだ」と言われるが、それは離婚協議している妻がブルーアイズだから…。
そして、バブルスは色っぽさを売りにしてスターダムをのし上がる。バブルスが高いギャラをゲットし始めた頃に踊る舞台がホーボーケン。このホーボーケンはニュージャージー側にある町で、個人的な話だが、ホーボーケンには日本人向けスーパーマーケットがあったのでニューヨークに2~3ヶ月出張で言った時には納豆などを買いに良く行った場所で懐かしい。
さて、一方のジュディは頑張っているのだが、なかなか認められない。
舞台はニューヨークに移る。
バブルスがスターになってタイガー・ホワイト・リリーと改名したバーレスク舞台に、ジュディが呼ばれる。しかし、リリーの引立て役。そんなジュディの素質を見抜いたダンス演出家アダムスだが……といった展開。
(※)この後も、さまざまなエピソードが続くのだが、長くなるので割愛。
アダムスが言うセリフ「笑っていいんだ、ジュディ」には泣けて泣けて…(^^;
本当に素晴らしい映画であり、こうした作品が一般的に普及されていないのが勿体ないと思えるドロシー・アーズナー監督作品。
大傑作映画の1本と言って良い!
巨匠
ドロシー・アーズナーは、「当時のハリウッドでは唯一の女性監督」だそうだ。
同時上映の映画「人生の高度計」(1933)は、K.ヘップバーンのハリウッド2作目にして、初主演作だそうだが、ストーリーはくだらないものの、映画の作り自体は良かった。
K.ヘップバーンの凜とした魅力を、しっかりと引き出している。
半ばダンス映画と言っても良い本作は、アーズナー40代半ばの、1940年の作品である。
邦題の「恋」というのはあまり深い意味はなく、英題「Dance, Girl, Dance」の方が良い。
(当時20歳の美しすぎる)モーリン・オハラが、場末の踊り子から始めて、「バーレスク」において金髪の妖艶なルシル・ボールの引き立て役になって苦闘し、そして最後にバレエという芸術の世界へ羽ばたいていく、シンデレラストーリーである。
当時のショービジネスの雰囲気も伝わってくる。
ボールはダンサーらしいが、オハラも5歳からダンスを始めていたとのことで、舞台やダンスのシーンは本格的だ。
特に、「バーレスク」におけるボールの堂々とした演技は圧巻である。オハラも替え玉なしに、“ポワント”を披露する。
下品きわまる観客の男たちの描写も面白い。女性の境遇や気持ちに敏感な女性監督だからこそ、ここまで真に迫って描けたのかもしれない。
ブーイングを浴びている時のオハラの演技は繊細で、既に20歳にして、決して大根役者でないことを示している。
しょーもない金持ちの伯爵や、オハラの才能を見い出すバレエマスターなど、脇役も個性豊かだ。
昔のハリウッド映画らしい享楽的な雰囲気ゆえに、また、いわゆる“男女の恋愛物”とは異なる異色作なので、現代ではあまり顧みられていない作品かもしれないが、もったいない話である。
目にも止まらぬ流れるようなストーリー展開やカメラワークなどは、戦前のハリウッド映画の“洗練の極致”と言っていいのではないか。
“レズビアン”映画監督とか“フェミニスト”作家として、現代では注目されているらしいが、代表作である本作を観れば、そんな見方が失礼と言える“巨匠”だ。
<映画の授業(@アテネ・フランセ)で鑑賞>
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