「大都会のヒエラルキー」メトロマニラ 世界で最も危険な街 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
大都会のヒエラルキー
職安で知り合った男に格安のアパートを紹介してもらい住むことになったのだが、金を支払った男はとんずら。そこはそいつの持ち主じゃなかったのだ・・・。契約書も何もないってのに金だけを払ったためだね。
そんなこんなで警備会社に応募してみると、元警官のオング(アルシラ)が真正直なオスカーを気に入ってくれてボスに推挙してくれた。ジョークの好きなボスだが、ジョークを知らないオスカーにジョークまで教えてくれたオングだった。ホステス志望の3人の女がいて、20ドルが落ちていたらどうするか?て話。そして彼女の妻マイ(ヴェガ)は娘の歯痛のためにいかがわしいバーで働くことに。何しろ住む家もなかったのでスラム街に住み始めたほどだ・・・
何から何まで世話をやいてくれたオング。それでも相棒を3人失っている・・・それほどマニラは恐ろしい街だったのだ。その強盗に襲われたとき、現金ケースの1つが行方不明になったままだと教えてくれた。そしてそれが魔のさしたオングがオスカーのために借りた家に隠したことも教えてくれた。ただ、鍵は会社の処理センターと依頼主の元にしかないのだ。
ある時、チンピラたちと相談していたオングに遭遇。実はオングはチンピラに依頼し、強盗を装ってもらおうと計画していたのだが、実行段階になると、オングに恨みを持つ本物の強盗が現れ、一発でオングを撃ち殺してしまう・・・
そんな状況の中、給料はしばらく差し止められることになったオスカーは家族の窮地を救うためにこっそり処理センターに侵入。鍵の型を取ったものの、彼は見つかり射殺される。どうしようもない終わり方かと思ったら、そこまで計算してあったかのように、隣の鍵を盗んでいたのだ。そして“配達”という遺品返却のとき、盗んであったブローチにその鋳型が・・・ハッピーエンドとはとても言えないが、そのケースの金だけは見事に妻の元へ。
貧困からの脱却。そんなのは夢なのだと思い知らされる大都会のヒエラルキー。悪いことをしても夢はつかめないのだ。虚しい中にあって、残された家族だけハッピーになるってのも納得いかないが、そんな現実を思い知らされるだけでも社会派のテーマは十分に伝わってくる映画だ。