「人類は進歩していないのだろうか?」親愛なる同志たちへ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
人類は進歩していないのだろうか?
スタンダードサイズの画面とモノクロームの映像という手法は、果たして適切だったのだろうか?それによって、ここで描かれる民衆の弾圧や虐殺が、現在とは関係のない、遠い昔の出来事であるかのように感じてしまうからでである。
共産主義の非人間性を目の当たりにしたはずの主人公が、フルシチョフを批判しつつも、スターリンの時代を懐かしむなど、結局、共産主義そのものを否定するまでには至らないところも歯がゆい。
絶望から希望へと転調するラストは、映画としては明るい余韻を残すことになるが、その後の歴史的な事実と、いまだに同じようなことが繰り返されているという現実に思いを巡らすと、かえって暗澹たる気持ちに陥るのである。
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