「のんさんの本領発揮!」私をくいとめて おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
のんさんの本領発揮!
のんさん主演というとこで、ずっと気になっていた本作。遅ればせながら鑑賞してきました。久しぶりにスクリーンで見るのんさんでしたが、演技も魅力もまさに本領発揮といったところで、しっかり堪能させてもらいました。
本作は、おひとり様を満喫するみつ子が、戸惑いながらも恋に一歩踏み出すさまを描きます。そんなみつ子の脳内では、いつも葛藤が繰り広げられており、その脳内相談相手が、常に模範解答を返すもう一人の自分、通称A。まるでそこにいるかのようにナチュラルにAと会話するみつ子の様子が、実におもしろかったです。
なんだか、このテイストは以前どこかで感じたことがあると思ったら、本作は「勝手にふるえてろ」と同じ、綿矢りささん原作、大九明子監督の作品だったのですね。鑑賞後に知り、合点がいきました。両作品とも、現代社会の中で息苦しさを感じながらも、自分の中で何とかバランスをとって強く生きようとする女性の姿が描かれており、原作未読ながらすっかりハマってしまいました。
作中、みつ子の先輩のノゾミさんが、「人は生まれながらにしておひとり様。誰かと一緒にいるには努力が必要。」と、こんな感じのことを言っていましたが、これにはめちゃくちゃ納得しました。おひとり様ライフを満喫していても満足はしていない。誰かと一緒にいるのは面倒だがそれでも求めてしまう。そんな相反する気持ちは、誰の中にもあるのではないでしょうか。おひとり様から一歩踏み出した、みつ子の恋の行方が気になり、このままずっと観ていたくなりました。
ちなみに、臼田あさ美さんは、「架空OL日記」の小峰さんに重なって見えてニヤニヤしてしまいました。ついでに言うと、Aの声はずっと中村倫也さんだと思っていたら、海辺のシーンで前野朋哉さんが出てきて、「えー!ともや違いかい!」と一人でツッコんでしまいました。