スパイの妻 劇場版のレビュー・感想・評価
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お見事
満州で日本軍が行っていた非道な国家機密プロジェクトを告発しようとした夫に、ついて行く妻の話。
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メインの役者3人の古臭い芝居がすごく良くて、映像は新しいけど昭和のメロドラマでも見ているような雰囲気がした。特にこの夫婦は貿易会社(?)を経営してたので、戦時中でも洋服を着ていて家の中も洋館。だから昔の日本らしい演出と昔の洋画っぽい演出両方楽しめる。
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同日公開の『鬼滅の刃』と全く真逆、画面はずっと暗いし話も暗いし(笑)じわじわと心をえぐられるような感じで、私はどっちも好きですよ。こういう映画も大事にしていかないと。.
旦那の裏切りについて普通だったら最低のくそ男だなと思うけど、奥さんが「お見事!!!」って発狂したみたいになんか騙されたのにスカッとしちゃうんだよね。あの爽快さはなんなんだろう。まさにお見事。
(´ω`)なるほどね、わかりますが、、、、。
スパイの妻として騙された女の話。
関東軍の細菌実験の事実を海外に持ち出すスパイとその妻、スパイの妻として職責を忠実に果たすのだが、、、、、。
おそらく731部隊の活動事実と聡子の精神病院での一言が対比させて初めてこの映画の伝えたいことが分かるんだと思います。
〝私は狂っているふりをしています、、、、そうしている私は狂っているのです、、、〟
黒なものを白と思っていてもそれを口にせず問題が過ぎ去ることを待ったり、強くそれを信じて疑わないことって異常なことなのでしょうね。
日常生活の中で、特に日本人は多いのかと思います。
だがしかし細菌兵器に関しては捏造だと私は思いま、、、、コレが異常なのですね。
蒼井優の映画
映画としては淡々と静かに進むストーリー
どんな展開が待っているか、期待を持たせます
演劇か?と思わせるような演出、特に前半
後半からの展開を期待しましたが少し期待外れです
夫婦愛がそこまで感じられなかったのも残念です
昭和的な演出かもしれませんが・・・・・
期待通りだったのは蒼井優さんですね
最後は海で、はもうエエわ
面白くもなんともない映画。今年のというか、生涯で一番つまらなかった映画です。金返せと言いたい、ホント。淡々と進む単調な映画ですわ。というかテレビ番組の映画館上映?であれば納得。映画館で金とって見せるレベルに達していない。
主人公二人はどういう設定で東京山の手言葉(標準語と呼んでもいいが)を喋っているんだ?神戸での長年の貿易会社経営・自宅も神戸。来たばっかりじゃなかろうに、違和感大。あと、旦那は船の上で誰に向かって手を振っていたのか?また、日本から脱出しようとしているのに目立つことして良いのか?わけわからん。
日本の映画テレビで、最後に無駄に海岸を走らせて終わったり、海岸で泣いたり、死んだりして終わるのは、もうお腹いっぱい。青春物の「夕日に向かって走るんだ」「海のバカ野郎」と同じ安直さ、レベルの低さだと思う。話の片づけ方をどうするべきか決まらず、海岸で終わらしちゃえとでもなったとしか思えない。この映画でも、嫁さんはなぜ、神戸大空襲の夜に人が全く居ず貸し切り状態の不思議な海岸までわざわざ行って大泣きする?ドラマチックを演出か?古っ。おいコラ、こんな脚本、もうエエわ。あとこれは脚本のせいじゃないが、大阪湾のとは思えない大波の場所だったしねぇ。
究極の人間物語
「お見事です」
祝・ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞。「スパイの妻」というタイトルから期待させる物語...でもやっぱり黒沢清がつくるとこうなるよね...という印象。
スパイ(スパイじゃないと高橋一生は言い張るが)とか戦争とか、関東軍とかをこの映画は全部背景にしてしまうのである。この話は男女の駆け引きの話であり、しかもそれはひどく楽しくないやつだ。何かにひどく執着する者たちの化かし合い。ただただ、人間のどうしようもない深淵を描くやつだ。
その辺はきっと脚本が濱口竜介と野原位だからなんだろうというのは感じる。黒沢清の弟子が師匠の為に書いた、そしてあの「ハッピーアワー」の脚本陣のうちの2名であるのだから、まあそれはそうなるよね、という。
展開にはらはらする物語ではない。ずっと見ていればああいう展開になると容易に想像はできる。伏線も割とあからさまに張ってある。
だからこそあの蒼井優の、無垢と純真から強かになってまた純真に戻り(ただし最初の純真とは全く質が異なる)、最後透徹したかと思えば慟哭する、こうやって書いてしまうと薄っぺらいが実際見せつけられたときの衝撃というか、じわじわと迫る演技に打ちのめされる。これはまさしく「スパイの妻」の物語なのだ。蒼井優は堂々たるタイトルロールなのだ。
高橋一生の食わせ者っぷりも中々なのだが、食わせ者だと分かってしまう感じなので(勿論わたしは妻じゃないのでそう見てしまう)もうちょっと...もうちょっと何かが欲しかったかなあと思う。巧すぎるという表現が正しいかもしれない。巧み過ぎるのだ。
東出昌大はああいう役が似合う(感情の入りと虚無をどちらも表現できる)。実のところしれっとどんな役も演れるタイプの役者だとずっと思っている...。あんまり賛同されないのだが。
個人的には恒松祐里さん(「散歩する侵略者」に出てましたな)と坂東龍汰さんは少ない出番でものすごく印象に残りました。お二方とも出演作品でいつも強い印象を残されていると思う。
不意に現れる画の切り取り方にどきりとさせられた。ずっと「不穏」が続くのはあの画の効果が大きいと感じる。幸せそうと映る場面ですら不穏。
あと、不覚にもエンドロールを見て「あの人いつ出てた?!」という役者さんが多かった。悔しい。
銀獅子賞は一旦忘れて観るべし
もともと好きな俳優陣が出てるので見る予定でした。銀獅子賞を取ったことでハードルが上がってしまいましたが、映画としてはちょっとチープかも。テレビドラマとしては十分なのだと思いますが。
ストーリーはとてもスリリングだと思います。
ただ伏線が分かりやすくて、「そうでしょうね」となるところが多いのが残念。NHKを観ている年配向けかな。
最後はどうなるのか、、、と思ったけど、三行で終わるのはちょっと残念。
おふたりの演技は良かった。
特に高橋一生はカッコよすぎる。
ちょっと演劇っぽいオーバーな演出は好みが別れるかも。
蒼井優は演技の幅がすごい。貴婦人のような振る舞いから、スパイ、発狂まで。
東出も良かったです。が、亭主のいない家に上がり込むと、別のドキドキがしてしまう(笑)
外国人が見ると、日本刀下げている軍人や、歴史的事実、和風の旅館、昭和初期の日本の風景など、惹かれる要素は多けど、日本人にはそんなに響かなかった。
総合して、、、ハードルを挙げずに見るべし。
フラットな気持ちで観れば面白い映画です。
蒼井優さん、お見事です!
女優 蒼井優ここにあり!
お見事でした。素晴らしかった。
いやいや説明セリフが多くないのに
かつ、物語のキーパーソンたる役割を
充分説得力をもった演技でやり切ったのでは?
起承転結の転が多く、ストーリーとしては
結構裏切ってくれてうれしく楽しく鑑賞できました。
ただ、残念ながら本作品はBS番組なんですよね。
だからでしょう、時間が少ない、予算少ない、
ってのがあったと思うんです。
もっと人物背景描けたって思うし、人間関係、葛藤
様々に描けたはず。
端折ってる感ありありなんだよな。
特に蒼井優さん演じる、人間として、日本人として
妻として、、、の葛藤の、いや、大葛藤の末迎えた
クライマックスのシーン。
結局迎えた結果はお金かけて描いていれば
もっともっと深く突き刺さるものになったかな?って。
とにかく、物語は面白い。
ホントに、映画作品として作られなかったことが
残念で仕方ないです。
お見事です
ヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)受賞作品である。映画館で予告編を何度も観せられて必ず鑑賞しようと思っていた作品だけに、鑑賞前に受賞の報を聞いて期待値が一段上がった。
本編は予告編の印象とはかなり違っていた。特に蒼井優が演じた聡子は、予告編の可愛らしい妻ではなく、思い込みの激しい独善的なタイプで、その大胆さと行動力によってある意味物語を引っ張っていく。そして高橋一生が演じた夫福原優作は、聡明博識の上に聡子以上に行動力に富んでいるから、こちらも物語を引っ張っていく。聡子が表を担い、優作が裏の部分を受け持って、その両輪の伯仲が波乱万丈なドラマを更に劇的にしていく。なんとも位置エネルギーの高い夫婦なのである。いずれも複雑な人格であり、蒼井優も高橋一生もそれぞれのややこしい役柄を奥行きのある演技で上手に演じていたと思う。
脚本に参加している濱口竜介は映画「寝ても覚めても」の監督でもあり、その主演が東出昌大と唐田えりかというのも何かの因縁だろうか。本作品で東出が演じた憲兵隊の将校津森泰治は、戦前の軍官僚が想定した国体の護持という大義名分を盲信する愚かな兵士の典型である。こういう思い込みの激しい単純な役柄が東出に合うようで、本作品での国家権力の窓口としての存在感は大したものだった。
ストーリーは終盤の手前までは意外と一本道ではあるが、ディテールのシーンが沢山あって、坂東龍汰が演じた文雄や恒松祐里の駒子と夫婦の精神的な結びつきが物語の幅を広げている。街なかでは愛国婦人会も登場して、示威行進する歩兵隊に拍手を送る。一方では歩兵隊をまるで通り過ぎるトラックでもあるかのように無造作にやり過ごす歩行者もいて、これらのシーンが物語にリアリティを醸し出している。
場面は光の当たる明るい場面から映写機が回る暗い場面までメリハリが効いていて、その中で次々と変わる聡子と優作の衣装が映える。大変にお洒落な夫婦であり、優作の「そんなもの(国民服)着ていられるか」という台詞が、権力に屈せず精神的な自由をなんとしても守るのだという強い意志を感じさせる。
結末には少し驚かされた。それが判明したときの蒼井優の演技は実に素晴らしくて、黒沢清監督が一番描きたかったのがこのシーンではないかと思った。本作品が歴史の悲劇を描いたのではなく、エンタテインメント作品だったのだと初めて気づかされるような衝撃のシーンだった。お見事です。
よっぽどこちらのほうが、“コンフィデンスマンJP”
「スパイの妻」。
黒沢清監督、蒼井優・高橋一生共演で、今年の第77回ヴェネチア国際映画祭の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した作品(北野武監督以来17年ぶり)。
作品の企画主旨は、映画ではなく、NHKによって8Kスーパーハイビジョン(超高解像度のテレビ規格)撮影によるテレビ映画(ドラマ)として作られ、BS8K放送されたもの。とはいえ、制作段階から劇場版公開を想定しているからできる工夫がなされている。実際には劇場版と放送版では収録フォーマット上のエクスキューズがあるように見受けられる。
NHKのコンテンツなら再放送を期待したいところだが、興行上の配慮(劇場が儲からない)により、当面行われない。ある意味で受信者への不利益であるが、これについては後述したい。
劇場版の画角は、公式に「1.85:1」と表記されているのでアメリカビスタということになる。ハイビジョン放送の画角は「16:9」(1.78:1)なので、元々映画版の画角で撮影して、放送用に左右をカットしたと考えるのが自然だ。ごくごく些細なことだが、テレビ放送では見えなかった部分が劇場版にはある。
作品のトーンは黒沢清監督らしいのたが、展開は昔の映画にありそうな懐かしい、古典的なタッチのサスペンス映画だ。何も考えずにエンターテインメントとして楽しめる。むしろ今だからこそ新鮮にさえ感じる。
蒼井優と高橋一生が夫婦役、しかも夫が秘密を抱えているというのは、2人が共演した前作「ロマンスドール」(2020)と偶然にも似ている。互いの愛情ゆえに秘密を隠し続けるというのは同じだが、夫が“ラブドールの職人だった!”という突飛な設定と今回は趣きがまったく違う。
太平洋戦争前夜の1940年、神戸で貿易会社を経営する優作(高橋一生)は、出張先の満州で陸軍の計画する人道的に許されない事実を知り、自らの正義感からそれを世界に暴露しようと計画する。
夫をひたむきに愛する妻・聡子(蒼井優)は、最初はまったく事実を知らないが、夫の不自然な行動や、満州から連れ帰ったとされる謎の女への嫉妬などから、幸福の裏でうごめく秘密に気づき始める。
やがて自分の知らぬ夫の真実の思いを知ることになる聡子は、優作への一途な愛から、彼女自身を大胆な行動へと突き動かしていく。
よっぽどこちらのほうが、真に迫った“コンフィデンスマンJP”である。憲兵役で東出昌大が絡んでいるし、じつは優作(高橋一生)を偽装で米国に逃亡させ、聡子(蒼井優)を精神病扱いで助けたと考えてみると、面白おかしくなる(最後にダー子の高笑い……なんてね)。
さて、黒沢清監督は8Kカメラの実力を試しているのではないかと思えるシーンがある。
序盤、優作の貿易会社に憲兵の東出昌大が訪ねてくるシーン。窓からの逆光がダイナミックに部屋に入射してくる。バランス的には飽和してしまっている気もするが、どこまで室内が解像できるか、8KカメラのHDR(High Dynamic Range=ハイ・ダイナミック・レンジ)のコントラストを試すような撮り方である。
同じく、聡子が取り調べを受けたあとの夕日の逆光はまぶしく、ふつうの映画では何気なく挿入したりしない。
とにかく本作は「光と影のコントラスト」をふんだんに使っている。このあとも会社の室内や、優作と聡子の邸宅の室内撮影は、かぎりなく自然光で行われている。補助光を使っていないため、インテリアや小道具の影が自然に伸びていて、どこまで陰影が表現できるか、8Kカメラの実力を見られる。むしろ補助光を使う普通の映画では影がなかったりする。
エンディングの炎に包まれた廃墟も、最も明るい炎と、闇のなかの廃墟をどれだけ同時に収められるかの実験的なシーンである。
たびたび出てくる路面電車(乗合バス?)内でのシーンは、外が見えないぼど窓からの光で潰している。単に風景CGの予算カットかもしれないが特徴的だ。
違和感を感じたのは、コマ落ち。おそらく8Kカメラが60fps(毎秒フレーム)なので、これを上映できる映画館が限られてしまう。30fpsでもいいのだが、それならとフレームレート24p(標準的な映画のコマ数)に変換をしているように思える。フレーム(コマ)を間引いているので、横方向のパンニング動作に近い、自動車などの動きがカクカクと不自然に見える瞬間がある。
ノーラン監督のIMAXフィルム撮影は別格だが、それでもまだまだ8K撮影は予算がかかる。旧作名画の8Kリマスターでさえ、8K放送開始(2018年)以来の2年弱で、「2001年宇宙の旅」と「マイ・フェア・レディ」だけだ(もちろん理由には家庭で見られる視聴者が少ないというのもある)。
NHKが潤沢な制作費を投入して、次世代の映像技術開発に挑戦してくれるのは、日本にとって重要なことである。
黒沢清監督、蒼井優主演というブッキングからして、8K技術によって、放送コンテンツと映画の垣根を超えようと目論む意思が見られる。文化と興行、技術革新を俯瞰できない監督が作ると、単なる“8K画質の評価映像”でツマらない作品になっていた。その点で黒沢清監督の仕事は素晴らしい。
ただし。NHK作品の制作費は視聴者(=マジメな国民)が受信料として支払済みなので、NHKエンタープライズの商売には苦言を呈したい。
他の映画と同じ鑑賞料で儲けるのはやめるべきだ。例えば“auスマートパス割引”や“docomoのドコチュー”のように、NHKも“受信料納付者アプリ”でNHK作品の鑑賞割引をすべきだと思う。
もしくは即刻、再放送をするべきだ。なぜなら、それこそが8K放送受信機の普及につながるから。
(2020/10/17/新宿ピカデリー Screen6/ビスタ)
ドラモンド氏とドザエモン・・・お見事!
明らかに関東軍防疫給水部本部(731部隊)についての国家機密について描かれている本作。森村誠一氏の「悪魔の飽食」も夢中になって読んだのですが、後に関係のない写真が使われたとして信憑性も問題になった。ソ連が侵攻してきたために建物の多くは爆破され、資料も焼き払われてしまい、関係者の証言を積み重ねた結果による内容だ。今でもそのおぞましさにくらくらした記憶がある。また、部隊長石井四郎が帰国して隠れていた場所も自宅の近所なので・・・
この作品に関してはフィクションなので、それほど問題提起をしているわけではなく、ほぼ国家機密を知った男とその妻の物語。互いに信じることの夫婦愛を描いているのですが、疑いの目を持ってみれば色々な思惑が想像できるのです。まずは福原優作(高橋一生)と一緒に満州に渡った甥の文雄。人体実験のノートを優作の妻・聡子(蒼井優)に渡すものの、金庫に隠したフィルムをも見つけたため、幼なじみである特高の泰治に密告。おかげで優作も呼び出されるが、文雄が優作との関係を自白しなかったため夫婦は助かるという展開。
「文雄さんは絶対に自白しないと思ったわ」などと軽い口調の聡子だったが、優作はこの時点で妻に裏切られたと思ったに違いない。はっきり言って、聡子は甥を特高に売ったのだ。コスモポリタンの正義だとか現在の幸福だとか言い争った末のことだし、この段階でアメリカ亡命は聡子を囮にしようと考えたのだろう。一人でアメリカに渡り、自分の生死情報にさえデマを流し、戦争が終わるまで身を潜めていたのか、その辺りは全く不明。
優作による密航者を捕まえるよう特高に教えるという徹底した手口。第三者だから大丈夫だろう。生きていればまた会えるというメッセージさえ考えられるが、精神病になったという聡子の演技には愛があったのだろうか?もしかして優作に復讐するんじゃないかという思惑も感じられるのだ。スパイの妻として、もしくは自らがスパイのごとく、復讐するつもりで戦後渡米したんじゃないだろうか・・・などと考えれば、夫婦の4年間の騙し合いという、相当重厚で面白い心理劇なのです。また、ABCD包囲網や石油輸入が禁止になったことも知ってるので開戦させるために機密を売るなどと言っていたのも口実だと思う。むしろ、戦後に売ったほうが史実にマッチする。
一方、草壁弘子を殺したのは本当に旅館の主人なのか?という疑問も残ってるし、文雄がその後どうなったのかも知りたいところ。そもそも弘子が死んだってのも疑わしいし、ドラモントがその後どういう活動をしていたのかも知りたいところだ。こうなったらドラえもんのタイムマシンを借りて真実を確かめるしかない!
そんなこんなで、ストーリーも面白いし、山中貞夫の『河内山宗俊』の映像や溝口健二の新作(タイトルわからず)といった映画ファン向けのエピソード。それに加えて、趣味のサイレント映画が効果的に使われているのも嬉しい感じ。モノトーンの蒼井優が美しかったこともあるし、銃で撃たれるシーンを見た直後の台詞「お見事」にはお見事としか言いようがない。
勝手に言うが,キャストの好みでも評価が違ってくるんで無い⁈
最初に断って置くが,キャスティングで私は映画作品を決める(勿論そうでは無い事もある)が、そっかぁ,私は観ていない「ロマンスドール」という作品で肉体関係のある作品を既にやってる2人なんだったんだねぇ〜( ͡° ͜ʖ ͡°)
私の見解~最近,色んな作品に出だした高橋一生は,あたかもずーっと以前から普通に?当たり前の様に?何処にでも,主演していたようになったように思われた。
蒼井優は、個人的にも結構えぇと思うし,結婚した所為かな?どんどん成長し,あまり嫌うような人はいる?と,問い質してみたい印象を受ける。
東出昌大は、かなりの大役を演っていたが,世間的には?非常に評価が高いような気がしたが、私個人的にはあまり好きでは無く,辛口だが一寸まだこの役は荷が重いんとちゃうの⁈なんて思わせたのが正直な感想かなぁ⁉️
タイトルに違和感は残るが…
スパイの妻、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作品ということで、興味を持って、ふらっと行きました。
なので全くの予備知識なしでした。
序幕から、ちょっと意味がわからず、関係性もわからず、かなり戸惑いました。
上流階級では自主映画みたいなのも作ったりしてたんですかね? これも上流階級ならではのお遊びなんでしょうか。
映画の中で映画を見るという、ちょっと奇妙な感じでしたが、無声映画でそれはそれでおもしろかった。
モノクロで画面を取られた時の蒼井優の顔を見て、初めて綺麗だなと思った。
高橋一生はああいう役はよく似合いますね。
貿易会社の社長で、アメリカンナイズされてて、気取った感じ。この時代に人前でハグするとか、すごいことのような気がします。姿勢も良くて、ほんとかっこいい。こんな旦那様がいて、お手伝いさんや運転手までいて、素晴らしい生活だなあ…。
でも、満洲へ行ってから夫が何かを隠しているようで、憲兵からも目をつけられ、怪しむ妻はそれを探ろうとする。ここからもうハラハラ…。妻の幼なじみは憲兵の分隊長、東出とのやり取りで、それ大丈夫なの?とこちらが不安になるような行動に‼️
本当に目を覆うシーンもありましたが💦
心の騙し合いが面白かったですね。
あとから思えばありきたりな展開かもですが、そう来る?と見事に騙されました。
さすが高橋一生‼️ なんかずるい。
でもきっと妻を思ってのことなんでしょうね。
最後の方のテロップ見て、これ実話なの?とも思ってしまったけど、違いましたね。
そのあとどうなったのか…想像にお任せ、というのがもやもやするので、描いて欲しいー。
多分そうなんだろうなーとは思うけど…。
そして、これ、スパイの妻というけど、スパイではないので違和感は残りました。そして、この主役はやはり高橋一生のようにも見えました。
騙し合いの映画だとすれば、こういう解釈はいかがでしょうか?
NHKで放映されていたドラマは観ていないので、前知識なしの初見です。これは面白いです。ただ、表面的にはわかりづらい。
ポスターなんか見ると、なんとなく、蒼井優が妻でしょ?幸薄く健気な感じで、お、東出が憲兵っぽいから、こいつが鬼畜だな。主役は高橋一生かぁ〜、優男でインテリスパイかな。
と想定しながら観ていると、ふむふむ、なんか安っぽい展開だなぁ〜、、、と思っていると、すっかり騙されます。簡単に言うと、高橋一生と蒼井優の夫婦の壮絶な騙し合い。
まあ、一番最初の「騙し」のシーンで、高橋一生が「俺を信じてくれ」というセリフで、顔半面に光があたり、もう半面が影になる撮り方。さあ、私は裏表ありますよ、という宣言ですね。
蒼井優も無邪気な若奥さんに見えて、相当に嫉妬深く、目的のためには手段を選ばないリアリスト。情熱と冷静を併せ持った天性のテロリストです。
最後には二人がどうなったかは、語られません。おそらく善意の観客は、亡命の危険性を考えた夫が妻を日本に残して、自分がスパイの汚名を被り、妻は奇人フリをして戦争をやり抜き、戦後、アメリカで再開して幸せ・・・、と思うでしょ〜。
私は全く違う解釈。
夫は満州で出会った女と、アメリカでよろしくやっています。
まず、水死体で上がった女は別人です。劇中でもうつ伏せで沈んでいるだけで、顔を出さなかったのが伏線。後に、夫の高橋一生も死亡通知を改竄して、とありますよね。ここは対になっています。
爪を剥がされた甥っ子は?おそらく、満州女に惚れていたんでしょう。で高橋一生は「秘密を守り通したら、後に自分が牢獄から出して、アメリカへ一緒に亡命させてやる」といって騙したんでしょう。劇中でも蒼井優に「二人で亡命させるつもりだった」とも語っていますし、冒頭で英国を金の力で釈放させたのと対になりますよね。
あと、劇中にもある通り、東出が蒼井優に惚れていることは知っていて、憲兵の動きをリークさせようとしていたのでしょう。図解すると
東出→蒼井優→高橋一生⇔満州女←甥っ子、って関係性ですね。
満州女は看護婦で医師と出来ていたぐらいだから、悪女。それをたらし込んで、研究成果を盗み出し、責任を医師に負わせて満州から逃げ帰る。関東軍のBC兵器の実態を告発して、それを止めさせる、なんて微塵も考えておらず、その人体実験結果を英米に売って儲けようと考えただけです。
それが迂闊にも妻に悟られ、さあ大変。とっさに大嘘をついて、妻を共犯に仕立てた訳ですね。最後は「二手に別れよう」と騙し通したから、上手くいって、タグボートで手を振っている訳です。蒼井優が憲兵に見つかった密告は高橋一生が、自分の密航を助けるためカムフラージュですね。おそらく上海の英国人は本物のスパイ。届いた手紙は、満州女がちゃんと着いたよ、って手紙だったんでしょう。
あのフェイクフィルムは、女を背中から撃つ、ってラストじゃないですか。それのフェイクフィルムを託されたことを知って、蒼井優は全てを悟る訳です。自分が背中から撃たれたんだ、ってことを。
それで嫉妬で気が狂った訳です。で、老博士が訪問してきて「ボンベイで死んだ」って話を聞く。ここで正気に戻るんですよ。何故かというと、この老博士が自分のところへ消息(=死んだ)を伝えに来ると言うことは、絶対にそう高橋一生が仕掛けたんだ、と。
「あん畜生、生きていやがるんか!地の果てまで追い詰めやる!」って戦後アメリカへ渡る、ってラストなんですよ。
こういう二重のストーリーを隠した名作だと思うのですがね。戦争の非人道性や夫婦の絆やら、そういう飲みやすい外側のチョコレートの中に、ガツンと濃ゆいブランデーが入っている感じの映画。隠し味の効いた映画がお望みでしたら、こちらをお勧めします。
あんなにしんどい事しなくても
軍部に毒されて狂った国家に成り下がっていたあの時代の日本を本来の崇高な精神をもったものにするために。
それに必要な日本壊滅の為のアメリカ参戦は時間の問題だったのでは。
なんか変な感じだった。
あんなしんどい事しなくても
あの商社の社長さんは本当のところなにがしたかったのだろう。
でも蒼井優さんは見事に女性を表現していたと思った。
クライム・サスペンスじゃない
と思います。
少なくともメインはそこじゃない。わりと平常運転の黒沢清。でも脚本がいいので見やすい。
撮影場所や衣装などNHKらしいこだわりのおかげか、ぱっと見リアルな歴史劇っぽく見えますが、根っこはずっと抽象的な内容で、ラストなんかほとんど舞台劇のよう。その乖離が、不思議な浮遊感を生んでいました。
ブレたり、ぼやけてるとかではないのに、即物的じゃなく上品、軽やか。それが好みかどうかは分かれるとしても。
でも、かろうじてノワールには分類されるのかなあ。
若い人妻の夫への葛藤が主眼で、言ってしまえば戦争も、国家機密も全部背景に過ぎない。
脚本の2人(教え子)からの逆指名で監督を引き受けただけあって、脚本がとてもよくできてると思います。
主人公の人妻・聡子のキャラクターがクラシカル過ぎて苦手、しかも蒼井優が高めのテンションで演じてるせいでかえって違和感があったりする以外は。
でも引っかかりそうな点はあらかじめ摘んであったり、ノーストレスですいすい進んでいきます。もっと低予算でも行けるんじゃないかなというくらいシナリオの完成度が高い。
さり気ない「職業婦人のよう」というセリフが心に残りました。そうだよね、今よりもずっとずっと寄る辺ないところから跳躍したんだもんね…
ラジオで監督が「あの頃の日本映画みたいな芝居」と言っただけですぐに役者たちに通じた、という部分に一番興味を引かれて鑑賞したのですが、個人的には、努力はわかるものの、やっぱり現代的な芝居に見えました。
白黒時代の抑制の効いた感じは、わかっていても再現するのはむずかしいんだろうな。
でも高橋一生の安定の力の抜け具合には、トップシーンから引き込まれました。
蒼井優は終盤ののっぴきならない事態になってからの爆発力が素晴らしく、序盤はもう少し抑え目でもよかったかもと思いました。正直、キャラクターのせいもあって、私にはちょっときつい。
高橋一生の甥っ子役の坂東龍汰はノーチェックでしたが、とてもよかった。
東出昌大はスタイル良すぎて他のキャストとの違和感がありましたが、アンドロイドみというか、人間味の薄さが役柄に合っていたように思います。
些末なことを言えば高橋一生の屋敷が豪邸過ぎて、小金持ちの貿易商というより白洲次郎クラスでは? とは思ってしまいました。
逆にそういう中途半端な歴史的建造物ほどむずかしいのかも、と思うと切ないです。
改めて「あの頃映画」の怖さを味わうために「陸軍中野学校」でも観ようかなと思いました。
久しぶりにNHK版で鑑賞したので追記。
ベネチアでどこが評価されたのかさっぱりわからないけど、やっぱり不可思議な映画だった。
たとえばもし彼らの目論みがもし成功するのかしないのか、が主眼のプロットなら普通の歴史物になるけど、決してそうはならない。
ラストで去っていく「彼」はいわば日本における特異な時代そのものの象徴、サトコにとっては熱狂の記憶の象徴みたいなものなのかなと。
取り戻せないある時代への悔恨ともつかない執着とか懐かしみみたいなものを想起させる終わり方。
あくまでサトコの心の中の風景に帰着するから、戦争も惨劇もただの書き割りに見えてしまうのかな。。
あの戦争を扱いながらこんな風に内省的でファンタジックな描き方ができるというのは、いい意味でも悪い意味でもすごく戦後の日本的な感覚のような気がして、海外で賞を取っていることも含めて、なんとも言えない居心地の悪さを感じさせます。
自国民も他国民も大勢殺した現実の出来事だし、加害者としての側面も忘れてはならないはずなのに、我々が立っている現在地、辿ってきた道筋はそうだったんだという。。
お見事です
ちょこっとだけ気になってはいて、優先順位はそれほど高くなかったのだけど、時間が丁度良いので鑑賞。映画館で観ると、そんな出会いもある。
第二次大戦前後の話なので昭和レトロなのだけど、古さを感じない画面。ドラマ放送からの上映とのことだったので、それほど期待もなかったのだけど、まずは画面がいい。古い時代の建物や小物がきちんと並べられて、隙がない。ちょっと舞台劇の匂いがして、それがまたシンプルながら、違和感のないシーンが作り上げられている。
役者さんたちは、テンポ、台詞回しや立ち振る舞いを昭和初期の映画に寄せながらも、現代のドラマとして観やすい範囲で成立させているので、観ていて心地よい。蒼井優、高橋一生、東出昌大らが熱演。
ストーリーは、はじめは派手な展開はなく、仲の良い夫婦の平和な物語で、上手く伏線が貼られていく。やがて、夫の優作(高橋一生)はスパイなのか、夫を信じてきた妻の聡子(蒼井優)は、夫の裏の顔を知っても信じてついて行けるのか。憲兵の手が迫る中、物語は中盤から怒涛の展開を見せる。サスペンス要素が入り、俄然盛りあがって来る。
全体的にとても丁寧に作っている感じが伝わり、好感が持てた。いやはや、「お見事」です。
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