「VR体験で人格UPグレード」十二単衣を着た悪魔 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
VR体験で人格UPグレード
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当時は出演者の不祥事も重なり公開も危ぶまれた映画ですが元宝塚の黒木瞳さんの監督ということに惹かれて鑑賞。
タイムスリップものなのだが平安時代の源氏物語の渦中ということもあり、SF感より歴史ロマン、源氏物語を通じ成長してゆく青年の葛藤と努力を描いたファンタジーといった趣。
源氏物語といえば「もののあわれ」、今風にいえば稀代のプレイボーイの恋愛遍歴なのだが、本作は光源氏の天敵、弘徽殿女御にスポットをあてたユニークな現代風の解釈。
「プラダを着た悪魔」のパクりのようなタイトルですが悪魔と言うのは解釈の妙、平安時代には珍しい本音で生きる妙に生々しい人物像、女御は元来、架空の人物だから内館さんなりの視点で脚色するのもありでしょう。
弘徽殿女御は桐壺帝がまだ東宮であった頃入内した最初の妃、主人公の雷は就職も恋愛も上手く行かず、出来の良い弟に比べられ劣等感に打ちひしがれている設定、これが出来の良い光源氏に見劣りすると言われた女御の息子、一の宮の境遇と似ているところがタイムスリップの味噌でしょう。
雷が出会った一の宮は妬まず僻むまず、母親思いの遥かに優れた人物で雷は自分の至らぬところに気付くのでした、元に戻れば一日ですが都では数年の歳月、職も妻も得て子を持つ寸前に悲劇が襲います。
タイムスリップ体験で多くの学びを受けた雷が現世で第二の人生を歩み出すのだが倫子再登場というベタなエンディング、いかにも黒木さん好みの内容だなと合点がいきました。
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