「克服しよう」8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版 しんぐちゃんぐさんの映画レビュー(感想・評価)
克服しよう
相変わらず、先行きの見えない日々が続いている。今日は8月1日、映画サービスデー。いつものチネチッタで、岩井俊二監督の「8日で死んだ怪獣の12日の物語」を鑑賞した。
岩井俊二の作品は、1995年の「Love Letter」から長い付き合いになる。手練手管は分かっているのに、いつもロマンティックな美意識にやられてしまう。映像も音楽も物語もあざといと思う。
好き嫌いとか出来不出来とかは無関係であり、こんなリアルタイムで、自分の中の憧憬と憎悪とが交錯する映画監督は他にいない。唯一絶対の存在である。
「8日で死んだ怪獣の12日の物語」は、今後数多く作られるであろう、新型コロナウイルス感染症の拡大を主題とした映画の先駆けである。当然ながら、ほとんどがリモート撮影で製作されている。
ピアノやヴァイオリンやチェロのソナタが流れる中、緊急事態宣言下の渋谷や下北沢の街並みはモノクロで無人で無動作で、まるでエヴァンゲリオンの新東京市のようだ。
それなのに、サブカル色が満載であり、カプセル怪獣の日々の成長が楽しみになる。のんちゃんの不思議ちゃん振りも可愛いし、何より斎藤工の自撮りのリポートが誠実で魅力的。困難な状況下にあっても、肩の力の抜けた愛すべき作品である。克服しよう。
コメントする