れいこいるかのレビュー・感想・評価
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たらればのさまよい
自然災害なので人一人の力でどうにかならないものもあるわけで
ましてや自分の娘がとなれば、タラレバを思ってやまないと思う。
日々過ごしているが、どこか空虚であるという人間模様がありありと描かれていた。
どう気持ちを着地すれば良いのか誰もわからないがまま時間だけが過ぎていく感覚が
この映画には映し出されていて、物語であって、物語ではない現実が重すぎて
飄々とみせる様が哀愁をさそった。
途中の目が治ったのがちょっと理解できなく過去か未来かわからなくなるところはあったが
この映画をどう捉えていいかボクにはわからないが、
誰かの肩の荷を少しやわらげる物語に
なっていると信じれる映画だった。
破壊と再生
主人公の伊智子と太助は阪神淡路大震災で娘のれいこを失う。
心の隙間を「男」で埋めようとした伊智子。
作家になると言う「夢」にしがみついていた太助。
少しずつ軋んでいたであろう夫婦の関係は震災によって一気に崩れる。
虚無の中で生きる伊智子らに対し、周囲の人々が生きる証を探そうとする姿は滑稽なくらい貪欲で切実だ。
劇中、伊智子が視力を失い、再び見えるようになる描写に一瞬違和感を覚えるが、これは伊智子の「心の眼」だと思えば合点が行く。
見えているようで見えていなかったもの。
見えなくなって見えてきたもの。
20年余りの時を経て伊智子の心の眼は開かれる。
暗がりのスクリーンに映し出された追悼式のシーンはまるで自分がその場に佇んでいるようで、静かに祈りを捧げた。
乱調にも見えるウルトラマンの話しを「破壊」と「再生」の物語とするなら、この映画は死者と今を生きる我々への「オマージュ」と言えよう。
商業とは一味違う自主映画の力を感じる良作だった。
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