「孤独、すなわち自由。幸せだと感じられれば、それでいい。」ノマドランド xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
孤独、すなわち自由。幸せだと感じられれば、それでいい。
自分ごとのような気持ちで観ました。でもアメリカ人と日本人では死生観が違うのか...いや老荘思想や仏教的な考えとの違いか?など、少し消化しきれず。
音楽が暗く悲しい... これってそんな不幸なことだろうか?なぜこうも不幸感たっぷりに描くのか、すごく不思議でした。日本は昔から年取ったら隠居or出家とか、世俗の欲を脱ぎ捨て世間から引っ込んで庵に住まう、のがむしろ人間性の仕上げみたいな。清廉になっていくのを良しとするところがあったのでは。
余計なものは段々いらなくなります。家も、持ったまま死ねないしね。人付き合いも減らして(コロナ禍で少し早まりました)。執着を手放し、身軽に、いつ死んでも後悔しないようにしておく。庵がキャンピングカーになっただけ。持ち物はそこに収まるくらいのもので、むしろ単純作業のような仕事があるのは、幸福。その日その日に完結する仕事は、心身ともに健康的で、シンプルに社会のお役に立ち、お金まで頂ける。ちょうどいい。動かずご馳走食べて、食べた分燃やすためジム通いするより、真っ当と思います。マネーゲームの世界とは真逆だけれど。重い責任や名誉や駆け引き、人脈、人間関係、承認欲求。そういうのは若い人に譲っていいのでは。
先日TVでドラマ「北の国から」をシリーズ通して観ましたが、なぜか通じるものを感じてしまった。でもこちらの主人公:黒板五郎は周りからどんな目で見られても、幸せそう。(脳内でノマドランドのバックに「北の国から」の曲をかけてみたら、主人公ファーンもいい表情になった)「北の国から」の最終章テーマは遺言。
人生は旅と同じ。出会いと別れ。諸行無常。でも必ず終わりがある。去る時は一人。皆、同じ。だから悔いのないよう最終章を生きるのです。
たしかに、ファーンは五郎さんと違い移動生活者で女性。スタンガンは要る。自衛は必要。どうせ死ぬといっても、殺されたくはないですよね。エンディングを楽しむには、経済的自立の上に精神的自立も必要でしょう。最愛の伴侶を亡くして孤立感がまだ癒えない主人公は、精神的には不安でまだ揺れながらノマドをしている。
けれど見方を変えれば、主人公は配偶者に恵まれ、これまで愛のある人生だった。幸せな子供時代。お姉さんからも、愛されている、タイプこそ違うけれど。旅する先々でも友情に恵まれる。
愛はお金では買えない。
お金教の信者みたくなってしまった人たちに、なんかモノ申したいけれど、それ言ったら負け犬の遠吠えに聞こえてしまうよねって、もしや主人公が一番自己卑下してる?って気配が漂っており...まだ精神的自立のq途中なのかもしれない。
でもそれでいいのだと思います。誰かの評価より、自分の気持ちに正直に。ゆっくりそうなっていけば。