「恐怖なお通夜」ザ・ヴィジル 夜伽 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖なお通夜
夜伽とは日本で言うお通夜に値するものだが、ユダヤ教のお通夜は故人が迷い無く旅立てる様に夜通し行われる様だ。普通は親族で行われるのだが、身寄りのない故人は全くの他人がその役目を買って出るそうだ。(本当にそうかは不明)主人公はあるトラウマから信仰をしなくなった人物なのだが、お金のためにその役を引き受けるという所からスタートする。本編が短いためここら辺の人物像の掘り下げが少なく、あっという間に問題の屋敷にやって来てしまう。
入ってからの展開も早く、じわじわ寄ってくるような演出が続き、極めつけは認知症の老婆が不気味すぎて怖い以外の何でもない。
時折この老婆がヒントをくれるのだが、残念なことに登場人物が少ない為、謎を解く展開やサブキャラがピンチに陥るいわばホラーの見せ場が少ない為、本作を鑑賞して特別怖いとは思わなかった。本作で描かれるものは「ポゼッション('13米)」でもテーマとして扱われたユダヤ教が根底に存在する。あちらの作品でも終盤に登場するエクソシストは髪を伸ばして帽子を被っていたが、ゴリゴリのユダヤ教徒はそれが正しい格好であり、主人公はそれが原因でトラウマを抱えているのである。本作にも過去虐げられて来たユダヤ教徒らの苦悩や無念さが故の物が描かれており、主人公と並ぶくらい感情移入してしまった。ブラムハウス製作のホラーとしては王道で地味過ぎる印象だが、たまにはこの様なド直球ホラーも良いかもしれない。
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