ようこそ映画音響の世界へのレビュー・感想・評価
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音響の世界って凄い!これを観れば、映画の見方が変わる、かも?
映画音響にスポットを当て、その変遷から仕事の内容までを明らかにしてくれるドキュメンタリー。
出演は…
ジョージ・ルーカス…『アメリカン・グラフィティ』、『スター・ウォーズ』シリーズ。
スティーヴン・スピルバーグ…『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『ジュラシック・パーク』シリーズ。
デヴィッド・リンチ…『エレファント・マン』、『マルホランド・ドライブ』。
アン・リー…『ブロークバック・マウンテン』『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』。
ライアン・クーグラー…『クリード チャンプを継ぐ男』『ブラックパンサー』。
ソフィア・コッポラ…『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(出演)、『マリー・アントワネット』。
クリストファー・ノーラン…『ダークナイト』トリロジー、『インセプション』。
ロバート・レッドフォード…『スティング』「MCU」シリーズ。
映画音響という、一般ピープルからすると「小豆で波の音作るんでしょ?」みたいな、フワッとした印象しかない業界のことを、その成り立ちからプロの流儀までかなり詳しく、しかも具体的な例を示しながら解き明かしてくれる、初心者にも易しい映画on映画。
本作は大きく分けて前半・後半の2つのセクションに分かれている。
前半はエジソンによる蓄音器の発明から現代に至るまで、映画の録音・編集の歴史を辿るといういうもの。
後半は、映画音響を成立させているそれぞれのお仕事の一つ一つにスポットを当て、その職務内容やプロの技を明らかにしていくというもの。
前半パートで興味深いのは、ウォルター・マーチやベン・バートという、映画音響の世界を変えた天才たちのエピソード。
公民権運動やベトナム戦争など、リアルがフィクションを超えてカオスになっていた1960年代。映画産業は完全に下火で、斜陽の時代を迎えていた。
そんな腑抜けた映画界に殴り込みをかけた、フランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスの若きヒゲコンビ!
そんな彼らを音響面で支えたのが、ウォルター・マーチやベン・バートという音のスペシャリスト。彼らの音への執着ほとんど変態的。
『地獄の黙示録』での5.1chサラウンドや、『スター・ウォーズ』でのリアリティを追求した効果音など、革命的な手法で映画音響の世界に革命を起こしていく。
今まで当然のようにR2-D2やチューバッカの声を受け入れていたけど、それを創造した人物がいるんだもんなー。
当たり前のことなんだけど、めちゃくちゃ不思議な気分。
後半パートでは、映画音響を①「ライブ録音」②「ダイアログ編集(録音時の雑音を編集する)」③「ADR(アフレコ)」④「SFX(効果音)」⑤「フォーリー(足音や鎧の擦れる音など、効果音をカスタムメードする)」⑥「環境音」⑦「音楽」⑧「ミックスダウン(音の調整)」の8つに分別。
それぞれの仕事を実際に映画の場面を引用しながら、その道のプロたちが解説してくれる。
本作ではこの職人たちの連携を「サークル・オブ・タレント」と称していたが、この映画を観ればまさに映画音響とは多くの才能が一つの輪を描くような作業であることがよくわかる。
この映画を観るまでは映画の”音”といえばジョン・ウィリアムズやハンス・ジマー、久石譲などの作曲家のことばかり考えていたのだが、服のはためきや波の音、足音や動物の鳴き声、時には無音でさえ映画音響のピースであり、それはフルオーケストラのBGMと同じくらいに重要なものであるということを、この映画を観て学ぶことが出来た。
反響音や風の音が、千の言葉以上に雄弁に語るのが映画音響の世界。
「言葉とは音の表情。抑揚が意味を伝える。」という、ベン・バートの言葉は最高にプロフェッショナルである。
「仕事とは何か?働く意味とは?」という、普遍的な仕事論についても考えさせられる作品なので、映画音響に興味のない人でも鑑賞の価値はあると思う。
映画って奥深いなぁ〜。凄い才能と執念の世界だぁ…。
映画音響入門
監督のミッジ・コスティンさんや製作・脚本のボベット・バスターさんは映画学校(USCシネマティックアーツスクール)の教授でもありますので、さながら映画音響の入門書の趣に仕上がっていますね。サイレントからトーキー、モノラルからステレオ、ドルビー立体音響へと映画サウンドの足跡を多彩な作品の引用で振り返ります。
音響といっても録音、整音、効果音、音楽、ミックスダウンと幅広く、機材も日進月歩ですので全てを網羅するのは大変です、そこで本作は主に創造的な分野に注目、インタビューを交えサウンド・クリェーターたちの仕事ぶりにフォーカスをあてています。
コッポラの「地獄の黙示録」で初めて5.1chに挑戦したウォルターマーチさん、「スターウォーズ」のベン・バートさん、ピクサーでアニメに生気を吹き込んだゲイリー・ライドストロムさんらが登場。レジェンドといっても裏方、授賞式くらいでしか、お顔を出しませんので初めて知りました。
「地獄の黙示録」にシンセサイザーのパイオニア冨田勲さんの作品( ホルスト 組曲 惑星の4ch録音盤)が影響を与えていたとか、チューバッカの声が動物園の熊だったとか当時の裏話が面白い。自ら出資までしてステレオ製作にチャレンジしたのが「スター誕生」のバーブラストレイサンドさんだったとは驚きました、歌手だけに音への拘りが強かったのでしょう。
多くの先人たちの努力や挑戦のお蔭で趣や臨場感に富んだ映画を愉しめているのですね、ありがとうございました。
“生けるレジェンド”の総出演! 映画マニアの知識欲をくすぐる
「ようこそ映画音響の世界へ」(原題:Making Waves: The Art of Cinematic Sound)。
ホームシアター・ホームオーディオ愛好家が狂喜乱舞しそうなドキュメンタリーである。
ハリウッドが引っ張ってきた映画技術の根幹こそが、“オーディオ”であることを改めて認識することになる。逆に言うと“趣味としてのオーディオ”は“映画”の発展なしには語れない。
映画の発明から130年。エジソンのキネトスコープ(1890年)、リュミエール兄弟のシネマトグラフ(1895年)には、「音」がなかった。エジソンは自身の蓄音機(1877年)でそれを補完するロードマップを描いていた。エジソンの頭のなかには、現在の映画の姿があったといえる!
なにより本作は、映画マニアの知識欲をくすぐる。観終わると、“これ知ってる?”と嬉々として、映画ウンチクをひけらかすことができることウケアイ。
ジョージ・ルーカスの「THX-1138」を手掛けたアメリカン・ゾエトロープ社の倒産危機を救ったのは、「ゴッドファーザー」だったこと。ビートルズのマルチトラック録音が映画にも影響を与えたこと。冨田勲の4ch「惑星」からサラウンド映画へ発展していくことなどなど。
1927年の初トーキー映画「ジャズシンガー」から始まり、作品の映像をふんだんに使って、時系列で映画音響の進化を解説してくれるのが分かりやすい。
そして、“生けるレジェンド”の総出演である!まったくスキがない。「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームが当時のクリエイティブ現場を熱く語る。
さらにジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグ、デビッド・リンチ、ジョン・ラセター、クリストファー・ノーラン、バーブラ・ストライサンド、アン・リー、ソフィア・コッポラ、アルフォンソ・キュアロン、ライアン・クーグラーへのインタビュー。それぞれの監督の代表作の映像が惜しげもなく大開放される。権利関係が複雑なハリウッド業界において、出来そうで出来ない奇跡的な映像コラボレーション作品に仕上がっている。
ひとことで“映画音響”といっても、サラウンドや特殊効果音だけではない。じつに多岐にわたる。
「Voice(セリフ)」。
「PRODUCTION RECORDING(同時録音)」。
「DIALOGUE EDITING(環境音さしかえ)」。
「ADR(アフレコ)」。
「SOUND EFFECTS(効果音)」。
「SFX(特殊効果音)」。
「FOLEY(フォーリー)」。
「AMBIENCE(環境音)」。
「MUSIC(音楽・劇伴)」。
それぞれの役割と製作方法を技術者が具体的に解説してくれる。すべてを理解できると、作品のスタッフエンドロールの読み方も変わってくるはず。
もうひとつ、ヒッチコックの映画術を解説した「ヒッチコック/トリュフォー」(2015)と並び、映画制作の道を志すものなら絶対に見るべき作品だ。映画の“基本のキ”である。当然、映画の専門学校の教材バイブルになるだろう。
監督のミッジ・コスティンは、本作が初の長編作品となるが、もともとハリウッドで25年も音響デザイナーとして活躍してきた“裏方のひと”。女性の音響編集者は珍しいが、USC映画芸術学校でも教鞭を振る彼女らしい内容に仕上がっている。
(2020/8/29/ヒューマントラストシネマ渋谷 Screen1/ビスタ/字幕:横井和子)
プロフェッショナル達の映画愛
映画創成期から現代までの音響が担ってきた役割や技術についてを映画監督や音響を担当する人々へのインタビューを中心に解説していくドキュメンタリー。
技術とは現場の執念により現場の人の手から産み出され、更新されてきたものなのだということ、映画という芸術・文化を高めるために歩を進めてきたという事実が尊い。
その結晶たるエンドロール直前のカットに思わず涙出た。めちゃ熱い。
チューバッカ裏話
名画とその関係者の解説が交互に登場し
関係者の時に不覚にも何度も寝てしまいました。
眠くない日に観れば良かったと反省。
一番びっくりで心に残ったのは、
スターウオーズのチューバッカの声が熊の声だったこと。
それも、パンを欲しがる声、
パンを手に入れてうれしい声だったとは。。。
これから先、チューバッカの声を聞くたび
パンをもらってご満悦の熊を想像して楽しめそうです。
情熱という「波」が心揺さぶる
いやまさか、こんなに胸熱になるとは。CG全盛期、映像の変遷を辿るドキュメンタリーはあまたあれど、音に絞った作品は貴重。
無声映画からトーキーへ、という教科書的な時系列を守りつつも、まったく飽きさせない。
ヒッチコック、オーソン・ウェルズなど先人たちの実験的な試み、「スター誕生」の製作総指揮も務めたバーブラ・ストライサンドが、一時は自腹を切ってこだわったおかげで「ステレオ」環境が映画館で当たり前になったこと、ビートルズなどのロック・ムーブメントがルーカス、コッポラ、スピルバーグなど新進気鋭の映画監督達にもたらした影響、そして名だたる監督たちが新しい音楽と映像の融合世界を牽引していく様子と、それを支える仕事人たちとの出会い。
原題の「making waves」というように、一つの波がさざ波となって歴史を流れていく一大叙事詩を見ているよう。
驚いたのは、ハリウッドが60年代くらいまで「音」に注意を払ってこなかったこと。
スタジオごとに銃声・ひづめ・車の音など「音」のストックがあり、それを他の作品でも繰り返し使っていたという。
確かに言われてみれば、昔の西部劇なんてみんな同じ音だった。近くで撃っても遠くで撃っても「ズキューン」だったし、馬はみんな「ヒヒン!」と同じいななきだった。ちょっと目を離しても何が起きたのかが音でわかった。テーマ曲以外は没個性だったのも頷ける。今よりマイクの性能などもよくなかったから、生音を録音する手間を考えると至極もっとも。
また、なぜ効果音をフォーリーと呼ぶのかも知れた。先駆者の名前だったのね。
SWファンなら既知のことだが、そのあまりの作風の違いからか、若かりしコッポラとルーカスが共同で制作会社を立ち上げたことを知る人は存外知られていない(私の周りでは)。現代映画への転換期としてこの二人と、一緒に会社を立ち上げたメンバーであるウォルター・マーチの物語に中盤は時間を割いている。特にウォルターはその後、「音響デザイナー」という職の礎を作った人物。
音の重要性を理解しない上層部にへこたれなかった彼らの不屈の情熱があったからこそ、今傑作と言われる作品の世界へ没入できることに、一ファンとして幸せを感じる。
次々に名だたる監督が登場し、音響スタッフへの謝意と映画へのこだわりを語っていく。
現在の映画製作では18トラック使うのが当たり前だそう。多様化し分業化された「音」のプロたちの仕事が織り合わさり、タペストリーのように構築されていく様子に舌を巻く。
スター・ウォーズ好きとしてもたまらない。
チューバッカの声は動物園の「プー」という熊の鳴き声だったことや、ルーカスから音の収集を撮影と同時進行で頼まれた音響スタッフのベン・バートたちのエピソードなど。彼らはその名の通り「ロードマップ」を作り、一年かけてあらゆる音の収録をして大陸を回ったと言う。
それまでSF映画の宇宙船はシンセサイザーでチープな音を出していたのを、実生活で聞くことのあるリアルな迫力のある音にこだわったルーカス。上層部が「売れないだろう」と評したスター・ウォーズは、音からもSFを変える。
そして音により輝きを増した数々の名作のラッシュに続き、締めくくりは飛び立つミレニアム・ファルコン。
胸が熱くならずになんとしよう。
説明される様々な音響の違いを耳で感じるためには、映画館で見るべき映画だと思った。
【"映画は映像と音響で出来ている" 映画音響技士達への目に見えない努力、拘りを数々の名画における音響の位置付けを明らかにする事で、描き出した作品。彼らへの尊崇の念に満ちた作品でもある。】
-映画は総合芸術であると思っているが、音響に拘る人々が、如何に作品の完成度合いに深く関わっていたのかを知る事が出来た。-
■数々の名画で音響が数々の名画で果たした重要な役割
・「プライベート・ライアン」の冒頭のノルマンディー上陸シーンの"無音"の使い方
・「スター・ウォーズ」のR2D2、チューバッカの声の創造過程
・「スター・誕生」での、バーバラ・ストライサンドの拘りに応える音響スタッフの姿・・
・「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」「アルゴ」・・・如何に多くの名画で音響が、効果的に使われて来たのか。
又、一時停滞した映画界を復興した影の立役者は"誰"だったのか・・・
・ジョージ・ルーカス監督、スビルバーグ監督、フランシス・フォード・コッポラ監督、アン・リー監督、クリストファー・ノーラン監督等の、現代の名監督達の音響スタッフへの賞賛の言葉も頷ける。
・音楽、効果、編集、アフレコの工程を細分化した説明も名画を使い、分かりやすく説明される。
〈映画における音響の大切さを、時代の流れ、音響技術の向上過程と共に描き出した素晴らしきドキュメンタリー作品 〉
音の大事さ
ワクワクしながら見た映画が沢山出てきました。
スターウォーズのチューイの声、R2-D2、ジュラシックパーク、ブレイブハート、…
出てくる人が皆さん自分の仕事に誇りを持っていて、
仕事は楽しくやらないと!
こんなに楽しいことをやってお金を貰えるなんて最高じゃないか!
映画の素晴らしさもですが、あぁ、仕事ってこうあるべきものなんだよなぁ、と思い出させてくれた作品です。
素晴らしかったです、泣きました
無声映画からトーキーにするのに、あんなに苦労があったなんて、知らなかった。
音響の歴史、技術を築いた人達の苦労や工夫を知ることで、映画として何かの話があるわけでもないのに、こんなに感動するとは思ってなかった。
いや、歴史ってじゅうぶん物語なんだけど、期待以上でした。
今は利用していない人が大多数と思われる「mixi」をかつて登録したとき、自己紹介に映画が趣味だと書いた。
映像・音・ストーリーのいずれかが優れていれば名作だと思う、といったようなことを生意気にも書いた記憶がある。
専門的なことなど何も知らないで、私は元々映画の音響のもたらす効果を実感として楽しんでいたんだなー。
作中に、Beatlesのエピソードが出てきたのも、個人的にとても嬉しかった。
子供の頃、比較的不運と不幸が重なって苦しんでいたときに、私はBeatlesをはじめとした音楽と、映画が観せてくれる世界の広がりにずーっと救われてきたので、その2つの繋がりにも、感動した。
行ったことのない場所、過ごすはずのない時代、起きるはずもない出来事を、映画は擬似経験させてくれる。
そのことで再び、自分の人生を生きる勇気をもらったことは、一度や二度ではなかった。
そこには、こんなにも積み重ねられた音の力があったのだと、しみじみ実感しました。
この作品を観られて良かったです。
声・背景音・音楽
ドキュンメタリー作品は知識が求められたり集中してみないと楽しめなかったり少し見る前から勝手にハードルが上がってしまう事は僕は時折あるが、この作品においてはそういう心配なく比較的頭空っぽにしてみられるドキュメンタリー作品に思えた。無論知識があり集中して細かく見るに越したことはない。
近年はデジタル化が進み、ハリウッド作品なんかもCGをかなり使用しときにはそれが作品の個性を失ってるなんていう記事を目にした事もいくらかある。
僕は00年代以降の作品を好み触れることが多い為そういう記事を目にすると気持ちはわからなくもないくらいで読んでいたがこの作品を見ると、むしろ個性は強くなってるんじゃないかと思ったりもする。
もちろんデジタル化が進んだことによりいわゆる中での作業が増え、映像に手を加えることが増えたのは事実だろう。劇中でも語られてたが、ただやみくもに手を加えては返って観客の心に水を差し離れてしまいかねない。
その一部として今回は「音」という部分にフォーカスを当て解説されるわけが、この「音」だけでもより効果的な「音」を追求し実現しようと多くの努力がなされてる。その姿を見ているとより個性的で創造力が求められており決して個性を失ってるようには思えなかった。
CG技術もそうだが近年は日に日に完成度の高い作品がなされている。これは僕たち観る側も段々と見慣れていき潜在的により完成度の高い作品を求めている事は間違いない。
より完成度の高い作品を実現する事において映像美や映像による迫力だけではなく、こうして「音」という部分でも作品をサポートし時には映像以上の迫力を表現し我々を満足させ楽しませてくれている。
この目には見えないいわゆる補助的な存在にも多くの人が携わり支えているわけだからとても感心する。
最後に音響に携わっているスタッフの人たちが語るシーンがあった。誰一人ネガティブな発言はなく、みんなが楽しくて加えて仕事となるのだから幸せだと口を揃えて発していた姿に心を擽られた。
分からない単語もいくつかあったが、細かく追求する事なくても映画制作の裏側の一部を体験できる作品として誰もが楽しめる作品ではないか。
最高に興味が掻き立てられる
映画の誕生から現代までの歴史を通観することができものすごく面白かったです
THX-1138はあのジョージルーカスの初長編監督作品であり、ディストピアSFらしい鬱屈した世界観が好きだったものの、フランシスコッポラ監督が協力していたことを知りませんでした
同監督の活躍に比べ、知名度が低い本作が取り上げられたことに驚きましたが、THX-1138の失敗から再起させたのがゴッドファーザーだったという繋がりを知り感動しました
また、ノーラン監督の新作公開を見据えたインセプションや、奇しくも主演ボーズマンの死去が重なったブラックパンサーの登場がタイムリーに感じました
映画への愛が深くなり、紹介された名作たちが見たくなります
とても良いドキュメンタリー作品ですが、音の良い映画館で観たい作品です♪
以前に音関係の仕事をしていた事もあって、音響関係には興味があって観賞しました。
で、感想はと言うと、これは良い作品で良いドキュメンタリー作品ですよ♪
映画の世界で音響の成り立ちの歴史とその説明が紹介されていますが、とても分かりやすく、それでいて楽しく観賞出来ました♪
また、有名な作品が随所随所に紹介されているのも分かり易くて良い。
特に「スター・ウォーズ」が映画音響のターニングポイントになっている事や黒澤明監督の「七人の侍」が紹介されているのはなんか嬉しくなりました♪
映画の歴史を紐解いていくと、先ずは映像ありきで、音はその次。まだ映像と音の融合がされていなかった時代にはオペラの様なシステムがされていたと言うのはやはり興味深い。
日本では「活動弁士」がセリフとナレーターを兼任する形の時代がありましたが、良い音で観客を感動させたいと言う思いがギュッと詰まっているんですよね。
現在も著名な監督たちは音への拘りを早くから認識していても、製作側には音への拘りを理解していない方も多いと言うのもビックリ。極端な話「無くても良い」と言う認識の偉いさんも多く不遇な扱いをされている。
でも、いろんな監督がインタビューで「映画の感動の半分は音による物」と言うのは物凄く共感出来ます。
個人的には映画は可能な限り劇場で観たいし、家でDVDとかを見る際には、音響も拘りたい。
なので、自宅にはテレビとAVアンプやサブウーハー、センタースピーカーを組み込んだオーディオシステムを組んでいますが、モノは古くても、やはり音が良いんですよね♪
今はもっとコンパクトでお洒落なのもありますが、一個ずつ予算の範囲で拘って組んだ音響システムにはやはり愛着があります。
あくまでも個人的な感想ですが、小さな画面のPCの画面やスマホで「映画を見た」と言うのにはちょっと抵抗感があります。あくまでも個人的な拘りですが、そんな拘りなんかが映画製作の技術の進化を促していると思っています。
生音から始まり、録音の技術が発達して、オープンリールから現在のデジタル録音の進化は改めて見ると圧巻の一言。
特に今の映画制作での数百トラックの細かな編集は見ているだけでも頭が痛くなる感じですw
でもそれだけ繊細な拘りがあるからこそ、映画の感動があるんですよね。
特に興味深かったのは「トップガン」の戦闘機の音が本物では退屈な感じから、様々な動物の声をミックスダウンして作りあげた事。
劇中でも語られてますが、音響は遊び心と言うのは物凄く実感出来ます。
とても良いドキュメンタリー作品かと思いますが、一つ難点と言うか、リクエストを言えば、こう言う作品だからこそ音響システムの良い映画館で観たかったかな。
都内では3館で上映されてますが、どちらもミニシアター系の映画館なのでもう少し音響設備の良い所の方で観たら面白かったのかなと。
IMAXと言った音響システムの良いので観ると面白そうだし、個人的には都内では「TOHOシネマズ新宿」「グランドシネマサンシャイン」「新宿ピカデリー」「TジョイPrince品川」なんかで観れたら良いなあと思ったりしました。
ですが、音に拘りがなくて、「極端な話、映画の音響なんて、音が聴こえたら別に良いジャン」と言う方には響かない作品かもですw
・自分でコンポ(オーディオシステム)を組む事に興味があった。もしくは今も趣味はオーディオの方。
・過去に「FMレコパル」「サウンドレコパル」と言った雑誌を愛読されていた方。
・音編集のソフトをある程度使いこなせる方。
こう言った方々は興味津々に観賞出来るかと思いますw
特に自分でオーディオシステムを組んだ事があって、アンプ、スピーカー、スピーカーケーブルにお金をかけて、「ダイヤトーン」「JBL」と言う単語にピクッとする方は絶対必視w
音への拘りって、言い出せばキリがないんですが、拘れば拘る程、楽しくもなっていく。
そんな拘った方々の努力の積み重ねと愛情が感じられる作品です。
楽しく映画音響の勉強にもなるし、何よりも肩肘を張らずに観れる作品ですので、興味がある方は是非是非な作品です♪
出てくる人たちの純粋さに感動する
「確かに音はすごく大事だな」と思ってみてくの。
かつての名画が出てくるんだけど「こんなに面白そうな映画があるんだ!」って、昔の映画も色々みたいなって思ったり。バーブラ・ストライサンドは全然知らなかったけど、「ステレオでやる」って道を切り拓いたりしてすごいね。
コッポラ、ルーカス、スピルバーグの名前が出てきて、今もう大御所だから、最初から大御所だった気がするけど、そんなことないんだよね、当たり前だけど。その人たちが音にこだわって、映画を当てて世に出てくる。そのサクセスストーリーにも感動したな。《THX-1138》とか観たいね、どれだけコケたんだろう。
それでベン・バートが出てくるんだけど、子供の頃『映画の爆発音が好きで、録音してた』って、悪いけど「ヘンタイだ」って思ったね。そんなところに興味むかないよ、絶対、普通の人は。
でも、そういう人が、音響で伝説の人になるんだよね。どのジャンルにも、なろうと思ってなるんじゃなくて、もうそうなるしかないって人がいるんだなと思ったね。
《スター・ウォーズ》を世に出したときに、誰だったか「《スター・トレック》のイベントでブースがもらえて、映画のポスターが配れるかも知れない。そうなれば最高だと思ったんだ」って、どんだけ小さい夢なんだよってことを思ってたらしいけど、そうやって作ったものが、世界を変えるのいいね。
(確かに《スター・ウォーズ》[いまで言うエピソード4]は貧乏臭いところある映画なんだよね。最初だから。)
それで《スター・ウォーズ》は音響の世界も大きく変えたんだなって。映像は変えたんだろうなって思ってたの。デス・スターに突入するときの映像の感じは、色んなところでパクられてたからね。
それからも色んな人が出てくるけど、女の人がカッコいいね。特にアンナ・ベルマー。『戦争じゃないのよ』と男女を区別する必要ないだろと入ってくる出だしから、『毎日、頬をつねってる』と夢の仕事についてると語るところまで、立ち居振る舞いふくめてカッコよかった。
見逃しがちな音響のことに意識を向けることができるようになるし、それに関わってる人たちの純粋さも、サクセスストーリーもいいし、お勧めの映画だよ。
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