劇場公開日 2020年7月31日

「たいして面白くないが、意義はある!」8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5たいして面白くないが、意義はある!

2020年8月5日
iPhoneアプリから投稿

コロナ禍の下で自宅生活が続く主人公が、通販で買ったカプセル怪獣を卵?から育てる話。

多様な映画文化を支えてきたミニシアターを応援すべく、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興行を予定しているとのこと。コロナ真っ最中に、あまり応援できていなかったので、ちょっと贖罪になった気がしてホッとする。

しかし、感染者数増大の中で、最終回ということもあってか、残念ながら、たった二人での、ほぼ独占鑑賞(250席)! 気持ちはいいけれど、ちと寂しい。

監督、岩井俊二、57歳。俺、60歳。
ウルトラQからウルトラセブンという、円谷プロのウルトラシリーズ初期三部作を、少年時代に経験し、それらに、特に怪獣や星人(宇宙人)にのめり込んだ人たちには、たまらない映画だ。逆に言えば、そうでない人にとっては、何か興味を感じるのだろうか、と少し心配。

映画としては、たいして面白くない。というか、かなり面白くない。

脚本・制作 庵野さん、樋口監督という最高の組み合わせで制作される「シン・ウルトラマン」に早々と出演が決まっていた斎藤さんは、ホントにこのシリーズが好きなんだな、と思うとか。のんさんは、相変わらず可愛いなあ、と感じることくらい。

なぜ、面白くないのか。それは、この映画が、フィクションの顔をしているけれど、実は、映画関係者にとってはノンフィクションだからなのだと思う。
そう、これは、コロナ禍の下で、映画制作どころか、撮影もできず、集まって話すことさえできずにいる、映画関係者が、「俺たちは、そんな状況下でも、映画を作る。できる範囲で、やれることを、やる」と決意し、実行した、(コロナとの)闘いの事実を描いた、ドキュメンタリー映画なのだ。

通常のドキュメンタリー映画であれば、制作の過程を描くが、本作は、観客が、結果、つまり出来上がった作品だけを観て、その制作過程を思い描く。そして、コロナ禍という共通の過酷な状況の下にいるがために、現在進行形で、重苦しさに共感し、「明日からも、頑張ろう」と、ちょっとだけ思える。そんな映画になっている。

実際、コロナ禍の外出制限がピークの頃の、人影まばらな渋谷センター街や電車の駅他の映像は、この状況を克服し、日常が戻って来た後に観たら、懐かしい映像となるだろう。コロナ禍の下での生活を描いた、最初のノンフィクション映画だな。

そういうわけなので、興味のある方や、このコロナ禍の下で無力感やなんとなく圧迫を感じている方は、気が向いたら、観てみてください。この、闘いの記録を。

普通に観たら「なんだ、これ?」映画になっちゃうかもしれないので、お気をつけて。

おまけ
しかし、カプセル怪獣のカプセルが5個とは知らなかった。「三匹登場したけれど、カプセルは4個ある」だと、60年間思い続けていた。

おまけ2
6歳の時に「ペギラとチャンドラーは兄弟なんですか?」に始まる、100個ほどの質問を円谷プロに送ったら、丁寧な回答が、スチール写真(スペシウム光線発射だった)同封の大型封筒で送られてきて、驚き、感動したのが、昨日のことのようだ。現在は中国資本下になった円谷プロだが、一生、ファンでい続けます!
( 帰って来たウルトラマンまでの4作と、ティガ以降の3作限定かな。当たり外れ大きいからなあ)

CB