「独立、支配、報復」アイダよ、何処へ? Bacchusさんの映画レビュー(感想・評価)
独立、支配、報復
1995年7月にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時に行われたスレブレニツァの虐殺と、家族を救おうとして通訳女性の話。
国連が安全地帯としたスレブレニツァの街とオランダ軍の駐留するUNの基地がセルビア軍に包囲された状況から話が始まるけれど、ここまでの背景や状況の説明は無く、知らないと判りにくいかも。
という自分も後にジェノサイドと認定された8000人を超える虐殺があったぐらいの浅い知識しかなかったからネットで調べてから観賞しただけだけど。
UNの通訳として働く元高校教師のアイダが、自身の家族を護るべく奔走する姿をみせていくけれど、あまりにも自身の家族さえ助かればという思いを強く感じる。
その親としてのアイダの言動は痛いほど理解出来るし、自分でもそうするだろうし、これがリアルなんだろうけれど、映画としてはアイダをメインとしてタイトルにまでして奔走する様をみせる意義があったのかと疑問が湧く。
とはいえ、民族主義の行く末の一つの形として、知るべき映画としてとても響いた。
私はこの映画に衝撃を受けましたが、アイダ本人にさほど魅力は感じませんでした。その理由はBacchusさんの言われている点のせいかなと思います。
「ホテルルワンダ」の主人公と対照的でした。(なのに、このモデルとなった実際の主人公は・・・)
「あまりにも自身の家族さえ・・・」の部分、確かにそう感じることはありました。
でも、徹底的にそこ(普通に家族を守ろうとする行動)にこだわるところを見せることで、実際の住民たちがどのような経過をたどったのかも想像できるような気もしました。
彼女がみんなを救おうとするようなスーパーヒーローだったら、ここまでこの映画を身近に感じることができたか、というところです。