「【"今日からこの船がお前の家だ、死ぬまでな " 苛烈な状況下、14歳の少年が"経験"した事を描く強烈な作品。】」ボヤンシー 眼差しの向こうに NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"今日からこの船がお前の家だ、死ぬまでな " 苛烈な状況下、14歳の少年が"経験"した事を描く強烈な作品。】
-東南アジアの農村の貧困化は今に始まった事ではない。長男以外は都会に出て働く事は当たり前という事は知っていた積りだが、ここまで就業状況が悪化しているとは・・。ー
■印象的なシーン
1.14歳のカンボジアの農村で暮らすチャクラ(この映画で、彼の名前が呼ばれるのは序盤のみ・・)、は次男坊であるが故の、長男との”格差”に納得がいかないシーン。
ー日本の、江戸時代以前のようである。今もか・・。-
2.彼が、新しい土地を求めて村を後にした後の複数ブローカーの手を経て到着したところ。又、その過程。
ー中間マージン搾取が凄いな・・-
3.船上での、チャクラの目付きの変化 怯えた目から、イロイロな出来事を見て、ドンドン目が据わって来る・・。
・年上の家族持ちでチャクラが唯一心を許せた男が”船長”たちから受けた仕打ち。
-船長じゃないな・・。ギャングか・・-
・体力の無い男、”船”から逃げ出そうとした男の末路。
・奴隷のような数々の扱い。寝床の悲惨さ。
・チャクラのしたたかさも増していき・・。
-生き残るには、必要か・・。組織と同じだな・・。-
・奴隷同士でも、反発、いじめが起きる・・。弱者の中のヒエラルキーか・・。
4.ある日、網に人の大腿骨が掛かり、チャクラは・・
-海にモノのように投げ捨てられた男たちの姿がよぎるな・・。-
<何度も何度も、”船長たち”に振り下ろされる大腿骨。そして、"弱者の中のヒエラルキー"の頂点に立った少年が船を向けた場所。
漸く地元に戻り、農作業をする父の後ろ姿を見て、彼が流した涙の意味は、イロイロと考えられるだろう・・。
”大金”を持って、少年は家に戻るのだろうか・・。それとも・・。
鑑賞後、重い気持ちになるが、心に残る作品であった。>