「脳内にもう一人の人格Aさんが存在して、そのAさんと始終会話する主人公。つまり大声で独り言をする女の子という役柄。そんな役柄をサラリと演じ切っているのが、フシギちゃん女優の能年玲奈です。」私をくいとめて お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
脳内にもう一人の人格Aさんが存在して、そのAさんと始終会話する主人公。つまり大声で独り言をする女の子という役柄。そんな役柄をサラリと演じ切っているのが、フシギちゃん女優の能年玲奈です。
一見、彼女のハマリ役としか見えない役柄ですが、膨大な量の独り言を演ずるシーンが至るところにあり、つまり尋常でない量のシナリオを覚え、身につける必要があるわけです。
ごくごく自然に演じている裏側に、恐ろしいほどの努力の積み重ねが隠れているはずで、そのことに思い至った時、私は自然と頭が下がりました。
彼女の役柄は、いわゆるアブナイ系の女の子です。
だから彼女には何年も恋人ができません。
友達もほとんどできません。
彼女自身、自分には脳内に声(Aさん)が住んでいることも理解しており、それが障害だということも分かっており、しかしAさんこそは誰よりも大切なもう一人の自分自身で、失いたくないという葛藤を抱えています。
だからこそ、一人の男性を好きになった時の、アラサー女性とも思えないほどに、ういういしくせつない乙女の恋心が観客席にも痛いほど伝わってきて、苦しい気持ち、つらい気持ち、そして幸せな気持ちをともに体験することになりました。
女優・能年玲奈。
それはそれは素晴らしい演技力の持ち主だと、舌を巻くしかありませんでした。
冬を舞台にした映画で、バレンタインデーのできごとも大切なエピソードの一つですので、恋人同士で観にいくのにもお勧めの映画だと思います。
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