劇場公開日 2021年9月23日

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「隔靴掻痒」カラミティ ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0隔靴掻痒

2024年3月3日
iPhoneアプリから投稿

アニメ映画しては文句のつけようがない素晴らしさ。
舞台となる開拓時代のアメリカの風景を、複雑な階調ではなく、あえてフラットな塗りの色味を重ねることで表現する、日本の浮世絵や新版画にも通じる大胆な画面作り。
シャープな描線で繊細に描かれる日常芝居。
ほんとーに画面は120点だと思う。

ただ、ストーリーが初見ではやや飲み込みづらい。
当時としては何重ものタブーを犯して「カラミティ」たる自分になっていくマーサのドラマ。
最終的には英雄として帰還するまでのストーリーだとするなら、クライマックスがやや性急すぎるし、旅の仲間とのくだりはもっと長くてもよかったのではないだろうか。
正直、ずっと追いかけていたあの人の正体が判明するまでの間は、絵はすごいけど話は前作の方が…と思っていた。
そこからは一気呵成に畳みかけて、ウエスタンらしい劇伴に乗ってマーサが馬を走らせるだけのロングショットにも感動してじわっと涙が出てくるほど。
うーん、もったいない。

テーマ的に、いかに枷を破ることが難しいか、を強調したいのはわかる。だけど観客としては正直、中盤までの状況が変わってないように思う時間が長かった。
ハリウッド的な娯楽映画ではないし、アートアニメってわけでもない。すばらしいんだけど、ニーズがねぇ…
今後もこのチームの作品を待望してる身としては、もうちょっとバランス調整してほしいなと思わずにはいられない。

ipxqi