劇場公開日 2021年1月8日

  • 予告編を見る

「人生で大事なことが静かにホンワカと描かれています。」チャンシルさんには福が多いね バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生で大事なことが静かにホンワカと描かれています。

2021年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんとなーーーく、面白そうな気がして鑑賞。
うん、観てよかったですね。なんだか、元気が出るのです。

ラスト近くのセリフ。
「みんな先に行って、私が照らすから。」
これこそ、チャンシルさんのプロデューサーとしての仕事ぶりと人柄を表しているかなと思います。

なんかグッときちゃいました。(見当違いかもしれないけど)
社長(外野の人)には監督の雑用と見られちゃうけど、暗闇を照らし、制作チーム全体を前に進めるためのことを黒子に徹してやってたんだろな。自ら率先して雑用と言われるような細々としたことまでやってきたんだろうな。大好きな映画制作のために。
その仕事ぶりや姿勢、人との接し方、心の砕き方はそばにいる人達には見えているんでしょうね。
だからチャンシルさんの周りにはなぜか人が集まりますよね
いい仲間、大家さんも実はいい人、妖精のように現れる香港俳優にも心配してもらって、、、ちょいと恋もして、、、人が運んでくる福に囲まれてるのは、たまたまじゃなくて、チャンシルさんの人柄や性格、仕事ぶりの証。
(無意識だろうけど)与えていたから、与えてくれる。情は人のためならず。大事なのは人間力。
全て無くなったようでいて、いやいやどうして、チャンシルさん自身が知らずに作っていた財産(福)がたくさんあったのでしょうね。

また、真摯にやるべきことをやりたい事を考え、やり、そして成す。
チャンシルさんに限らず、人生を走り続ける人は、ちょっと休んで改めて自分のこれまでの棚卸しとこれからを考えるのは必要かも?なーんてことも思いました。

うまくいかないことが続いたり、ついていないことが続くと、なんて不幸なんだ!っておもっちゃうけど、人間、体一つになったときに自分自身がこれまで作り上げてきた「無形」の財産を感じるのかもしれません。

果たして僕自身そのような生き方ができてきたのだろうか?
これからどう生きていこうか?をしっかり考えて成さなくちゃな。
なんて、ちょっと身が引き締まりました(笑)

またチャンシルさんの映画愛は、監督の映画愛が投影されてるんだろな。
きっと小津作品もノーラン作品も愛する監督さんなんだろなー。
そして、きっと監督さん自身がチャンシルさんなんだろうな。投影しているんだろうなぁ。
失っても映画制作に戻ってくる・・・それほどの静かだけど熱い情熱のようなものも感じます。

作品全体は非常にホンワカとしています。コメディータッチです。でもウダウダと書いてきたように、人生の中で大事なことはなんだっけ?って考えさせてくれる作品でもあります。
ラストシーン、映画館で(ってところがミソですよね)映し出される映像が、これからのチャンシルさんの人生を予感させます。秀作です。

あ、チャンシルさん演じたカン・マルグムさんが良いです。本当にチャーミングなんです。チャンシルさん。

バリカタ