「この映画の役割と受け止め方を考える」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5この映画の役割と受け止め方を考える

2020年9月12日
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鑑賞方法:映画館

以下はある児童保育関係の本からの抜粋。

『自閉症スペクトラム障害(ASD)は広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ意味で使われている。以下の3つの症状をあわせ持っているのが特徴。
①対人的相互関係における質的な障害
(人と視線が合わない、友達が作れない、その場に合わない行動をする、など)
②意思伝達の質的な障害
(言葉が遅れたり、使い方が間違っていたりして会話にならない)
③限定的、反復的でワンパターンな行動や興味
(興味のあることだけにこだわり反復したり、ものの細部にこだわる)』

ただ、医学の世界でも、診断分類の改訂が行われるなど断定的な定義付けは難しいようです。
もちろん、症状が激しい場合、社会生活を送るうえで障害となることは事実だと思いますが、身体的な病気と違って、発現事象としては、どちらかといえば〝個性〟のひとつのようでもあり、そう考えると定義の枠に収まらない個人差や多様性があるのは当たり前のようにも思えます。
そのような個性を人として受け入れることと社会制度として受け入れることについては、どうしても不整合が生じます。税金での社会保障費の捻出、養護にあたる人材の育成と待遇、家族や医療・養護従事者の精神的な負担と使命感のバランスなど。

そのようなことについて、当事者でないと、普段は、なかなか意識して考える機会がないので、ハッとさせられることばかりでした。

前述の本によれば、ASDの出現頻度は人口の約2〜3%で、男児が女児の3〜4倍になるそうです。
(※注意欠如・多動性障害(ADHD)の出現頻度は人口の3〜10%だそうです。)
映画では、他の施設や病院では引き取り手のないほど症状の重い方々がメインでしたが、それだけ我々の身近にも(気が付いていないだけで)苦労している本人やその家族がいらっしゃるということです。

たぶん、花粉症の人の数ほどではないですが、映画館で年間100本以上の映画を見てる人よりは比率が高いと思います。

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グレシャムの法則