ようこそ映画音響の世界へのレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリー観て初めて泣きました。
よくあるDVD特典の集大成かと思ったら、映画の音響効果の世界を真面目にそして魅力的にとらえた作品でした。音響効果の技術革新の歴史を追いながら、その重要性や名作の裏話だけでなく、裏方としての栄光と挫折、苦悩も描かれているのが、作品に深みを与えていて素晴らしいです。だからこそ、最後のスピルバーグ監督の短いスピーチが感動的です。世の中の全ての裏方さんへの賛辞のようで、思わずウルっときました。
【"映画は映像と音響で出来ている" 映画音響技士達への目に見えない努力、拘りを数々の名画における音響の位置付けを明らかにする事で、描き出した作品。彼らへの尊崇の念に満ちた作品でもある。】
-映画は総合芸術であると思っているが、音響に拘る人々が、如何に作品の完成度合いに深く関わっていたのかを知る事が出来た。-
■数々の名画で音響が数々の名画で果たした重要な役割
・「プライベート・ライアン」の冒頭のノルマンディー上陸シーンの"無音"の使い方
・「スター・ウォーズ」のR2D2、チューバッカの声の創造過程
・「スター・誕生」での、バーバラ・ストライサンドの拘りに応える音響スタッフの姿・・
・「ゴッドファーザー」「地獄の黙示録」「アルゴ」・・・如何に多くの名画で音響が、効果的に使われて来たのか。
又、一時停滞した映画界を復興した影の立役者は"誰"だったのか・・・
・ジョージ・ルーカス監督、スビルバーグ監督、フランシス・フォード・コッポラ監督、アン・リー監督、クリストファー・ノーラン監督等の、現代の名監督達の音響スタッフへの賞賛の言葉も頷ける。
・音楽、効果、編集、アフレコの工程を細分化した説明も名画を使い、分かりやすく説明される。
〈映画における音響の大切さを、時代の流れ、音響技術の向上過程と共に描き出した素晴らしきドキュメンタリー作品 〉
音響スタッフの熱い仕事ぶり
サイレントからトーキーに変わって生まれた映画音響。その歴史と関わったスタッフたちの仕事を追いかけるドキュメンタリー。
ただ映画音響技術発展の歴史を追っていくのかと思っていたら、どちらかといえば映画音響の先駆者たちの活躍と、音響スタッフたちの地位向上を勝ち取っていった仕事ぶりを紹介している印象だ。
優秀な技術者は有名になり忙しくなる。だからその周辺の技術者たちに声がかかり、そこでまた新たに技術を発展させていく。鑑賞する側もモノラルからステレオ、そして5.1chへと迫力や奥行きの変化を楽しめるようになっていた。
熱い!熱い人間たちの仕事ぶりはやはり面白い。
音を集める人々の歴史
当たり前すぎて考えたこともなかったけど、無音映画の居心地の悪いこと!
音は映像と違って正直に「撮る」ものではなく「見立てる」ことが基本だった。
音オタクにとって、これほど美味しい生業があるだろうか。動物園で撮った鳴き声を逆回転してスピード変えてって、なんというクリエーティビティ!
監督の下、信頼し合った音響担当たちがさらに分業して放任され、1年間も各自音を集め、再結集して一つのフィルムに仕上げる。考えただけでワクワクする仕事=高度な遊びだ。
監督って、日本語だと監も督も「上からガッチリ管理する人」の意味に取れるけど、あくまでもスタッフの才能を方向付けて信頼する人=ディレクターなんだ!と再認識した。
F14に猛獣の声?
当然高級なミキサーなどで難しい重ね方をしているのだろうが、原音を作るのに今でもラジオドラマみたいなアナログな工夫をしているのが微笑ましく、とても楽しそうだった。音響といえばマニアなおっさんの世界かと思いきや、意外にも多くの女性が活躍しており、彼女らの感性で大アクションシーンの音もうまくデフォルメされていたことに驚き。普通の奥さんのような人が、迫力ある音にこだわりすぎて完全に拗らせてしまっているのは何だか観てて痛快な気分。男女関係なく、マニアの領域まで入り込んでしまった自分を自虐しながら仕事ができるなんて本当に幸せだ。
映画音響の変遷が面白い!そこには歴史を作った作品、監督が関わっていた!
私は十代の頃、映画館が近くにない環境で育ったこともあり、映画はテレビで観るものだった。でも一枚のサントラアルバムが大好きになり、音楽がきっかけでその映画を観に行ってから、映画館で観る映像と音響の迫力にハマるようになっていった。その作品はトップガン。
トムクルーズのカッコよさと、音楽、戦闘機の迫力がとても印象的で何度も映画館に足を運んだことを覚えている。
そのトップガンの音響スタッフの方も出てきて、戦闘機の音を、リアルだけを追求するのではなく、より作品を良くするための音作りも語られており、とても興味深い話しだった。リアルが一番ではないということ。
また、スターウォーズや地獄の黙示録が映画界に与えた影響の大きさなども知り、あらためて凄いなと。
音響もいいけど照明もお願い
音は確かに大事! ものすごい説得力あった! サラウンドシステムの話の時、ほんとに映画館のスピーカーが一個づつ鳴って、音の立体感が体感できた。技術の進歩が素晴らしい。サンプルにした映画も多く、クレジットの文字の小ささと長さが半端なかった! そして未見の映画がすごくあり、自分の見てる本数少ないなーと思った。(でもアメリカ映画メインだったから仕方ない面もあるか)
これ、音響だけじゃなく、照明・大道具・小道具・セット・衣装など、裏方全般もお願いしますよ! みなさん映画を愛し、自分の仕事を誇っているはずだし。そして、これだけたくさん人と時間とお金をかけて作られたものを、大切に見ないといけないと思った。
音の大事さ
ワクワクしながら見た映画が沢山出てきました。
スターウォーズのチューイの声、R2-D2、ジュラシックパーク、ブレイブハート、…
出てくる人が皆さん自分の仕事に誇りを持っていて、
仕事は楽しくやらないと!
こんなに楽しいことをやってお金を貰えるなんて最高じゃないか!
映画の素晴らしさもですが、あぁ、仕事ってこうあるべきものなんだよなぁ、と思い出させてくれた作品です。
王様の耳もロバの耳
人よりも画面よりも音が好き!なんて嘯いてきましたが、感無量。素晴らしいドキュメンタリーでございました。後半は何やら感極まって落涙までしてしまう始末。
これまでの映画ファンとこれからの映画ファン、全ての方々がこの作品に触れ、劇場に足を運ぶようになると嬉しいなぁ、なんて思いました。
教材みたいな邦題だけはどうにかして欲しかったけれども…。コレじゃあ食い付かないでしょうに、ねぇ。
素晴らしかったです、泣きました
無声映画からトーキーにするのに、あんなに苦労があったなんて、知らなかった。
音響の歴史、技術を築いた人達の苦労や工夫を知ることで、映画として何かの話があるわけでもないのに、こんなに感動するとは思ってなかった。
いや、歴史ってじゅうぶん物語なんだけど、期待以上でした。
今は利用していない人が大多数と思われる「mixi」をかつて登録したとき、自己紹介に映画が趣味だと書いた。
映像・音・ストーリーのいずれかが優れていれば名作だと思う、といったようなことを生意気にも書いた記憶がある。
専門的なことなど何も知らないで、私は元々映画の音響のもたらす効果を実感として楽しんでいたんだなー。
作中に、Beatlesのエピソードが出てきたのも、個人的にとても嬉しかった。
子供の頃、比較的不運と不幸が重なって苦しんでいたときに、私はBeatlesをはじめとした音楽と、映画が観せてくれる世界の広がりにずーっと救われてきたので、その2つの繋がりにも、感動した。
行ったことのない場所、過ごすはずのない時代、起きるはずもない出来事を、映画は擬似経験させてくれる。
そのことで再び、自分の人生を生きる勇気をもらったことは、一度や二度ではなかった。
そこには、こんなにも積み重ねられた音の力があったのだと、しみじみ実感しました。
この作品を観られて良かったです。
やっと観ることができました。
良かったです。映画の要素で音は50%〜だと思う。
「午後8時の訪問者」を観ればよくわかります。
もちろん、スターウォーズをミュートしてもわかります。
多くの方に観て欲しい映画です。
追記です。
観ようと思い立ったとき、すでに満席だったことが続きましたが、やっと観ることができました。
前述の「午後8時の訪問者」はBGMと効果音(SE)が無いという挑戦的な試みのフランスのサスペンスミステリーです。「余計な音」が無い分、息づかいや視線の動きが強調され不安感が増し、サスペンスが際立つ、というような話も聞きましたが、私の感想は全く違いました。
面白いのですが、正直、BGMとSEをつければ傑作になるよなあ、脚本いいのにもったいないなあ、と思いました。
この監督さんは一流の音響さんと仕事したことが無かったんだろうなあと想像してます^_^
映画音響の進化の過程を映画館で体感するドキュメンタリー
1927年に公開された世界初のトーキー『ジャズシンガー』から始まる映画音響の歴史を膨大な映像と音の断片、既存フォーマットに満足出来ずより多彩な音響を求めた映画史上の巨匠達、その飽くなき要望を満たして未開の世界を切り開いた映画音響のレジェンド達の発言を綴ったドキュメンタリー。
オーソン・ウェルズ、コッポラ、ルーカス、スピルバーグ、リンチ、ノーラン・・・映画史を塗り替えた巨匠達が音響に求めたものが、幼い頃から音に魅せられた若者達を駆り立て、無数に繰り返された試行錯誤から見出された新たな音が映画史に新たなチャプターを追加していく様を捉え、その効果を実際に体験させてくれる作品。正直ベン・バート、ウォルター・マーチ、ゲイリー・ライドストロームといったレジェンド達の名前すら知らなかった見識のなさを恥じるとともに、彼ら自身と彼らから影響を受けたアーティスト達が実現した革新的な音響表現が映画に及ぼした圧倒的な効果を目の当たりに出来た喜びに感謝し、今まで当たり前のように享受してきた映画の世界の深遠さに改めて感動しました。
これこそ実際にスクリーンで観なければその魅力を半分も堪能出来ない特殊な作品なので、是非上映館へ足を運んでもらいたいです。最初から最後まで耳からウロコが落ちまくるのですが、特に意外だったのがバーブラ・ストライザンドが音響表現の発展に大きく寄与していたこと。音響というと派手な戦争映画やSF大作を連想しがちですが、映画史と音楽史が地続きであることもまた非常に重要であることが解ったのも大きな収穫でした。
ちなみに本作の製作会社の名前がAin’t Heard Nothin’ Yet Corp.という見覚えのないものだったのが冒頭から気になったのですが、作品中に挿入された『ジャズシンガー』のワンシーンにその由来を見つけ、音にこだわる人達の圧倒的なネーミングセンスに驚嘆しました。
音響という名に騙されるな!これは
宇宙だし、社会だし、普遍的な「世界」だ。
日常では当たり前の「耳」からの情報が、なんで軽視されるのか 映画はそこから深ーく入っていく。制作会社の「音響」軽視 監督の「重視」の対比は操作された感が否めないが至極全う そこにないものを作る なんて尊く感動的なのだろうか 総合芸術たる「映画」が好きな理由を再確認させてもらった… ありがとうございます。
声・背景音・音楽
ドキュンメタリー作品は知識が求められたり集中してみないと楽しめなかったり少し見る前から勝手にハードルが上がってしまう事は僕は時折あるが、この作品においてはそういう心配なく比較的頭空っぽにしてみられるドキュメンタリー作品に思えた。無論知識があり集中して細かく見るに越したことはない。
近年はデジタル化が進み、ハリウッド作品なんかもCGをかなり使用しときにはそれが作品の個性を失ってるなんていう記事を目にした事もいくらかある。
僕は00年代以降の作品を好み触れることが多い為そういう記事を目にすると気持ちはわからなくもないくらいで読んでいたがこの作品を見ると、むしろ個性は強くなってるんじゃないかと思ったりもする。
もちろんデジタル化が進んだことによりいわゆる中での作業が増え、映像に手を加えることが増えたのは事実だろう。劇中でも語られてたが、ただやみくもに手を加えては返って観客の心に水を差し離れてしまいかねない。
その一部として今回は「音」という部分にフォーカスを当て解説されるわけが、この「音」だけでもより効果的な「音」を追求し実現しようと多くの努力がなされてる。その姿を見ているとより個性的で創造力が求められており決して個性を失ってるようには思えなかった。
CG技術もそうだが近年は日に日に完成度の高い作品がなされている。これは僕たち観る側も段々と見慣れていき潜在的により完成度の高い作品を求めている事は間違いない。
より完成度の高い作品を実現する事において映像美や映像による迫力だけではなく、こうして「音」という部分でも作品をサポートし時には映像以上の迫力を表現し我々を満足させ楽しませてくれている。
この目には見えないいわゆる補助的な存在にも多くの人が携わり支えているわけだからとても感心する。
最後に音響に携わっているスタッフの人たちが語るシーンがあった。誰一人ネガティブな発言はなく、みんなが楽しくて加えて仕事となるのだから幸せだと口を揃えて発していた姿に心を擽られた。
分からない単語もいくつかあったが、細かく追求する事なくても映画制作の裏側の一部を体験できる作品として誰もが楽しめる作品ではないか。
若い頃に観てたら、音響技術を目指したかも!
サイレントからトーキー、モノから5.1chへ至る歴史。生産工場の様な当時の音作りから、個性を持つ音への変化など様々な角度から、誰もが知る作品を交えての音響世界の紹介は、どれも目を見開く様に食い入る話だった。
特にスターウォーズの音作りは独特だった。
音探しの旅に1年間や音が先行している場合もあるなど、音がどれだけのイメージを作り出しているかがわかる。チューイの声の誕生秘話を特に取り上げているが、これは沢山の人に見て欲しい。
元々無い音を作る、例えばピクサーの電気スタンド、ルクソーJr.の話やトイストーリーの話は勿論と言って良いほど興味深かったが、リアルな音に臨場感を与える為に、戦闘機の音に動物の鳴き声を加えるなんて話も面白かった。
個人的には地獄の黙示録の音響技術、ウォルターマーチが影響を受けた、ミュージックコンクレートやジョンケージの話。
ミュージックコンクレートと言えば、ビートルズのレボリューション9が有名らしいが、私的にはモーリスベジャールの振付け曲と繋がったのは良い発見だった。
オタク勢ぞろい!
オタク要素高めの天才たちが、たくさん出てきて面白かった!
チャレンジャーばかりで、ただただ感心。
みんな、たいへんだったことも楽しそうに話すので、こっちまでワクワクしてきた。
映画「音楽」じゃなくって『音響』ってところも納得だし響きも良い。
裏方だけど実際、要だね。
今度からは、もっと耳を研ぎ澄まして映画を観ようっと!
映像業界者は見るべき
映像の仕事をしていると、音なしフィルムを見る機会も多く、初見でヒヤヒヤしながらリテイクをチェックしつつ、本当にこのままで大丈夫なのか?
と思いつつ効果音、セリフ、音楽が入った完成版は安心して見る事ができる。という経験を何度もしています。
それだけ映像作品に音響、音楽は重要で、ルーカスがインタビューで「映画体験の半分は音だ」というのも理解できます。
ドキュメンタリーなので地味なインタビューシーンが続くと思っていたら、超大作、名作、問題作の迫力シーンも多く見応えがありました。
映像関係者には必見の作品です。
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