「映画の底力を観た」ノマドランド kenさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の底力を観た
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スゴイ映画を観た印象。
ドキュメンタリーのロードムービーは退屈な絵になりがちで、人が絡んでくるとカメラを意識して素人は下手な演技になりがち。リアリティを追求すると隠し撮りみたいな画面構図になるが、ノマドランドはまさに映画。
アマゾンに依存するノマド生活者の話はニュースにも取り上げられているので知っている人も多いと思うが、日々の実情にこれほど迫った映像はないのでは。
広大なアメリカの大自然の美しさは添え物で、何より凄いと思ったのが終盤のノマドサークルのリーダーと主人公の対話シーン。ただのドキュメンタリー映像ではなく、映画として構図やカット割りを抑えながら、出演者はベテラン俳優と勘違いしてしまいそうなセリフや表情を見せる。
盛り上がる音楽や、演技者の過度な叫び、わめき、アクション、顔芸に慣れた人にはピンとこない場面かもしれないが、まるで奇跡の瞬間に立ち会ったような気がした。
こんな映画が興行として成り立つことに、アメリカ映画産業の底力を見たような気がする。
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