「いつだって、どこだって、とことん無力な、国連平和維持軍!」アイダよ、何処へ? 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
いつだって、どこだって、とことん無力な、国連平和維持軍!
2020年(ボスニア・ヘルツェゴビナ・オーストリア・ルーマニア・オランダ・ドイツ・ポーランド・フランス・ノルウェー・トルコ合作)
監督:「サラエボの花」のヤスミラ・シュバニッチ監督。
ボスニア・ヘルツェゴビナの町、スレブレニツァで起こったジェノサイドの事実を描いた映画です。
(ジェノサイドとはジェノス(種族)サイド(殺戮)を組み合わせた言葉です)
1995年7月。
セルビア人勢力に占拠されたスレブレニツァの住人は、保護を求めて2万5千人が、
国連基地に集まった。
国連を仲介として、話し合いが持たれる。
そこで、セルビア人勢力は、住民をバスに乗せて別の安全な町へ移送する・・・
と、約束するのだった。
この映画の主人公は国連平和維持軍の通訳のアイダ(40代の中年女性)です。
逃げて来た住人の中には夫と息子2人が居るのです。
大体に平和に暮らしていたスレブレニツァの人々が何故住み慣れた町を捨てて、
出て行かねばならないのか?
まったく腑に落ちません。
国連平和維持軍の大佐は、セルビア人の言葉を易々と信じるのです。
この辺りをみていると、国連平和維持軍に本当の責任者がいるのか?
寄せ集めのアマチュア兵士の集まりに見えて来ます。
でなければ、セルビア人に舐められたものです。
虐殺の途中にでも何故、止めに入れなかったのか?
通訳のアイダは、誰よりもセルビア人の約束を信じていません。
勘が働いたのでしょうね。
国連にも信頼を置いてなかった。
アイダは夫を2人の息子を必死で隠して守ろうとするのですが・・・
☆ボスニア紛争は3つの民族が民族浄化の名の下に殺し合いを続けました。
特に虐殺に合ったスレブレニツァのボシュニャク人はムスリム=イスラム教徒だったのです。
監督は紛争時、学生でしたが、スレベニツァに住んでいました。
この映画は9カ国もの合作映画です。
エキストラの数も非常に多く、資金を集めるのに長い月日が必要だったと思われます。
今現在、ロシアのウクライナ侵攻が、世界の平和を揺るがしています。
ジェノサイドの歴史を読むと、なんとソビエト(現在のロシア)は、
今から90年前の1932年から1933年にかけて、ヨーロッパ1の小麦の生産国だった
ウクライナの小麦を搾取して、ウクライナ人750万人(!?!)を人口飢餓で殺しているのです。
歴史は繰り返す。
恐ろしい事です。
ロシアのウクライナ侵攻を、世界中の知恵でSTOPさせなくてはなりません。