「実はオムニバス仕立て。」ノマドランド 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
実はオムニバス仕立て。
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スリービルボードは好きで、フランシスマクドーマンドと町のしがらみのモヤモヤも上手く描けていたし、ラストも好きだった。
いくつかの賞で話題になった今作も映画好きには注目の一作だった。
しっとりと始まり、しっとりと終わる。
終始、いやらしく無い湿り気が心地よい、アメリカの大地の壮大さが伝わるロードムービーで有り、実は細かい章毎に別れたオムニバス映画だと思う。
行く先々での出会いで人との心の触れ合いを描く作風をとてもすんなりと受け入れていたけど、ああ、これは深夜食堂と同じ作りなんだなと気付いたら、全てがすんなりと収まった。
これは、主人公をフィルターにしたそれぞれの登場人物の人生の旅路を描いていたんだなと。
結果、主人公自身は冒頭の出来事を彼女なりに乗り越え、そして今の生き方と向き合う。
自由という素晴らしいモノを手に入れつつ、死の厳しさが常に背後に迫っている。
彼女たちは前に進む限り、目の前の進む道筋は自由に選べる。
そういうメッセージを感じた。
感染症の恐怖で箱の中に閉じ込められた生活を強いる我々には、希望というより、憧れの世界だと思う。
生き方を考えるとても優しい良い映画だった。
P.S. 膝が痛くて、只者じゃ無いデブから、ただの膝の痛いデブにレベルアップしました。
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