8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版のレビュー・感想・評価
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たいして面白くないが、意義はある!
コロナ禍の下で自宅生活が続く主人公が、通販で買ったカプセル怪獣を卵?から育てる話。
多様な映画文化を支えてきたミニシアターを応援すべく、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興行を予定しているとのこと。コロナ真っ最中に、あまり応援できていなかったので、ちょっと贖罪になった気がしてホッとする。
しかし、感染者数増大の中で、最終回ということもあってか、残念ながら、たった二人での、ほぼ独占鑑賞(250席)! 気持ちはいいけれど、ちと寂しい。
監督、岩井俊二、57歳。俺、60歳。
ウルトラQからウルトラセブンという、円谷プロのウルトラシリーズ初期三部作を、少年時代に経験し、それらに、特に怪獣や星人(宇宙人)にのめり込んだ人たちには、たまらない映画だ。逆に言えば、そうでない人にとっては、何か興味を感じるのだろうか、と少し心配。
映画としては、たいして面白くない。というか、かなり面白くない。
脚本・制作 庵野さん、樋口監督という最高の組み合わせで制作される「シン・ウルトラマン」に早々と出演が決まっていた斎藤さんは、ホントにこのシリーズが好きなんだな、と思うとか。のんさんは、相変わらず可愛いなあ、と感じることくらい。
なぜ、面白くないのか。それは、この映画が、フィクションの顔をしているけれど、実は、映画関係者にとってはノンフィクションだからなのだと思う。
そう、これは、コロナ禍の下で、映画制作どころか、撮影もできず、集まって話すことさえできずにいる、映画関係者が、「俺たちは、そんな状況下でも、映画を作る。できる範囲で、やれることを、やる」と決意し、実行した、(コロナとの)闘いの事実を描いた、ドキュメンタリー映画なのだ。
通常のドキュメンタリー映画であれば、制作の過程を描くが、本作は、観客が、結果、つまり出来上がった作品だけを観て、その制作過程を思い描く。そして、コロナ禍という共通の過酷な状況の下にいるがために、現在進行形で、重苦しさに共感し、「明日からも、頑張ろう」と、ちょっとだけ思える。そんな映画になっている。
実際、コロナ禍の外出制限がピークの頃の、人影まばらな渋谷センター街や電車の駅他の映像は、この状況を克服し、日常が戻って来た後に観たら、懐かしい映像となるだろう。コロナ禍の下での生活を描いた、最初のノンフィクション映画だな。
そういうわけなので、興味のある方や、このコロナ禍の下で無力感やなんとなく圧迫を感じている方は、気が向いたら、観てみてください。この、闘いの記録を。
普通に観たら「なんだ、これ?」映画になっちゃうかもしれないので、お気をつけて。
おまけ
しかし、カプセル怪獣のカプセルが5個とは知らなかった。「三匹登場したけれど、カプセルは4個ある」だと、60年間思い続けていた。
おまけ2
6歳の時に「ペギラとチャンドラーは兄弟なんですか?」に始まる、100個ほどの質問を円谷プロに送ったら、丁寧な回答が、スチール写真(スペシウム光線発射だった)同封の大型封筒で送られてきて、驚き、感動したのが、昨日のことのようだ。現在は中国資本下になった円谷プロだが、一生、ファンでい続けます!
( 帰って来たウルトラマンまでの4作と、ティガ以降の3作限定かな。当たり外れ大きいからなあ)
カプセル怪獣は、弱い、敵に勝ったことがない、ただの時間稼ぎ。
すごいなあ、コロナ禍の中、その状況を逆手にとってここまでのものを仕上げてくるか。作品全体の緻密さはないが、むしろそこが狙い目のようで、うまくファンタジー色に仕立てられている。現実と幻想が混在しているような。確信と不安の間の感情が錯綜しているような。
なによ、カプセル怪獣って?ってとこから始まる物語が、ああ、今言ってるそのことはアレのメタファなのかって脳内変換しながら見ていくのだが、この、ちょっと陳腐そうな映像から醸しだされる”冷静さ”が妙にリアリティがある。そしてカプセル怪獣に希望を持たせながら、実は弱い、敵に勝ったことがない、ただの時間稼ぎ、と身も蓋もない断を下す。たしかにウルトラセブンに出てくるミクラスもウインダムもそうだった。でもそこには単なる批判や諦めがあるのではなく、前向きな希望的な感情に満たされている。その空気感が絶妙に上手い。
そして最後、日々変化をもたらしていたカプセル怪獣が、そこに行きつくのか。なんだそれか、と思うか、はっとさせられるかは人それぞれなのだろうが、エンドロールに流れる小泉今日子の歌声を聴きながら、僕が安らぎを覚えたのは確かだ。
面白くはない
けして面白くはない。
カプセル怪獣というモチーフの扱い方は上手くないし、着地は安易だし、メッセージは直接的すぎる。
だけどやっぱり岩井俊二だなと思わせられるのは何故なのか…
なんか映像の加工と音楽の使い方で職人的にノスタルジックな雰囲気を作っているだけなんじゃないかという疑惑すら涌いてきた…
克服しよう
相変わらず、先行きの見えない日々が続いている。今日は8月1日、映画サービスデー。いつものチネチッタで、岩井俊二監督の「8日で死んだ怪獣の12日の物語」を鑑賞した。
岩井俊二の作品は、1995年の「Love Letter」から長い付き合いになる。手練手管は分かっているのに、いつもロマンティックな美意識にやられてしまう。映像も音楽も物語もあざといと思う。
好き嫌いとか出来不出来とかは無関係であり、こんなリアルタイムで、自分の中の憧憬と憎悪とが交錯する映画監督は他にいない。唯一絶対の存在である。
「8日で死んだ怪獣の12日の物語」は、今後数多く作られるであろう、新型コロナウイルス感染症の拡大を主題とした映画の先駆けである。当然ながら、ほとんどがリモート撮影で製作されている。
ピアノやヴァイオリンやチェロのソナタが流れる中、緊急事態宣言下の渋谷や下北沢の街並みはモノクロで無人で無動作で、まるでエヴァンゲリオンの新東京市のようだ。
それなのに、サブカル色が満載であり、カプセル怪獣の日々の成長が楽しみになる。のんちゃんの不思議ちゃん振りも可愛いし、何より斎藤工の自撮りのリポートが誠実で魅力的。困難な状況下にあっても、肩の力の抜けた愛すべき作品である。克服しよう。
応援メッセージ
のんちゃんかわいい。
樋口監督が、すっとぼけたオッさんの演技してた!
小泉今日子の主題歌をはじめ、劇中の歌や曲がいい!
SNSで広がった『カプセル怪獣計画』の延長上にあり、主に『ウルトラQ』〜『ウルトラセブン』までの怪獣ネタが詰まっているので、あの動画を見ているほど怪獣に理解がないと、何をしたいのかわからないかもしれません。
そのへん踏まえて、ミニシアター公開にしたのだと思います。
私は、岩井監督、樋口監督、斎藤工からの「みんなで新型コロナウイルスという怪獣をやっつけて、未来をつくるヒーローになろう」「だから自粛も戦い方だよ」って応援メッセージをストレートに受け取ったような気がしました。
これを映画と呼んで良いものか?
何かを期待して観るとズッコケます。
軽い気持ちでみて、ほのぼのと、にやけてください。
映画をみて、つまらない、金返せと叫ぶような方は、YouTubeのダイジェストをエアコンの効いた部屋でアイスコーヒーでも飲みながら観た方が賢明だと思います。
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