• 予告編を見る

「極度に制限された状況下だからこそ、作家性や持ち味がより際立って伝わる」緊急事態宣言 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0極度に制限された状況下だからこそ、作家性や持ち味がより際立って伝わる

2020年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

それぞれの作り手の持ち味が、この極度に制限された条件下であってもバラエティ豊かに発揮されているのが嬉しい。「孤独な19時」は我々が置かれた状況に園監督ならではの容赦なきシュールな味付けを加え、生きる意味をグッと問う。「デリバリー2020」は中野監督らしい家族ドラマをリモートの形で突きつけ、食卓上にできあがったトライアングルが油断ならぬ笑いと涙を届ける。「ボトルメール」は三木監督の世界観がフル回転。ボタンを掛け違えたまま外出したみたいな違和感が妙なツボを刺激する。こんな状況下でも相変わらずマイペースに独自の「面白い」を追究し続ける非同期テック部も楽しい。真利子監督は、世界中の友人から集めたロックダウン下のフッテージを用いたパッチワークのような一作を届ける。派手さはないが、自然体の日常がある。各国の人々が日々を丁寧に生きようとする姿が胸に沁みて、なぜだか妙に落ち着いた気持ちになれた自分がいた。

コメントする
牛津厚信