「☆☆☆ 原作読了済み。 (観終わって直ぐに勢いだけで書きなぐったの...」スパイの妻 劇場版 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆ 原作読了済み。 (観終わって直ぐに勢いだけで書きなぐったの...
☆☆☆
原作読了済み。
(観終わって直ぐに勢いだけで書きなぐったので、ちょこちょこっと手直ししてしまうのは、平にご容赦願います。)
特に原作至上主義ではありませんが、コレは、、、
そもそも原作自体が、戦争に突入する不穏な空気の中の時代。
それなのに、描写の一つ一つには緊張感が全く欠如しており。陳腐な脱出劇を含めて、それ程の面白さは💦
ところが映画本編は、そんな原作をすら越えてはいない…と言わざるを得ず、、、
但し、原作を読みながら。これは確かに黒沢清だ!…と言える箇所が有る。
それが、聡子が草壁弘子とゆう謎の女の亡霊の影に脅かされる場面。
原作だと。この亡霊に(確か)3回脅かされる。
初めは草壁弘子なる女の存在を知った時に、愛する夫に騙されているのでは?との疑いを。
2度目は「貴方なんかには負けないわよ!」…と。
そして3度目は、暫く別れ別れになる為に。夫に抱かれ上を見上げている時に、目の前の空中に女の亡霊が見える。
読みながら、その絵図を想像するだけで。「これはもう黒沢清が得意な題材じゃないか〜!」…と思ったものでしたが、、、
原作だと、プロローグは。福原家を整理している時に、既に亡くなったお婆ちゃんの若い頃の写真を発見する。
思わず「綺麗ね〜!」と溜息をつく《福原家》の孫達。
このプロローグは、最後のエピローグへと繋がって行くのだけれど、、、残念ながら、映画本編にはそのどちらも描かれてはいない。
その両方を飛ばした、1940年〜1945年までを時代に沿って描き。優作が満州で、草壁弘子と出会い。どんな事が満州で起きているのか?は一切描かない。
一応は、関東軍による731部隊の悪行が 〝 有ったであろう 〃との描写に留めている為に、その非道性がかなり薄い。
別に詳しく描く必要性は感じないのだけれど、その多くを台詞だけで説明する描き方はどうなのだろう?
とにかく、ストーリー重視の考え方なのだろうか?中盤辺りまでは、高橋一生と蒼井優。
(まさかの『ロマンスドール』に続いての夫婦役)
この2人の台詞で話を進めて行き。舞台劇を見ているかの様に、どんどんと一方的に観客に対して、内容を説明して行く手法は、、、
「本当に清〜どうしたんだよ〜!」…と(´-`).。oO
なるべくその辺りを感じさせない様に、長回しを多用し。更に滑らかに動くカメラワークで誤魔化している様に私には見えたのですが、、、
何しろ、これまでにストーリー性を重視した黒沢清作品って面白いのが有ったっけ?…と。
元々がNHKのドラマだけに、ある程度は見ているお茶の間の人に対して分かり易く…との配慮なんでしょうが。それ自体が黒沢清が黒沢清ではなくなってしまっている、、、としか(u_u)
大体、最後に登場する笹野高史には。原作を読んでいないと「誰これ?」状態じゃないか。
いつその事、登場させる必要すら感じない。
(ドラマ版未見なので。この辺りはドラマ版にて、はっきりと描かれているのかも知れませんが)
本当にもう「どうしちゃったのよ〜!」としか(。-_-。)
3人の共同脚本だけれど、一体誰の責任なんだ!…と。
清よ!頼むから今後はもうストーリー性重視の作品は撮らんでくれ!
大体、適当に撮った方が本領を発揮するタイプじゃないか〜!
原作通りだと。プロローグとエピローグが繋がった事で、福原家の家系は絶える事なく繋がって行った。
戦争に翻弄され、悲しい出来事に見舞われた辛い人生を生きたお婆ちゃん。
それでも写真に写る顔は素敵な笑顔だった。
F I N
…って事で、銀獅子賞ですよ!
今や世界の黒沢ですからね〜!
賞の効果は大きかったのでしょう。
どうやら、観客の多くの方は満足された様子。
こちらの様に、へそ曲がりのおっさん等は少なめなのでしょう。
※ それにしても満席ですよ!満席!
清ですよ清。明じゃ〜無いんですからね〜。
黒沢清で満席だから、ビックリしたのなんの!
上映後に、こんな会話を聞きましたよ、、、
「これ、外国で賞を取ったんだろ!流石に黒澤明の孫だな〜!」(´・ω・`)ポカ〜ン
※ 流石に賞の効果は大きく公開直後は満席でした。
2020年10月16日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン12