劇場公開日 2021年3月26日

「不自由だけど自由に生きる人の1年を追ったお話」ノマドランド kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0不自由だけど自由に生きる人の1年を追ったお話

2021年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

もっと悲惨な居場所のない高齢労働者の話なのかと思って見始めた。実際は、命に関わる絶対的貧困ではなく、セーフティネットありの相対的貧困の人の話だった。でもそこに至るまでのストーリーに心が痛んだ。アメリカ社会って転職が当たり前の社会かと思いがち。でもそれはanywhreで働ける高収入知的労働者だけの世界なのかもしれない。生真面目な一般大衆は、案外仕事も住まいもコミュニティも、会社城下町に縛られている人って実は多かったんだろうな。いきなり会社都合で自宅(社宅)を追われ、残りたくてもまちが郵便番号もない不毛の土地になるなんて。当然、福島の原発難民のことが脳裏を過った。
コミュ力ってほんと大事。主人公(ファーン役のフランシス・ルイーズ・マクドーマンドはとても魅力的。スリービルボードの続きみたいだ)先々で思い出作ってハグしてBFまで出来てって、出来すぎのような話だ。西部の自然も美しくて、大人のおとぎ話に見えてしまった。だからこそ余計「こう言う人たち、コロナ下でどんな不自由してるんだろう」と思わずにはいられない。
ラストにかけて、ロードムービーに被さる端正なピアノはとても心地良かった。

Kumiko21
NOBUさんのコメント
2021年4月1日

今晩は。
 ”いきなり”会社⇒政府”都合で自宅(社宅)を追われ、残りたくても町が郵便番号もない不毛の土地になるなんて。当然、福島の原発難民のことが脳裏を過った。”
 秀逸な着眼点ですね。私もこの点は脳裏を過りましたが、自らノマドを選択した人々の姿を重んじて、レビューでは言及しませんでした。
 自ら望まずに”ノマド”になってしまった日本の福島の人々の事を忘れては絶対にいけませんね。

NOBU