「現代版蟹工船」ボヤンシー 眼差しの向こうに ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
現代版蟹工船
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漁業での奴隷労働、まさに蟹工船の世界。
主人公の14歳の少年は学校にも行けず過酷な労働に耐えかね、バンコクの工場で稼ぐことを夢見てブローカーを頼りに家を出る。しかしブローカーに払える金がないため、工場の筈が漁船に乗せられる。サディスティックな船長に目を付けられて周囲の大人が1人また1人と死に追いやられ、どこまでいっても海以外何も見えず逃げ場もない中、同じ年齢から漁業で生きてきた船長に目をかけてもらえる主人公。お前の家は死ぬまでこの船だと言われて絶望しか感じない。
この中では搾取しているのは成り上がりの船長達だが、少年の目から見ても憧れではない。それは船長達の人間性の問題だけでなく、彼らもまた先が見えない暮らしだからでもある。
こういった非人間的な労働によって成り立つ経済というのが我々の生活にあるということを忘れてはいけない。これは漁業だが、例えば某ファストファッションTシャツ定価590円とは一体どうなってるのか?ということではないか。
主演の少年の瞳の力が素晴らしいのと、船長の何とも言えない怖い顔!どこで見つけてきた⁈って感じ。主人公が親しくなる妻子持ちの出稼ぎ労働者がラグビーの稲垣選手に似てる(笑)
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