劇場公開日 2020年8月28日

  • 予告編を見る

「映画/音を軸にひとつの物語になっており感動すら感じました」ようこそ映画音響の世界へ kizkizさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画/音を軸にひとつの物語になっており感動すら感じました

2020年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ガチ傑作ドキュメンタリーだった!

予想してた“あのSEはこんなモノで音出してた”ってのは少なかったけど、音響に関わる様々な仕事を録音/編集技術の進化とともに探っていく。
音のみに限らず映画の歴史が丁寧に説明されてる。
映画/音好きなら必見!

音の作り方の豆知識より、音を映画にどう組み込んできたか、映像と物語に比べて重要じゃないとされた要素をどう認させてきたかを音楽史をなぞりながら描く。
映画/音を軸にひとつの物語になっており感動すら感じました。

音響がいかに重要かを伝える役目として、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、デヴィッド・リンチ、ジョン・ラセター、クリストファー・ノーラン……と名だたる名監督が結構な量出てくるのがすごい。
彼らにしても意味があるドキュメンタリということです

とにかく丁寧でわかりやすい作りなので音響に関わらず映画史を勉強するのにもうってつけ。
名作がなぜ名作とされているか。
技術の進歩、時代の移り変わり、名スタッフの関係性…など色々と学べる。
と同時に名作が見たくなる。特にスピルバーグ作品!

取り扱う映画作品がエンターテイメントからアート系まで幅広いのもよい。
アートだけじゃなく大作だけじゃなく、どれもが革新的なことをしている。

時代を振り返ったあとに音響が複数役割で作られているのを解説する。
ここまでに何度か表示されていた3グループ7役割の表を元に説明してて”あぁ、この表はそういう意味だったのか!”と感銘を受けた。本作の鳥肌部分。
原題はMakeing Waves。さらになるほど!

音響の切り貼りと関連してミュージック・コンクレートも結構出てくるのが面白い。
音楽と映画は”BGM”だけじゃなく”音響”の点でも密接に関連してるんだなぁ。

ただ褒めまくるだけでなく、仕事ノイローゼや差別問題など業界が戦っている部分もちょこちょこと入れている。
なんとバランス感覚のある優等生な映画だこと;

音が記録されることの素晴らしさ。さらには映画が過去の出来事/あやまちを描くことに意味も感じられる。
見たあとに映画っていいなぁと思える作品でした。

kizkiz