「ま・じ・め!!!」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ま・じ・め!!!
家族とふたりで観に行った。「最強のふたり」の監督だからきっとまた、ハートウォーミングで痛快なコメディだと勝手に想像してた。終わって、ふたりで、「真面目じゃん! 俺たちふたり、少しは事前確認してから来いって話だね」と大笑いした次第です。
というわけで、この映画、真面目です。そして、真面目に楽しめました。実話にもとづいた物語です。ドキュメンタリーではないのだけれど。観終わって思いました。みんなが、この映画を観るといいな。機会があったら、ぜひ、観てください。
パリで重度自閉症の子供たちをケアする施設(ただし無認可)を運営している男が、新たな要望や、様々なトラブルに対して、「何とかする」と言い続け、四苦八苦しながらも毎回なんとかし続ける話。彼の施設で働く支援員たち(ただし大半が無資格)は、(こちらもボランティアで)行き場なくドロップアウトした若者を教育している友人マリクが送り込んでくれている。
事実に基づいてはいるがフィクション映画、そのメリットというか、ドキュメンタリーではできない工夫を感じた。映画の中で起きること、描かれる出来事は、次から次に起きる苦労。俺は、それらをひとつずつ解決する主人公を観続けるだけなわけだが、それら苦労の中に、「ジョゼフは、地下鉄で4駅の区間を非常ボタンを押さずに無事に到着できるのか」、「新人のディランは、ヴァランタンの介助人になれるのか」 といった、結果がどうなるかについて、観ているこちらがちょっとドキドキするエピソードをさりげなくおいてある。だから、素直に映画に引きつけられ続ける。
次から次に起きる出来事を解決するといっても、大半はすっきり解決できるわけではない。だから、観ているこちらも気持ちよくなるわけではない。ただ、それらのことを、こんなことがあるんだ、と見続けることは、幾分かでもこの世界を知ることになり、知ることそれ自体に価値があると、自分は思う。
観たからといって、彼らのように、他人の社会復帰のために人生をかけて尽力することはできないが、観たのだから、明日から少しでも理解したつもりになって暮らそう。
みんなが観るといいな。
追記
自閉症の人たちの多くは、自分 たちの周りの世界を理解する力を身につけるにつれて、人への対応の仕方がよくなります。
(自閉症 Q&A ver.1.1 より引用)
彼らがやっていることは、重度自閉症の人に、道を広げる行為なんだな。