「弁士」私をくいとめて Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
弁士
能年玲奈と橋本愛との再会の部分は現実世界のドキュメンタリーのようで、壊れて欲しくない2人の関係を固唾を飲んで見守ってしまう。いろいろあった2人の7年間を顧みて感慨もひとしお。全体の流れからすると浮き上がってしまうパートだが、貴重な映像である。
温泉宿で社会に悪態をつく演技も現実社会とオーバーラップしてしまうのだが、とぼけた演技の中から時折繰り出される強いメッセージを含む叫びは、過去の作品にも見られた、彼女にしか投げられない豪速球であり、こちらの心を確実に射抜いてくる。幾度、彼女の言葉に揺り起こされたことだろうか。
ダイバーシティのテーマの盛り込み方も良い。けばい化粧と衣装を白い光で映しこんだ時の錯誤感は強烈だった。
全体構成はもう少しコンパクトにして欲しかったところ。
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