「ハウスレスという生き方」ノマドランド aymiiさんの映画レビュー(感想・評価)
ハウスレスという生き方
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物に溢れている現代社会の中で、この作品中に出てくるノマドたちは自然を愛し、目に見えないものを信じながら日々を生き抜いている。彼らにとって車は自分の身体の一部であり、地球自体がホームなのではないか。じゃあこの映画はその生き方を賛美しているのかというと、そういう訳でもない。物に執着をしてしまう社会を構成している会社の一つでもあるAmazonでの仕事にノマドたちが携わっていることにも皮肉的な意味合いを感ぜざるを得ないほか、経済やお金とは無縁という様子でいながら、いざバンが故障してしまったとなると、不動産で稼いでいる妹夫婦に頼っていくという矛盾点も赤裸々に描き出している。私たちは時に『自由』に憧れを抱くが、それを真の意味で手にするためには様々な代償が付き物であり、アウトサイダーであったとしても完全に自分と社会を切り離すことはできないのだという現実をも突きつけてくる作品。観る人の年齢・バックグラウンドによって、かなり評価は分かれるのではないか...。本当のノマドを起用した効果でもたらされているリアリティや、物語全体に続く円環構造など、本作品の作り込まれ方には目を見張るものがあるが、個人的には物語自体があまり刺さらなかった。もう少し歳を取ってからまた見直したら変わるのだろうか...。
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